<?xml version='1.0' encoding='UTF-8'?><?xml-stylesheet href="http://www.blogger.com/styles/atom.css" type="text/css"?><feed xmlns='http://www.w3.org/2005/Atom' xmlns:openSearch='http://a9.com/-/spec/opensearchrss/1.0/' xmlns:georss='http://www.georss.org/georss' xmlns:gd='http://schemas.google.com/g/2005' xmlns:thr='http://purl.org/syndication/thread/1.0'><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053</id><updated>2012-02-16T21:37:35.082+09:00</updated><category term='『地球を歩く』'/><category term='『経験・言葉・虚構』'/><category term='『河は眠らない』'/><category term='開高健'/><title type='text'>開高健講演録</title><subtitle type='html'>開高健の講演をテキスト化したサイトです。</subtitle><link rel='http://schemas.google.com/g/2005#feed' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/posts/default'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default?max-results=100'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/'/><link rel='hub' href='http://pubsubhubbub.appspot.com/'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><generator version='7.00' uri='http://www.blogger.com'>Blogger</generator><openSearch:totalResults>72</openSearch:totalResults><openSearch:startIndex>1</openSearch:startIndex><openSearch:itemsPerPage>100</openSearch:itemsPerPage><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-4390970728619369262</id><published>2009-11-11T22:02:00.004+09:00</published><updated>2009-11-11T22:36:17.416+09:00</updated><title type='text'>やっとCD化されました</title><content type='html'>やっと開高健の講演がCD化されました。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;blockquote&gt;&lt;span style="font-weight:bold;"&gt;開高健講演&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;軽妙にして洒脱。重厚にしてすこぶる自由。&lt;br /&gt;没後20年。開高健の肉声がよみがえる。&lt;/span&gt;&lt;/blockquote&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;このサイトでテキスト化した&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;「経験・言葉・虚構」と、&lt;br /&gt;「地球を歩く」を一枚にしたものと、&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;新しく、&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;「足で考え、耳で書く」と、&lt;br /&gt;「雨の日には釣竿を磨きながら」の2講演を一枚にしたもの、&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;合計4講演が二枚のCDとなって10月30日、新潮社から発売になりました。&lt;br /&gt;それぞれ￥3,150-です。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;後者の二つの講演はまだ聴いたことがないので、早速書店をまわってみたいと思います。&lt;br /&gt;在庫があればいいのですが。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;没後20年だからでしょうか、最近になって光文社文庫でルポルタージュやエッセイが復刊されたり、BS2で開高健特集があったりと、開高ファンとして嬉しいニュースが続きます。&lt;br /&gt;来年には、神奈川近代文学館で大きな展示があるといううわさも聞きました。&lt;br /&gt;楽しみです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;講演CDの詳細はこちらから&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;a href="http://www.shinchosha.co.jp/mediashitsu/"&gt;新潮CD：新潮社&lt;/a&gt;&lt;br /&gt;&lt;a href="http://kaikotakeshi.blogspot.com/2009/11/cdcd.html"&gt;開高健の講演CD発売：ごぞんじ開高健&lt;/a&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-4390970728619369262?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/4390970728619369262/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=4390970728619369262' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4390970728619369262'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4390970728619369262'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2009/11/cd.html' title='やっとCD化されました'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-4909377570107072871</id><published>2009-10-10T12:50:00.003+09:00</published><updated>2009-11-29T23:22:59.550+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>YouTubeに</title><content type='html'>YouTubeに講演の音声がアップされているようです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;a href="http://kaikotakeshi.blogspot.com/2009/09/blog-post_27.html"&gt;【動画】「経験・言葉・虚構」講演&lt;/a&gt;&lt;br /&gt;&lt;a href="http://kaikotakeshi.blogspot.com/2009/09/blog-post_26.html"&gt;【動画】「地球を歩く」講演&lt;/a&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;ごぞんじ開高健より&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;このサイトのテキストとあわせて聞くとわかりやすいと思います。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' 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/&gt;テレビなんか出たらあかんとは誰も言いませんけれども、&lt;br /&gt;そうゆうことになってるんで、&lt;br /&gt;そのため、文学のためにもですね、&lt;br /&gt;本日は私はわざと下手な講演をしなければならない、&lt;br /&gt;という宿命を負わされていることを光栄に思うんでありますが。&lt;br /&gt;退屈してきたらどうぞご自由に立っていって下さい。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それで私は小説を書くことと、最近魚を釣ることを職業にしてしまったんで、&lt;br /&gt;小説を書くことと魚を釣ることしか出来ない。&lt;br /&gt;で、文学の話をしてもいいんですけれども、&lt;br /&gt;これは毎夜毎夜、机に向かって夜中に一人で酒と妄想とタバコにふけって、&lt;br /&gt;原稿用紙を重ねてそれを明くる日出版社に渡すだけで精一杯で、&lt;br /&gt;もう思い出すだけでもヘトヘトの思いになるので、とてもこれはしゃべる気になれない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それから魚釣の方はどうかというと、&lt;br /&gt;これはちょっと経験があるのでしゃべりたいんですけれども、&lt;br /&gt;ロシアに古い諺があって、「釣りの話をする時は両手を縛っておけ」と、&lt;br /&gt;こうゆう話になるんで、だからのろけのような話ばっかりになって法螺吹きになる。&lt;br /&gt;小説は、「嘘を通じて人生の真実を語ることである」と言われてるから、&lt;br /&gt;私は天職として嘘つきである。&lt;br /&gt;第二の職業として法螺吹きである。&lt;br /&gt;嘘のうえに法螺が重なるともうどうしようもないですから、これは避けなければいけない。&lt;br /&gt;とゆうことになるとだんだん話することがなくなってしまうんですけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;いつか岩波書店の講演で随分前になりますけど、&lt;br /&gt;信州の長野へ行ったことがあるんですが、&lt;br /&gt;先輩の小説家から、&lt;br /&gt;「岩波書店で信州長野へ講演に行ったらエラいことになるから気つけろ」&lt;br /&gt;と言われてたんですけども、&lt;br /&gt;小説家というのは家の中に籠ってばっかりいるから、&lt;br /&gt;何でもいいちょっとでも経験出来ることあるならやった方がいい、と思って出て行ったら、&lt;br /&gt;前列十列ぐらいですかな、ノートと万年筆を出してひたとこちらを見つめてる方ばっかりで、&lt;br /&gt;いくら長野県が教育県だからと言ったって、&lt;br /&gt;小説家の話を講演をメモに採られたんじゃもうたまったもんじゃないと思ったんで、&lt;br /&gt;私がやるのは夏目漱石が和歌山でやったような講演ではないから、&lt;br /&gt;そんなノートやら万年筆をおさめていただきたい、&lt;br /&gt;そうでないと出来ませんからと言って頼んだんですけれども、いっかな聞くふりもなく、&lt;br /&gt;ただまじまじと勢い凄まじくこちらを見つめてらっしゃるんで、辟易したことありました。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;その逆が我がふるさとの大阪で、&lt;br /&gt;有沢広巳という経済学の先生と一緒に行ったんですけども、&lt;br /&gt;この先生が先に何か経済の話をしたんです、&lt;br /&gt;すると前列三列やっぱり鉛筆と紙を持ってるやつがいるんですけども、&lt;br /&gt;ちょっと長野県とは風体が違うんです。&lt;br /&gt;それで有沢先生が楽屋裏へ引き返してくると、&lt;br /&gt;その前列三列がみな立ち上がって楽屋裏へなだれ込んで、&lt;br /&gt;「今年下半期と来年上半期の景気はどないなりまんねん！」&lt;br /&gt;とゆう風なことを先生に聞いてる、&lt;br /&gt;先生は、「そんなことがわかるくらいなら経済学なんか勉強せーへんわい」&lt;br /&gt;と言ってごまかしてるんですけれども、&lt;br /&gt;私が出て行くと前列三列空いたっきりで誰も戻ってこない。&lt;br /&gt;両極端なんですけども。&lt;br /&gt;人間は個性があるから、個性のあるこうゆうはっきりした国は何かあるんやろう、&lt;br /&gt;と思うことにしたんですけども、はなはだ寂しかったですね。&lt;br /&gt;寂しいのやら強迫観念におされるのやらで、&lt;br /&gt;煮られるやら冷まされるやらという思いであります。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでまぁ私は30代、&lt;br /&gt;現在53歳をもうあと何日かで終わりつつある波間に没する世代なんですけども、&lt;br /&gt;会社行くと窓際ですけれども、&lt;br /&gt;30歳ぐらいからいくらか生活にゆとりができたのと、&lt;br /&gt;それから日本経済が復興してきて、国庫にいくらかドルが貯まるようになったんで、&lt;br /&gt;外国へも行けるようになって、それからほっつき歩くようになったんですが。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;まぁこのごろよく言われるのは、&lt;br /&gt;「地球は狭くなった」という言葉なんですけれども、&lt;br /&gt;成田を飛び立ってウトウトしてるうちに、&lt;br /&gt;目が覚めたらニューヨークに着いてたとか、パリに着いてたとこいうことになるわけですね。&lt;br /&gt;それでおっかなびっくりニューヨークへ入ってく、パリへ入ってく、&lt;br /&gt;で飲んだり食ったりしているうちに、&lt;br /&gt;フランス人もアメリカ人も同じじゃないかということを発見する。&lt;br /&gt;やっぱりマクドナルドのハンバーグがあったりして、&lt;br /&gt;「人間どこ言っても同じやなー」とゆう風な感銘を抱いて帰っていく。&lt;br /&gt;それで地球は小さくなった狭くなったと、&lt;br /&gt;コミュニケーションと運搬の手段の発達のおかげでそうゆうことが言われるようになったんですが、&lt;br /&gt;もう一方よくよく立ち止まって物事を見直してみると、&lt;br /&gt;「ほんまに小さくなったんやろか」と言いたくなることも多いんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;例えばですね、パリという街がありますけれども、&lt;br /&gt;香水とファッションと高級文化ということになってるんですけども、&lt;br /&gt;しかし以外に報道されてない面はたくさんありましてね、&lt;br /&gt;私はパリが好きで随分なけなしのお金をはたいたんですけれども、&lt;br /&gt;ヨーロッパの都でですね、その人口に比べて石鹸の売上が一番悪いのはパリなんです。&lt;br /&gt;というのはつまり不潔だということなんですけども。&lt;br /&gt;これが以外にいつまでたっても報道されないんで、これはどうゆうことかと思うんです。&lt;br /&gt;私がパリをウロウロしだしたのは、もう今から20年も昔なんですけども、&lt;br /&gt;依然としてかわってないんです。&lt;br /&gt;それから全ヨーロッパの首府で、街角で立ち小便をしておる、あるいは橋の下でウンチをしておる、&lt;br /&gt;堂々と、憚ることなく、やる奴をみんなが認めている、&lt;br /&gt;こうゆう癖があるのはパリだけなんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;ニューヨークもですね、したたかにおしっこの匂いが立ちこめておりまして、&lt;br /&gt;これがまた行ってみるまでわからなかったんですけれども、&lt;br /&gt;地下鉄を降りるともう、酸いような甘ったるいようなおしっこの、&lt;br /&gt;出たての匂いも、三日経ったような匂いも込めてですね、ムラムラムラッと鼻先へきて、&lt;br /&gt;これはニューヨークのつもりやのに、パリへ来たんかと思ったくらいですけれども。&lt;br /&gt;どうゆうものか、食事のせいか何か、一種独特の甘ったるいような匂いがしますね。&lt;br /&gt;何のせいでしょう、コカコーラの飲み過ぎやろかと思うんですけども。&lt;br /&gt;あ、これはパリの匂いやと、同じ匂いです。&lt;br /&gt;東南アジアへ行くとちょっとまたこの系統がかわってきますけどね、匂いが。&lt;br /&gt;食べ物のせいでしょうね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;これがまたニューヨークが、&lt;br /&gt;ティファニーだブロードウェイだというようなことばっかりみんな言ってますけども、&lt;br /&gt;したたかにウンチとおしっこの匂いがする。&lt;br /&gt;聞いてみるとここ15.6年急速にこうなったんだというんですけれども、&lt;br /&gt;フランスの場合もうちょっと伝統があります。&lt;br /&gt;長い、昔からなんです。&lt;br /&gt;「セーヌの橋の下で」と言いますけれども、&lt;br /&gt;事実セーヌの橋の下でみんな、「Je t'aime」なんてやってますけれども、&lt;br /&gt;その横はうずまきパンの氾濫なんであって、いやホント、&lt;br /&gt;これはテレビがいつか報道するんじゃないかと思って私はみてまして、&lt;br /&gt;私はテレビはほとんど見ないんでよくわかりませんけれども、&lt;br /&gt;セーヌの橋の下はうずまきパンだらけやでとゆう、&lt;br /&gt;あるいは柔らかくなったのでカレーライスやで、&lt;br /&gt;とゆう風な風景をドキュメンタリー番組で紹介したことがあるか、&lt;br /&gt;と若者に聞きますが、&lt;br /&gt;知りません、存じません、見たことありませんと言うから、&lt;br /&gt;依然としてフォブール・サントノレがどうのこうの、&lt;br /&gt;とゆうようなことばっかりやってるんじゃないかという気がするんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;これはフランス人の、強いて言えば長い文化的伝統なんであってね、&lt;br /&gt;「esprit gaulois」という言葉があるんで、&lt;br /&gt;ゴーロワ精神と言うんですが、これがフランス精神の元祖になってると。&lt;br /&gt;これは自然なるものを愛する、豪放快活磊落にやれ、というところがありまして、&lt;br /&gt;飲めや歌えのどんちゃん騒ぎ大歓迎。&lt;br /&gt;ついでに出す方のあれも大歓迎。&lt;br /&gt;ベルサイユ宮殿時代という時代がありまして、&lt;br /&gt;それからフランス大革命という流血の大時代がそのあとに続くんですけれども、&lt;br /&gt;ベルサイユ宮殿というと近頃なんだか、&lt;br /&gt;「ベルサイユのバラ」とか何とかいうのが氾濫しているとかちょっと前まで言われてましたけども、&lt;br /&gt;エラいヒットしてるというので、私もたまたま出版者に頼んで持ってきてもらってみたら、&lt;br /&gt;要するに宝塚ということなんですけれども。&lt;br /&gt;あんなもんじゃないんであって、まぁそうゆう面もあったのかもしれませんけれども。&lt;br /&gt;垂れ流しなんですなあれは。&lt;br /&gt;それで水洗便所が発明されてなかったか。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;私の話はこうゆうことばっかりじゃありませんけれども、&lt;br /&gt;こうゆう話からはじめたら落ちようがないから、あとは上がるばっかりだと思っていただきたい。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;ウンチからおしっこから垂れ流しで、&lt;br /&gt;それからこれ大事なことなんです、誰も研究しようとしない、&lt;br /&gt;家の戸口ばっかり研究してて裏口を研究しないからこうゆう片手落ちになるんですが、&lt;br /&gt;女官ね「Je t'aime」という女官、&lt;br /&gt;これが香水の匂いを漂わせながらやってらっしゃるのは、立ったままでのおしっこなんであって、&lt;br /&gt;上体をややかがめる程度、とゆうのではニュージーランド原始人とあまりかわらない。&lt;br /&gt;でもう中庭がそれらのもういっぱい、&lt;br /&gt;で大革命も終わってベルサイユが廃墟と化して、&lt;br /&gt;それで当時ベルサイユの宮殿で女官生活を送っていた、もうおばあさんになったのが、&lt;br /&gt;たまたまベルサイユへとことこやってきて、その匂いを嗅ぐやいなや、&lt;br /&gt;昔は美しかったであろう瞳を潤ませて、「あぁこれがあの時代の匂いだわ」と言ったという。&lt;br /&gt;あの時代の匂いというのがその匂いなんです。&lt;br /&gt;そうゆうことを何とも思わないで、それをまたぎまたぎやっておったんであるわけでして、&lt;br /&gt;その気風がいまだに伝わっているから、&lt;br /&gt;セーヌの橋の下はうずまきパンだらけということになるんです。これホントです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;でこのようなものを文化と、&lt;br /&gt;で文化と文明はどう違うかというと、色んな理解のしかたがあるんですけれども、&lt;br /&gt;私なりに解釈すれば、文明というのは電話とかテレビとか原爆とか水道というふうに、&lt;br /&gt;よその文化圏へ容易に伝えることが出来るもの、これが文明である。&lt;br /&gt;それから文化というのは、よその文化圏に伝えることが出来ないか、&lt;br /&gt;はなはだ伝えることが難しいいもの、これが文化。&lt;br /&gt;で垂れ流しと、要するにキジうちですね釣り師のいう。&lt;br /&gt;自然なるものを愛する、とだんだん言葉がかわっていきますけれど、&lt;br /&gt;こうゆう習慣は、ロンドンにもあんまりないし、ベルリンにはまさにない、ミュンヘンにもない、&lt;br /&gt;マドリッドの裏町にちょっとありますけれども、そしてそれをみんなが許し合っている。&lt;br /&gt;酒に対してもフランスははなはだ寛容で、酔っぱらって自動車を運転しててもお咎めにはならない。&lt;br /&gt;あんまりひどい時にはエラいことになりますけど、大変寛容なんです。&lt;br /&gt;垂れ流しやら酒に寛容という点では日本とちょっと似たところがある。&lt;br /&gt;こうゆうものはですね、これからどうゆう時代が来るかは私はわかりませんけれども、&lt;br /&gt;今後もなかなか変わることはあるまいと思うんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうゆう目で見ていくとですね、&lt;br /&gt;日本人に理解出来ない世界地図というものがあるということに気がつくんですが、&lt;br /&gt;例えばその一つが宗教とゆうやつですね。&lt;br /&gt;我々はご存知のように、教養や哲学、趣味としての宗教はあるけれども、&lt;br /&gt;ほんとに信じ込んでの宗教の信心者というものは、&lt;br /&gt;宗教の宗派の如何に関わらずそうたくさんはいないと思うんですけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;回教徒の国へ行きますと、&lt;br /&gt;お祈りの時間になると、空港のオフィスで働いてるのがにわかにこのぐらいの毛布をパッと広げて、&lt;br /&gt;メッカ、メジナの方を向いてお祈りをはじめる。&lt;br /&gt;ちゃんとネクタイ締めたままでですよ。&lt;br /&gt;それが終わると立ち上がって、「どちらへおいでですか」とか元の事務をやりだす。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;これにぶつかるとはたと私は壁にぶつかったような気がして、ただもう呆然と見てるしかない。&lt;br /&gt;そうゆうことが度重なっていくに従って、&lt;br /&gt;世界地図とゆうものを日本人向きに一遍書き直してみる必要があるのんと違うかと。&lt;br /&gt;宗教ということになると日本人はまず理解出来ない。&lt;br /&gt;日曜に教会へ行くということも、習慣としては理解出来るけれども、その心が理解出来ない。&lt;br /&gt;一事が万事そうゆうことになってきてる。&lt;br /&gt;とゆう風な目で見ていくと、我々の素直に入っていって、&lt;br /&gt;そうゆう壁にぶつかったような思いをしないですむ、地帯、土地というものは、&lt;br /&gt;地球上は非常に少ないということを気付かせられるんです。&lt;br /&gt;ビジネスだとか、そうゆう女の話なんかをしてるぶんには、&lt;br /&gt;そうゆうことは出てこないんですけれども、&lt;br /&gt;ひとたび話が信仰になるとか、信仰の時間にくるとか、&lt;br /&gt;信仰の日にあたるとかになると、バタッとわからなくなる。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;例えばユダヤ人とアラブ人が揉め事を続けておりますけれども、&lt;br /&gt;このユダヤ人の建てた国はイスラエルですけれども、&lt;br /&gt;ここへ行くと、金曜日の夕方の一番星の出る時から、明くる日の土曜日の夕方の一番星が出るまで、&lt;br /&gt;これをシャバットと言いまして、&lt;br /&gt;24時間、火を使っちゃいけない、外を出歩いちゃいけない、働いちゃいかん、&lt;br /&gt;それから火の入った料理を食っちゃいかん、刃物使っちゃいかん、あれいかんこれいかんで、&lt;br /&gt;24時間ひたすら家に籠って、本を読むか、奥さんと愛し合うか、冷めた料理を食べながらね。&lt;br /&gt;こうゆうことになってる。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでナチスの大佐がアルゼンチンで捕まってその後裁判が、&lt;br /&gt;戦争裁判がエルサレムであって、私はそれを傍聴に行ったんですけど、毎週これなんです。&lt;br /&gt;それでもうヒタッと猫も一匹も歩いていない。&lt;br /&gt;それで原稿を書いてそれを至急送って、東京の出版社に送らなきゃいけないんで、&lt;br /&gt;私が原稿を持ってあたふたと駆け出してくるけれども、空港まで走ってくれるタクシーがない。&lt;br /&gt;散々エルサレム中歩き回ってやっと一台見つけて、拝み倒して行ってくれと、&lt;br /&gt;で飛び乗ってエルサレムから出ようとすると、&lt;br /&gt;ユダヤ教のおじいさんですなぁ、ひげを生やした、&lt;br /&gt;これがやって来て、道ばたの石ころを拾って、&lt;br /&gt;よろよろしてるんです、何をするんだろうと思ってると、&lt;br /&gt;私の乗ってるタクシーにドカーンとぶつけて、&lt;br /&gt;「シャバットの日にうろうろ出歩いている罰当たりがいる」と言っている。&lt;br /&gt;運ちゃんも悪いということを承知の上だから、&lt;br /&gt;「しょうがないなぁ」と言って、&lt;br /&gt;おじいさんを怒鳴り返すこともなしに、すごすごとそのまま行くんですけど。&lt;br /&gt;戦争になったらどうするんやと言いたくなるんですけども。&lt;br /&gt;一方イスラエルを攻めるアラブの方はアラブの方で、&lt;br /&gt;毎日お祈りの時間が来るとひたすらお祈りをしてる。&lt;br /&gt;両方ともはじめっからそればっかりやってたらいいじゃないかと言いたくなるんですけれども。&lt;br /&gt;終わると途端に銃の安全装置を外して、&lt;br /&gt;さぁ戦争しようか、これなんです。&lt;br /&gt;こうゆうことになると私は本当にわからなくなるんで、&lt;br /&gt;頭の中の地図からまたしてもわからない国が一つ出てきた、と消していかずにいられないんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;ベトナム戦争でもそうだったんですよ、毎日昼寝の習慣があるんです。&lt;br /&gt;私が行くようになったのは1964年頃からでしたけども、&lt;br /&gt;それから10年間にわたって三回行ってるんですけども、それで従軍したりしてるんですが、&lt;br /&gt;従軍しててゴム林の中を歩いてて、昼飯を食う、&lt;br /&gt;食い終わるとみんなそこで倒れて昼寝してしまうんです。&lt;br /&gt;本当に昼寝するんです。&lt;br /&gt;それではじめの頃は何のことやわからないで、&lt;br /&gt;こんなことしてたら、ここへ迫撃砲が一発落ちてきたらエラいことになる、&lt;br /&gt;と言って騒いでるのは日本人の小説家だけなんですけども。&lt;br /&gt;それでアメリカの士官をつかまえて、&lt;br /&gt;「こ、これ何や？」と言うと、&lt;br /&gt;「いや向こうも寝てるんや、俺も寝るよ、お前も寝たらどうだ」と言う、&lt;br /&gt;それではじめのうちはイライライライラして寝ることも何ともできない、&lt;br /&gt;そのうちにだんだんだんだん図太くなってきてですね、&lt;br /&gt;飯食わぬさきから眠気がこみ上げてくるようなことになってきたんですが、&lt;br /&gt;毎日が夜がなくて、&lt;br /&gt;午後一時から四時まで時間だけしかあの国にはないということになれば、&lt;br /&gt;永遠に戦争はありえない、と言いたくなるくらいひっそり閑としてるんです。&lt;br /&gt;田舎も街もですね。&lt;br /&gt;犬も歩いていない。&lt;br /&gt;そうゆう戦争なんです。&lt;br /&gt;四時頃になると、うわーよう寝たな、ほんならいっちょやるか、とゆうので戦争をやりだすんで、&lt;br /&gt;付き合いきれないという印象がありましたな、当時の間は。&lt;br /&gt;だけどもその中へ入ってみるとそれが当たり前なんで、そうゆう流儀でやってるんだと言うんです。&lt;br /&gt;こうゆうこともなかなかわかりにくいことの一つです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;だからお月様へ行くロケットの中にですね、&lt;br /&gt;何でもいい好きなものを一つだけ選んで持ち込むことを許すといえば、&lt;br /&gt;アメリカ人ならコカコーラとハンバーグを持ってくるでしょうし、&lt;br /&gt;日本人なら近頃大分危ないですが、&lt;br /&gt;みそ汁の魔法瓶につめたやつを持って入ってくるかもしれませんね。&lt;br /&gt;ベトナム人ならニョクマムを持ってくるでしょうし、&lt;br /&gt;アラブ人ならクスクスという団子を持って入ってくるかもしれない。&lt;br /&gt;そうゆう風な本来固有なるものというのは、&lt;br /&gt;なかなかに覆ることがないし、むしろ蔓延る気配の方が大きい。&lt;br /&gt;フランス人ならウンチを持ってくるでしょうし、&lt;br /&gt;特にセーヌのポンヌフの橋の下の特製のやつを選んで持ってくるかもしれません。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;こうゆうことを考えていくと、地球が狭くなったと思っている分だけ、&lt;br /&gt;フランス人はフランス人、アメリカ人はアメリカ人とゆう、&lt;br /&gt;頑固で容易にかえられないものがあるんだから、&lt;br /&gt;地球が小さくなったとこちらが実感する分だけ、地球は大きくなってるという。&lt;br /&gt;反語ですけれども、そうゆう言い方をしたくなる。&lt;br /&gt;だから迂闊に世界は狭くなったと言っていいもんかどうか、&lt;br /&gt;については問題があるように思うんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;問題といえば私は30代いっぱいから40代後半にかけて15.6年間、&lt;br /&gt;戦争やら揉め事ばっかり追っかけて歩いてたんですが、&lt;br /&gt;東南アジアの戦争、アフリカの戦争、色々追っかけてたんですけれども、&lt;br /&gt;そのうちにどの戦場やら何やらを描くのも、&lt;br /&gt;みんな同じボキャブラリーを使ってるということに気がついて、&lt;br /&gt;しかしどう考えても自分の才能、能力としてはそれ以外の言葉がないと、&lt;br /&gt;これしか使うしかないという一軍の言葉で書いている。&lt;br /&gt;これではダメだというのに気がつきました。&lt;br /&gt;それで戦争をレポートすることをやめちゃったんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それから戦争が終わったからといって、&lt;br /&gt;戦争をしただけのことはあった、と言えるようなことはないと。&lt;br /&gt;例えばベトナムの場合ボートピープルをご覧になると、&lt;br /&gt;その一例だけでわかると思うんですけれども、&lt;br /&gt;ありとあらゆる悲惨やら残酷やらが、あの戦争の間報道されましたけれども、&lt;br /&gt;ボートピープルとゆうようなことは、あの戦争中には一度も報道されたことがなかったんです。&lt;br /&gt;とすると戦争が終わったのにその後にきたものは、&lt;br /&gt;何であるかは知らないけれども、&lt;br /&gt;あのように板子一枚で台風圏の南シナ海へ出て行って、&lt;br /&gt;生き延びられるものやら、死ぬものやらけじめもつかない。&lt;br /&gt;なかには死んだ妹の肉を食べて兄がどうやらこうやら生き延びて、&lt;br /&gt;シンガポールにたどり着いたとゆう風なことも記録されてたりして、&lt;br /&gt;そうすると戦争以上のことがあの国にはあるのか、&lt;br /&gt;一体何のためにあんだけの戦争をやったんだ、と言いたくなる。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうゆうことも手伝ってですね、&lt;br /&gt;戦争をレポートするのが嫌になったもんですから、それで釣り師に転向したわけです。&lt;br /&gt;転向したとはいうんですけれども、戦場が川岸にかわっただけのことで、&lt;br /&gt;現場で汗水たらして泥まみれになって、蠢いて這い回っているという点では私はかわってない。&lt;br /&gt;現場主義ということではやっぱり同じなんじゃないか、と思うこともあるんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それで魚釣りをやるんですが、&lt;br /&gt;日本国内の釣りはみんなが書いてるし、みんなが知ってるから、&lt;br /&gt;私も子供の時から馴染んでるので、あらためて私が鮎釣りをしなくてもいいんじゃないかと、&lt;br /&gt;それよりもなかなか入っていけないような所へ行って、&lt;br /&gt;あるいはもう絶滅しかかってるとゆう風な魚の前へ一歩出て、&lt;br /&gt;その魚の顔を見て写真撮ってと、ゆう風なことでもした方がいいんじゃないかと。&lt;br /&gt;こう思ってアマゾンへ行ったり、アラスカ行ったり、&lt;br /&gt;カナダの森林に潜り込んだりとゆう風なことをやってるんです。&lt;br /&gt;それで色んな国を渡り歩いたんですが、ここでもまたですね、色んなことを感じさせられる。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;で誰も来ない所へ入って行きたい。&lt;br /&gt;釣り師の心理は色々ありますけれども、例えば私は山釣り師ですから、川釣り、山釣りしかしない。&lt;br /&gt;鮭、鱒、岩魚類が好きなんですけれども、&lt;br /&gt;だからこの北海道でも釧路中心に随分通うたことあるんですが、&lt;br /&gt;誰も来ない所、入ってない所、そうゆう所へ行って一人きりになりたい。&lt;br /&gt;まぁ強いて言えば、文明の汚濁から逃げるんだ、&lt;br /&gt;女房や家庭や職業やうっとうしいもんから全部逃げるんだ、&lt;br /&gt;忘れるんだ、偉大なる逃走を試みるんだ、&lt;br /&gt;とゆう風なことはちょっと大げさですかね、万事大げさなのは釣り師の癖ですけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;で誰も来ない所、入ったことがない、&lt;br /&gt;靴跡もない、指紋もついてない所へ入って行く、&lt;br /&gt;それで大きな魚を一匹釣り上げると、&lt;br /&gt;妙な心理がここで働いて、ワクワクドキドキして針を外すのに手が震えるんですが、&lt;br /&gt;ふっと後ろを振り返って、誰か見ててくれへんかったかなぁ、&lt;br /&gt;とこうゆう倒錯心理があるんですけれども。&lt;br /&gt;これがなかなか克服出来ないんですね。&lt;br /&gt;猫みたいなものです。&lt;br /&gt;猫はネズミや何かスズメを捕って必ず持って帰ってきますけど、&lt;br /&gt;食べるのでもない、主人に見せたくて持って帰ってきて、&lt;br /&gt;放り出したまんまでどっか遊びにいきますけど、あれに似た心理がある。&lt;br /&gt;誰か見てへんかったかいなぁと。&lt;br /&gt;で見てなかったら何かちょっとつまんないような感じがする。&lt;br /&gt;そうゆう心理があるんですが。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;どんどん文明から逃げるんだわさ、偉大なる逃走を試みるんだ、&lt;br /&gt;人間の手のついてない、足跡のない所へ行くんだわ、&lt;br /&gt;とまぁ新聞の見出しのようなことを考えて行くんですが、&lt;br /&gt;よりによって行った所が、これがですね妙なことになる。&lt;br /&gt;例えばバウペス川という川があるんですがね、&lt;br /&gt;これは南米のコロンビアの領土内にあって、アマゾン川の上流地帯なんです。&lt;br /&gt;上流も上流もう源流に近い。&lt;br /&gt;これがいくつもの川があります。&lt;br /&gt;でアマゾンの源流は一つきりじゃないんです。&lt;br /&gt;たくさんの水が集まってきて、大アマゾンになってるんです。&lt;br /&gt;その源流の一つにバウペス川というのがあって、&lt;br /&gt;源流だとは言いながら、なかなか堂々とした風格のある川幅なんですが、&lt;br /&gt;この川まで行ったら、かなり釣り師としてはやった方に入るんじゃないかと思って、&lt;br /&gt;コロンビアはボコタというのが都ですが、&lt;br /&gt;そこで色々もう地図を探ったり、情報を探ったりして行くわけですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;あの辺はまったくの未開地で、&lt;br /&gt;未開地であるかないかは、マラリアの蚊がいるかいないかを探ればいい、&lt;br /&gt;アノフェレスというんですけれども、&lt;br /&gt;マラリアの蚊は克服しようと思えば簡単にやれるんで、&lt;br /&gt;石油をばらまきさえすれば幼虫が育たない、ボウフラが育たないで殺していけるんです。&lt;br /&gt;でマラリアを克服したといわれてる所なら文明地帯だと言える。&lt;br /&gt;マラリアの蚊が出てくるようなら、まだ文明の及んでいない土地だと言える。&lt;br /&gt;そしたらどうしてマラリアが出てるか出てないかわかるんだ、&lt;br /&gt;刺されてみればわかるというんですけども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;バウペス川の辺りは、真性？アノフェレスというマラリアの猛烈なやつがいますが。&lt;br /&gt;この蚊は妙なエチケットがある。&lt;br /&gt;猛毒の持ち主なのに大変遠慮深く慎ましやかである。&lt;br /&gt;夕方6時から7時までの1時間だけかっきり出演する。&lt;br /&gt;人間の忘年会みたいにだらだらだらだらと止めどなく、&lt;br /&gt;皿小鉢投げ合いするとゆうようなことはしないんです。&lt;br /&gt;そのかわり日が落ちるのが6時、蚊が出るのが6時、&lt;br /&gt;火がついたらうゎーんと出てきて目も口も開けてられない。&lt;br /&gt;こっちはサトウキビ焼酎を飲みにかかるんですが、&lt;br /&gt;これがまた蚊の大好物ときてるんで、&lt;br /&gt;小さな蚊帳を木の間に張って、その間にうずくまって酒を飲まないことには、&lt;br /&gt;もう目も口もあったもんじゃない蚊が飛び込んでくるんです。&lt;br /&gt;これが全部マラリアかと思うとぞっとするんですけど。&lt;br /&gt;で体内時計という言葉がありまして、生物には体の中にですね時間を測定して、&lt;br /&gt;何時に目を覚まして、何時に飯食ってということを指示する機能がある、&lt;br /&gt;懐中時計が入ってるわけじゃないですよ。&lt;br /&gt;クロノメーターが入ってるわけでもないんですけれども、そうゆう機能がある。&lt;br /&gt;これを体内時計と呼んでるんですが、&lt;br /&gt;あのちんちくりんの蚊の中の体内時計が実にしっかりしててですね、&lt;br /&gt;うゎーんときたので時計見ると6時なんです。&lt;br /&gt;うゎんうゎんうゎんうゎんもう目も口も開けてられない、&lt;br /&gt;どこからこんなに出てきたんだろう、今まで一匹もいなかったのに。&lt;br /&gt;それでぱたっと止むんですね。&lt;br /&gt;で時計見たら7時なんです。&lt;br /&gt;これがアマゾンの蚊なんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでそこまで行くのにどうするかというと、&lt;br /&gt;飛行機で行くんですが、ＤＣ３という飛行機があるんですね。&lt;br /&gt;今は同じ会社でつくっているジェット機がＤＣ何とかというんですが、これは３番。&lt;br /&gt;第二次大戦を描いた映画をご覧になってると必ず出てくるんですが、&lt;br /&gt;プロペラ二つでですね、ちょっとこうゆう風なとまりかたをするんです。&lt;br /&gt;輸送機に使われることが多いんです、爆撃機にも使ってましたが、&lt;br /&gt;大変によく出来た飛行機なんだそうで、&lt;br /&gt;ワシントンのスミソニアンの博物館に行くと、天井からワイヤーで吊るしてある。&lt;br /&gt;あんまりよく出来た飛行機だからというんで。&lt;br /&gt;これが第二次大戦中に活躍してですね、その後民間の輸送機にちょっと使われたんですが、&lt;br /&gt;ジェット機が登場したんで全部退場して、どこ行ったかというと、&lt;br /&gt;アフリカやら南米に払い下げられたんです。&lt;br /&gt;アフリカやら南米の軍隊が使ってて、&lt;br /&gt;またこれを払い下げて、民間へ払い下げた。&lt;br /&gt;ヨレヨレのクタクタ。&lt;br /&gt;いくら元つくられたときは名機だからといったってですね、もう5.60年になるんですからね、&lt;br /&gt;直す故障したってパーツがないというんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;この飛行機を一台、空港に客寄せにかわい子ちゃんを一人、&lt;br /&gt;こうゆう風なぐらいで、パイロットが一人もしくは二人、これで飛行機会社が出来るんです。&lt;br /&gt;ものすごい名前がついてる。「エル・コンドル」とかね、「エル・ソル」太陽ですな、&lt;br /&gt;そうゆうのが看板が空港へ行くとずらーと並んでる。&lt;br /&gt;みんなかわい子ちゃんがこちら見てニコニコしてる。&lt;br /&gt;でどれ見てもＤＣ３なんで、どれ乗っても同じやないかというので、&lt;br /&gt;いい加減なところを選んで乗るわけなんです。&lt;br /&gt;危ないことおっかないことったらありゃしないんですけども、&lt;br /&gt;そんなこと言ってられないというわけなんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;乗ってずぅーっと飛んでいくと、際涯果てしない緑のジャングルで、&lt;br /&gt;あぁまだ地球上にもこんな所があったんかいな、見るだけでものびのびしてくるな、&lt;br /&gt;まだ森林資源はあるぞ、酸素がまだ湧いてるぞという感じがしてくるんですが、&lt;br /&gt;あっちにポツーン、こちらにポツーンと時々赤い穴がある、&lt;br /&gt;これがその飛行場ということになるんですが、セメントも何も敷いてない、草ボウボウなんです。&lt;br /&gt;ただ木が切ってあるだけで。&lt;br /&gt;そこへ上から飛び込むみたいにして入っていく。&lt;br /&gt;でガタガタガタガタポンととまると、インディオのお母さんが子供を抱いてこちらを見ている。&lt;br /&gt;まぁ飛行場辺りに出てくるインディオのお母さんはズロースくらいははいてるか、&lt;br /&gt;ブラジャーは危ないですけどね。&lt;br /&gt;それでニコニコ笑ってて、やっぱりこの人も親類かいなとゆう風な顔をしてるんですけども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;この飛行機には癖があって、降りる時はそれでいいんんだけど、次飛び立てないんですね。&lt;br /&gt;それでどうゆう構造になってるかわかんないけど、要するにプロペラがブルンブルン回らない。&lt;br /&gt;でボタン押したり何かするんだけども全然動かない。&lt;br /&gt;パイロットが平気で、こんなこともあるわさ、とゆう顔をして、&lt;br /&gt;どうするかと言うと、飛行機の後部からロープを取り出してきまして、&lt;br /&gt;プロペラの前に飛び出してる所がある、プロペラの軸の所にね、そこへこうロープを巻き付けて、&lt;br /&gt;で空手チョップで目を詰めて、でロープが地面の上をこう這ってる。&lt;br /&gt;それを乗客一同が持って、掛け声はあの辺でも日本でも同じなんで、&lt;br /&gt;「いち、にの、さん」といってやるんです。&lt;br /&gt;スペイン語だから、「uno、dos、tres」と言ってヒョイと引くんですがね、&lt;br /&gt;そうするとあれは意外に重たいもので、三度か四度やってバタバタとたおれて、&lt;br /&gt;四度目ぐらいにやっとグラッと動くと、ブルブルブルブルブル…回ればいい方なんです。&lt;br /&gt;何度となくやっていくわけですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうすると今度はプロペラが回りだしたら、一列をつくって入り口から乗ったら、&lt;br /&gt;そんなもん5分もせんうちに全員乗れるのに、&lt;br /&gt;南米の人々には行列をつくるという考えが概念すらも成立していない。&lt;br /&gt;ウワァーっと押し掛ける。&lt;br /&gt;いくらヤクザなプロペラだって気流が激しいですから、みんながバタバタっと落ちる。&lt;br /&gt;でまたウワァーっとしがみつこうとする。&lt;br /&gt;そんなことせんでも一列に並んだらいいじゃないかと、&lt;br /&gt;カタコトのスペイン語でやるんですけれども、みんなこんなことしてる。&lt;br /&gt;それで乗り込んでやっと出ていくんですが、&lt;br /&gt;滑走路をヨレヨレヨレヨレとあがって、ジャングルの梢すれすれにこういく。&lt;br /&gt;なかなか高くあがれないで、何度も何度もあがって、だんだんあがっていって、&lt;br /&gt;それから上へいって、ようやく飛んでいくという。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;これがしばしば墜ちるんですね。&lt;br /&gt;ホントに。&lt;br /&gt;ボコタの旅館に荷物を預けといて、それで帰って来てからたまった新聞、&lt;br /&gt;私はスペイン語は耳学問だけしか知りませんが、&lt;br /&gt;読むぐらいなら何とかたどれるんでみると、「またＤＣ３が墜ちた」といって、&lt;br /&gt;で手配写真みたいなパイロットとスチュワーデスのかわい子ちゃんと、&lt;br /&gt;乗客の写真がうすらぼけて写ってるんです。&lt;br /&gt;それでその会社がどうやら私たちがボコタを出る時に、&lt;br /&gt;あの会社にしようか、この会社にしようか、&lt;br /&gt;と迷うたその一つの会社だったとゆうことに気がついて、&lt;br /&gt;こっちは何ということはない命拾いをしたというのでホッとするんですが、&lt;br /&gt;行方不明になった飛行機の会社の名前がいいんですがねこれが、&lt;br /&gt;「サテナ」というんです。&lt;br /&gt;ホントですよこれは。&lt;br /&gt;我々が乗ったのは、「ヴェナド」というんです。&lt;br /&gt;「サテナ」というんですがねこれは。&lt;br /&gt;それで飛行機、こんな飛行機に乗って墜ちたら、&lt;br /&gt;今頃東京ではあの開高氏が行方不明になって、&lt;br /&gt;魚釣りに行ったまま飛行機が墜落して死んじゃった。&lt;br /&gt;ちなみにその飛行機会社の名前は「サテナ」というんである。&lt;br /&gt;はじめは信じてもらえないで、テレビのクイズ番組に出るぐらいじゃないかと思うんですけども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;でまぁかろうじて一命をとりとめたんですけれども、&lt;br /&gt;そこからまた今度は、降りた所から川岸まで行って、ぺちゃくちゃしゃべって、&lt;br /&gt;カヌーを一台チャーターして、それで上流へ上流へとあがっていくわけです。&lt;br /&gt;すると両岸は緑の万里の長城という感じで、&lt;br /&gt;斧が入ったことがない、ブルドーザーも入ったことがない、&lt;br /&gt;所々にポツーンとこのインディオの部落がある。&lt;br /&gt;部落というほどでもないんですけど、2.3軒小屋がかたまっている。&lt;br /&gt;でカヌーが結んである。&lt;br /&gt;そのカヌーのお尻についている船外モーターが全部「YAMAHA」なんですね。&lt;br /&gt;これはえらいこっちゃ、ブラジル行った時に日本人と蟻はどこにでもいると聞かされたけど、&lt;br /&gt;こんなアマゾンの上流にまでヤマハのセールスマンが入ってんのか、&lt;br /&gt;これはエラいことになったと思って、よくよく話を聞くとこれが実はですね、&lt;br /&gt;コカインなんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;あの辺はコカインが出来る。&lt;br /&gt;コカインは木にならないんですけど、コカという木の葉っぱがあって、&lt;br /&gt;この木の葉っぱはただの木の葉っぱであって、誰にもケジメがつかない。&lt;br /&gt;この木の葉っぱをちぎってきて、塩酸か何かをぶっかけてドロドロにして、&lt;br /&gt;それから何か実験室で機械にかけると白い粉が出来る。&lt;br /&gt;コカインというやつです。&lt;br /&gt;コカインのペットネームというか暗号というか略語は、&lt;br /&gt;コークというんですアメリカでは、コカコーラのコークと同じなんです。&lt;br /&gt;茶色のコークと白いコークとがある。&lt;br /&gt;液体のコークと粉末のコークがあるわけなんです。&lt;br /&gt;これは覚醒剤です。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;でコカの葉っぱそのものは猛毒じゃないんで、&lt;br /&gt;これはジャングルに住んでいるインディオが、お祭りや何かで一発気勢を上げたいと、&lt;br /&gt;大きな猿が捕れて宴会が出来た、おめでたいという時にはこのコカの葉を山と盛りあげて、&lt;br /&gt;それをクチャクチャクチャクチャ噛んで、カッカッカッカとなってきて、&lt;br /&gt;それで踊ったり跳ねたりしてたわけです。&lt;br /&gt;何千年何万年と。&lt;br /&gt;それ自体別に中毒だの何だのと恐ろしいものではないんですが、&lt;br /&gt;ケミカルにしてしまうとエラいことになってくる。&lt;br /&gt;私もそのコカの葉っぱをやってみたことがあるんです。&lt;br /&gt;市場へ行ったらいくらでも売ってるんですね。&lt;br /&gt;ただの木の葉っぱです、カサカサの。&lt;br /&gt;こんなもの食ったって思うんで、まぁ食ってみろと言うから、むしゃむしゃむしゃむしゃ食うと、&lt;br /&gt;何か青白くてどんよりした妙にパサパサした面白くないもんですが、&lt;br /&gt;大分我慢して噛んでるうちにいくらかほんのりしてきてシャッキリなる。&lt;br /&gt;という程度なんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;ところがこれがご存知のように麻薬中毒の、&lt;br /&gt;北米大陸があるし、全世界へ持ち出されていく。&lt;br /&gt;それからコカインは麻薬だけであるだけではなくて医療品でもあるんで、&lt;br /&gt;正規の病院が正規のルートで手に入る麻薬だけでは&lt;br /&gt;手術の分量に追っつかない、ということを医者に聞かされたことがあるんです。&lt;br /&gt;それで闇で売りにくるモルヒネだとかコカインだとかに手を出して病院が買わなければならない。&lt;br /&gt;そうでないことには手術が出来ない。&lt;br /&gt;そうゆうこともあるということを医者がボソボソ言ってましたけども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そのコカの木を栽培するわけです、インディオがね。&lt;br /&gt;それにコロンビア国は貧しいんで、&lt;br /&gt;あそこは美女、美しい女ですね、&lt;br /&gt;美女とバナナとエメラルドとコーヒー、これだけなんです。&lt;br /&gt;アメリカのマフィアが金を出して、それでコロンビアのヤクザが絡んで、&lt;br /&gt;それがインディオと一緒になって、奥地でコカの木の栽培をしてやっとる、こう言うんです。&lt;br /&gt;で小型飛行機でどんどん運び出してきて、マイアミへ持っていく、で全世界に配られていく。&lt;br /&gt;こうゆうわけなんです。&lt;br /&gt;でアマゾン領土内ならどこでも出来る。&lt;br /&gt;上空から見てケジメがつかない。&lt;br /&gt;いちいち川から入っていかなきゃならないけども、&lt;br /&gt;あの止めどないジャングルだからみんな二の足を踏む。&lt;br /&gt;その前に警官が買収される、税関が買収される、&lt;br /&gt;大物に限ってごっそり買収されるとゆう風なんで、エラいことになってしまう。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;一説によるとコロンビア国は、正規の輸出品で稼いだドルと同じぐらいの金額、&lt;br /&gt;もしくはそれ以上がコカインの密輸出で動いてると言われるんです。&lt;br /&gt;と言うとどうゆうことになるかと言うと、大統領以下乞食までがですね、&lt;br /&gt;使ってる金の半分がキレイなお金、もう半分は汚れたお金、こうゆうことになる。&lt;br /&gt;こうなると一体汚職という概念が成立するかしないか、という問題が出てくるんですけれども。&lt;br /&gt;そこまできてる。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;私は文明をふりはらったつもりで、&lt;br /&gt;「サテナ」に乗らないで「ヴェナド」に乗って、どうにかこうにかたどり着いて、&lt;br /&gt;吠猿が叫んでいるだけの、マラリアの蚊がウンウンいる、&lt;br /&gt;またそうゆう所に限ってやっぱり魚や獣はいいのがいますね。&lt;br /&gt;もしくは言い方をかえると、そうゆう所でないと魚らしい魚、&lt;br /&gt;蝶々らしい蝶々が見られなくなってきてるということも言えるんです。&lt;br /&gt;それで文明をふりはらったつもりで行ったんですけども、&lt;br /&gt;現実はそうゆうわけでコカインラッシュであり、&lt;br /&gt;闇のラッシュであり、現代文明の爛熟の最先端であったということを発見するわけです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうゆうことが度重なるもんですから、&lt;br /&gt;結局文明から逃げるとか、ゆう考え方そのものがもうとっくの昔に時代遅れになってると、&lt;br /&gt;むしろ認識不足と言いたい。&lt;br /&gt;自分に対して。&lt;br /&gt;傲慢であると。&lt;br /&gt;いくら文明に毒されてそこから逃げ出したいからといって、&lt;br /&gt;文明から逃げ出せるなどと考えること自体が間違ってる、と自分に言い聞かせざるをえないんです。&lt;br /&gt;だから妙な感じでね、エラい思いをして、それからマラリアの蚊に刺されながら、&lt;br /&gt;いくら防いだって蚊には刺されるんです。&lt;br /&gt;マラリアの蚊には刺されるけれども、&lt;br /&gt;すぐ刺されたからといってマラリアになるとは限らないんで、&lt;br /&gt;体が健康で白血球がどんどん活躍してくれてる時なら、&lt;br /&gt;マラリアの蚊が毒を注入しても白血球がそれと戦って抑えてくれる。&lt;br /&gt;体が弱ってる時とか、どっかにケガがある、病気がある時にあれを刺されると、&lt;br /&gt;イチコロでいかれる。&lt;br /&gt;しかしいずれにしてもそんな思いをして、ボコタへ帰って来て、シャワーを浴びながら、&lt;br /&gt;やれやれエラい所まで行ってきて、エラい思いをして帰って来て、&lt;br /&gt;結局の所コカインの生産地というのを見ただけじゃないかと、&lt;br /&gt;文明からどんだけ遠ざかったんだろうか、&lt;br /&gt;とまだ文明にこだわってそんなことを考えてるんですけども。&lt;br /&gt;こうゆうことがよく起るんで、大変に難しい。&lt;br /&gt;南方でこうなんですけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;去年私はオンタリオ湖というカナダの大きな湖がありますが、&lt;br /&gt;その北部が北極圏まで大森林地帯になっていて、&lt;br /&gt;これまた飛行機でないと入れない、そこの湖の岸辺に小屋があって、&lt;br /&gt;インディアンの、これはインディオじゃなくてインディアンですけども、&lt;br /&gt;オジブウェイというインディアンですが、&lt;br /&gt;このインディアンのハンターのおじいさんと一緒に10日ほど暮らしたことがあるんですけども。&lt;br /&gt;このおじいさんがよたよたと英語で、抜けた歯で説明してくれるんですけども、&lt;br /&gt;我々は昔は風呂へ入る習慣がなかった。&lt;br /&gt;それには理由があった。&lt;br /&gt;ここら辺はいっぱい蚊がいよる。&lt;br /&gt;蚊は人間の垢の匂いを嫌うんだ。&lt;br /&gt;風呂へ入らなければ蚊は来ないんだ。&lt;br /&gt;我々が風呂に入らなかったのは蚊をよけるためなんだ。&lt;br /&gt;ところが今インディアンのリザベーション、居留地ですね、&lt;br /&gt;これになってみんな政府から補償金もらって暖房のついた家に暮らすようになったけれども、&lt;br /&gt;風呂に入って石鹸を使うようになった。&lt;br /&gt;だから蚊がインディアンを食うようになりよった。&lt;br /&gt;インディアンの若者は、魚も釣れず、獣も捕れず、あれはダメだ。&lt;br /&gt;といって都会へ出ていってもダメだ。&lt;br /&gt;「ならじいさんインディアンの若者は何してるんですか」と聞いたら、&lt;br /&gt;「家のなかに座ってチューインガムを噛んでおる」と苦々しくもこう言っておりましたけれども、&lt;br /&gt;インディアンが蚊に食われる時代なんですね。&lt;br /&gt;別に構わないんですけれども、&lt;br /&gt;インディアンが蚊に食われたって構いませんけれども、&lt;br /&gt;しかし魚や獣についての知識がゼロになってしまってダメだ、とこう嘆いておりましたけど。&lt;br /&gt;これまた文明の爛熟ですなぁ。&lt;br /&gt;あっち行ってもこっち行っても文明なんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;でアマゾンは偉大なる緑の原野ということになってる。&lt;br /&gt;一方あの膨大な量の木材が日夜を問わず切り倒されてるんです。&lt;br /&gt;ブラジル政府は規則をつくりまして、&lt;br /&gt;ジャングルを切り開いて牧場なり畑なりにする時は、&lt;br /&gt;1/4だったか1/5だったかはジャングルのままで残しておけと、&lt;br /&gt;こうゆうお達しがあると言うんですけれども、見た所そんなの誰も守ってる気配がない。&lt;br /&gt;そうするとですね、アマゾンに関して申し上げると、あそこのジャングルを切り倒すと、&lt;br /&gt;翌日何が出現するかというとサハラ砂漠が出てくるんです。&lt;br /&gt;というのはあそこは海底から隆起して出来た盆地で、&lt;br /&gt;元々土壌というものがない、砂があるだけなんです。&lt;br /&gt;だからアマゾン川は橋もない、堤防もない世界で唯一の川ですけども、&lt;br /&gt;私がもう一つ付け足すとですね、これはどのアマゾンの本にも書いてないんですが、&lt;br /&gt;石ころがないんです。&lt;br /&gt;アマゾン川には。&lt;br /&gt;かなり上流まで行っても石ころがない。&lt;br /&gt;それは石ころのある海底が隆起しなかったからなんです。&lt;br /&gt;町の近くには石ころめいたものはありますけれども、&lt;br /&gt;それは町を切り開いた時につくったセメントをこねたり、&lt;br /&gt;岸壁を造ったりする時のセメントやなんかに使った石ころなんであって、&lt;br /&gt;本来ある石じゃないんです。&lt;br /&gt;アマゾン川は偉大ですけど石ころは一個もない。&lt;br /&gt;だからそれゆえに偉大なのかもしれませんが。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;その砂泥がですね、ごぞんじのように雨期になると何メートルと水があがってたまる。&lt;br /&gt;それから乾期になるとそれが引いて川へ戻る。&lt;br /&gt;あそこの木はおかしなジャングルで、&lt;br /&gt;それはあの土地が何億年かかかってつくりあげたものなんですけども、&lt;br /&gt;お互いがもたれ合って木が生えてるんですね。&lt;br /&gt;どっかで一本の大きな木を切り倒すと、バタバタバタバタッと倒れる。&lt;br /&gt;それで木の根っこが浅いんです。&lt;br /&gt;日本の木の根っこの方が土のなかに深く入っている。&lt;br /&gt;いくら土のなかに深く入ったところで栄養分がないんだから深く張ってもしょうがないというので、&lt;br /&gt;浅く広く張っている。&lt;br /&gt;それがお互いにもつれ合って、もたれ合ってたっているのがアマゾンのジャングル。&lt;br /&gt;それで一方で花が咲いてる木があるかと思うと、一方で枯れ葉になって落ちてる木もある。&lt;br /&gt;けったいなジャングルなんです。&lt;br /&gt;よーく見るとそうゆうのが見えてくるんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;で枯れ葉になってカサカサの砂の上にたまっていく。&lt;br /&gt;でジャングルの日陰があるからいくらかのお湿りで木の葉が腐る。&lt;br /&gt;それで腐葉土がいくらか出来る。&lt;br /&gt;ところが雨がきて、水かさが増して、それをかっさらっていく。&lt;br /&gt;単にお日様がささなくても大地はカサカサに干涸びてるわけなんです。&lt;br /&gt;数億年かかって。&lt;br /&gt;それを切り倒すとどうなるかというと、極わずかしかない土壌の、&lt;br /&gt;土のなかの成分が全部日光で分解されて空中へ、ポッ。&lt;br /&gt;風と共に去りぬとなる。&lt;br /&gt;で同時に土がカチンカチンに固くなって、&lt;br /&gt;ラテライトと言いますけど、レンガのように固くなっちゃうわけです。&lt;br /&gt;第二次植林といって、木を切り倒したあとへすぐ木を植えるということをやっても追っつかない。&lt;br /&gt;日光が激しすぎる。&lt;br /&gt;それから切り倒す面積が一度に大きすぎる。&lt;br /&gt;ブルドーザーでボリボリボリボリっとやってしまいますから。&lt;br /&gt;だから数億年かかった森林を一晩のうちに切り倒してしまう。&lt;br /&gt;それで一晩のうちに数億年かかったアマゾンのジャングルが、&lt;br /&gt;数億年かかったサハラ砂漠と同じ砂漠が出てくる。&lt;br /&gt;これが広がる一方なんですね。&lt;br /&gt;どうするかというんで、だんだんだんだん偉大な国にいながら、&lt;br /&gt;無資源国の日本にいるような恐怖に襲われてくる。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでですねアマゾン川が世界に貢献してるのは真水です。&lt;br /&gt;世界中の海へ注ぐ、世界中の陸地から押し流してくる真水、&lt;br /&gt;これのうちの1/5か1/4か、それくらいの量の真水をアマゾン川一つが海へ注いでるわけです。&lt;br /&gt;で海を養ってるわけなんですが、同時に膨大な量の酸素をもつくってる。&lt;br /&gt;ごぞんじのように木が炭酸ガス呼吸をしますから。&lt;br /&gt;そうするとですね、その木を切り倒すということは、砂漠を生むということであるが、&lt;br /&gt;同時に酸素の発生源をなくしてしまってることであると。&lt;br /&gt;こうゆうことになってきますね。&lt;br /&gt;エラいことになるんやないかと私は思うんですが、戦々恐々として帰って来たんですけども、&lt;br /&gt;そのことは本に書きましたけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そこで私は行きませんでしたけれども、&lt;br /&gt;ブラジルのアマゾン開発大臣とゆうようなところへ行って、&lt;br /&gt;おそるおそるびくびくもので、&lt;br /&gt;「セニョール、世界の酸素と水のためにアマゾンを乱伐するのを&lt;br /&gt;　ちょっと抑制して、コントロールしていただけませんかなぁ、&lt;br /&gt;　アマゾンで酸素が発生しなくなると、東京へも酸素が流れて来ないんで、&lt;br /&gt;　地球は回転してるし、空気は回転してるし、おたくが砂漠をつくると、&lt;br /&gt;　こっちが窒息するという時代なんですが…」とこうおずおず申し上げる。&lt;br /&gt;すると向こうは丁寧に南米風にですね、&lt;br /&gt;「わかりました。おっしゃる通りです。コンプレンド（comprendo）わかった」と言う。&lt;br /&gt;でやれやれこれで守ってもらえたかと思うと、&lt;br /&gt;ポッと顔をあげてですね、丁寧な口調で、&lt;br /&gt;「ところで一つお尋ねしたいんですけれども」と言うので、&lt;br /&gt;「何でもどうぞ」と言うと、&lt;br /&gt;「日本とかアメリカとかヨーロッパとかゆう文明先進国なるものは、&lt;br /&gt;　それぞれの祖国の自然をなにがしか損なうことで、&lt;br /&gt;　近代文明をつくってきたんじゃごわせんか」と言うんで、&lt;br /&gt;「その通りだ」とだんだんだんだんこっちはうなだれていくわけです。&lt;br /&gt;山を削り、木を切り倒ししてダムを造り、&lt;br /&gt;それから森を切り倒してレールを敷き、鉄道を敷き、&lt;br /&gt;とこう色々数え上げられると、&lt;br /&gt;「その通り、その通りです」だんだんうなだれていくわけです。&lt;br /&gt;「そうするとあなた方だけは、文明生活をしていてよろしい。&lt;br /&gt;　しかし我々は世界の酸素と水とを守るために、&lt;br /&gt;　いつまでもふんどし一本のインディオ並みのロウソクもない&lt;br /&gt;　生活をしろとおっしゃるんですか」とだんだん向こうが声が高くなってくる。&lt;br /&gt;そうすると皆さんならどう答えますか、&lt;br /&gt;これはもう至るところでこの答えにぶつかるんです。&lt;br /&gt;彼らがそれを口実にしてるということはわかりますが、その口実には論拠がある。&lt;br /&gt;それで結局のところはですね、&lt;br /&gt;「わかりました、すんません、あなた方も文明、そのインディオ並みの生活をせんと、電灯のつく、&lt;br /&gt;　クーラーのある、コカコーラも飲める、そうゆう生活をして下さい」&lt;br /&gt;そうすると、「ジャングル切り開いてよろしいですな」と向こうは言うんで、&lt;br /&gt;おびえながら、「ほどほどにしといて下さい」&lt;br /&gt;ほどほどにという言葉しか出てきようがないんですね、私の考えたところ。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;ブラジルのインテリ、サンパウロ大学の先生、&lt;br /&gt;それから旅行中に知り合った色んなインテリと、この点何度話し合ったか知れないですけれども、&lt;br /&gt;まだ大丈夫だわ、まだ当分はブラジルのアマゾンはある、&lt;br /&gt;ジャングルはあるということを言う人もいるんですが、&lt;br /&gt;人類がかつてやって来たことを振り返ってみると、&lt;br /&gt;まだある、たくさんある、今は大丈夫だ、こうゆうので乱獲やったんですね。&lt;br /&gt;これでダメになった動植物がどんだけあるか、とゆうことになってくるわけです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;だから先にウンチの話をしといたおかげで、どんどんどんどん高級な話になってきたでしょ。&lt;br /&gt;小さな説を書いてるから小説家といわれるのが、こんな地球大のことを心配しだしたんで、&lt;br /&gt;私は大説家にならなきゃならないんですが。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;こうゆう現象がどんどんどんどん蔓延ってきてる。&lt;br /&gt;とゆうことはもうおそらくあの賢き退屈なNHKも、&lt;br /&gt;私はテレビを見ないのでわかりませんけれども、どんどん報道してるんじゃないかと思うんです。&lt;br /&gt;報道はするけれども、テレビで報道したってダメなんで、真面目なことを報道したその後で&lt;br /&gt;すぐにあちゃらかが入ったり、コマーシャルが入ったりするから、ポッとみんな忘れてしまう。&lt;br /&gt;それで放送会社の方は、放送したという良心が満足させられてるんで、&lt;br /&gt;だからここに最大のトリックがあると私は思うんですが、&lt;br /&gt;まぁ仮にNHKが同じことを退屈に報道したってかまいませんよ、&lt;br /&gt;それと同じことを私は言うてるのかもしれませんけれども。&lt;br /&gt;そうゆうわけでどエラいことになってる。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それで19世紀の中頃までですね、アメリカで旅行鳩という鳩がいたんですが、&lt;br /&gt;これはもう当時の記録を読み返してみると、何億という数で、数が知れなかったんです。&lt;br /&gt;で旅行者が鳩が大群をなしてわたっていく、&lt;br /&gt;その下を馬で歩いてたんだけど、8時間かかってもまだその群れがつきなかった。&lt;br /&gt;一日中空が暗かったとゆう風なことを書いてるんです。&lt;br /&gt;鳩の群れのためにですよ。&lt;br /&gt;これがたまたま肉がおいしかったんですね。&lt;br /&gt;それではじめのうちは散弾銃で獲る、トリモチで獲る、投網ひっかけて獲る、かすみ網で獲る、&lt;br /&gt;だんだんだんだん大げさになって、最後には大砲を持ち出してきたやつがいて、&lt;br /&gt;大砲のなかに散弾を込めて、ドカーンと発射すると、何百羽というのがいっぺんに死ぬ。&lt;br /&gt;そうゆう獲り方をして十羽ひとからげで一セントだったとゆう、&lt;br /&gt;樽詰めにして売ったりしてたんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうするとこれがもう一回の産卵期に卵一個しか産めない鳩だったんですが、&lt;br /&gt;何しろ何億といるんでまだ大丈夫だと言ってるうちに、&lt;br /&gt;最後の一羽がとうとうセントルイスだったか、&lt;br /&gt;どっかの動物園で息を引き取ったんです。&lt;br /&gt;これは動物が姿もなく音もなく、姿を消していきますけれども、&lt;br /&gt;絶滅というので、最後の一羽が息を引き取ったのが見届けられている動物の一つなんです。&lt;br /&gt;希有な動物なんです。&lt;br /&gt;これはもう人間に手で回復のしようがない。&lt;br /&gt;みんな当時大丈夫だ、これだけいるんだ、当分大丈夫だ、と言って飲めや食えややってたわけです。&lt;br /&gt;しかも鳩ですからなぁ、主要食品とはいえない、おいしいことはおいしいけれども、&lt;br /&gt;彼らにとっての主食はビーフでしょうからね、まぁおつまみ程度のもんだったんでしょうけれども、&lt;br /&gt;それでもこんなていたらくになる。&lt;br /&gt;バイソンもその運命になりかかったので、慌ててナショナルパークをつくって保護にかかって、&lt;br /&gt;今まぁいくらかづつ増えつつありますけど。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;で今のうち大丈夫、まだ大丈夫だ、&lt;br /&gt;そんなこと言ってるうちに取り返しがつかなくなった例というのは、無限にあるんで、&lt;br /&gt;ひょっとしたらこのアマゾンのジャングルも、&lt;br /&gt;俺が生きてる間よりはもっと早くどエラいことになんのんちゃうか、&lt;br /&gt;ちゃうかじゃない、現になりつつあるんですがね、&lt;br /&gt;そこに住んでないから自分はわからない、住んでてもわからない、&lt;br /&gt;あんだけ広いんだからとおっしゃる。&lt;br /&gt;あんだけ広いからといってとこう説明したって、&lt;br /&gt;広さがわかってるもんだから、話を受け付けない、&lt;br /&gt;受け付けた人は今度は逆に、&lt;br /&gt;あなた方は祖国の山野を犠牲にして、自然を犠牲にして文明をつくった、&lt;br /&gt;我々はそれをやっちゃいかんとおっしゃるのか、とこうこられる。&lt;br /&gt;そうすると返す言葉がない。&lt;br /&gt;こうゆうことですわ。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;魚だけ釣ってればいいのに、こうゆうのがちらちらちらちら目に入ってくるもんですから、&lt;br /&gt;つい気になってこんな所へきて喋ってるんですけど、&lt;br /&gt;「喋って何になるか」と聞かれたら、&lt;br /&gt;「さぁ…」と言うしかない。&lt;br /&gt;問題を提出したことに意義がある、&lt;br /&gt;とクーベルタン男爵は言ってくれてたからいいんですけれども、&lt;br /&gt;クーベルタンはオリンピックだけのことしか言ってないんで、どうしたもんですかねこれは。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;大体が文明というのがどだいエラいことなんで、&lt;br /&gt;人類史上こんなに大量消費のめちゃくちゃな時代はないんで、&lt;br /&gt;昔ならですね、&lt;br /&gt;洞窟時代でもいい、石器時代でもいい、新石器時代でもいい、農耕期初期でもいいんですけれども、&lt;br /&gt;畑で麦なり稲なり育てますね、それで実をとってきて食べる。&lt;br /&gt;いくらか翌年に残しておく。&lt;br /&gt;それで麦藁が残る。&lt;br /&gt;それを刈ってきて焼べる。&lt;br /&gt;あるいはランプにする。&lt;br /&gt;つまり一まいの畑で採れたもので生活の光熱費全部を養ってたわけです。&lt;br /&gt;だけど今はどうかと言うと、&lt;br /&gt;やっぱり畑に種蒔いて、それを刈り取っているのは人間の手ではなくて、&lt;br /&gt;ブルドーザーやらカルチベーター、機械になっただけのことで、&lt;br /&gt;大地に育ててもらわないことには植物は生えてこないということでは、&lt;br /&gt;数億年前、数万年前、数千年前とまったく同じなんです。&lt;br /&gt;同じなのに、食生活が大地の略奪ということではまったく同じなのに、&lt;br /&gt;エネルギーの方はアトムだとか、何とか訳の分からないことになっちゃって、&lt;br /&gt;全然違うようになってしまう。&lt;br /&gt;これが乱開発、乱伐、地球が穴ぼこだらけの栄養失調になっていく最大の原因なんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それからもっと不景気な話をやりますが、&lt;br /&gt;私は戦争を追っかけてましたから、不景気の専門家みたいなもんですけれども、&lt;br /&gt;ちょっとお裾分けしたいんです。&lt;br /&gt;まだ余裕がおありになると見えるんで、切迫してない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;アフリカの飢餓が伝えられてますね。&lt;br /&gt;年がら年中あそこは飢餓が伝えられるんですけれども、&lt;br /&gt;ナイジェリアという所で飢餓戦争があって、私はそれをルポしに行ったんですね。&lt;br /&gt;それでお腹がこんなんで、三角形のおにぎり頭をしてて、マッチの軸みたいな、&lt;br /&gt;子供、女、おばおじいさん、あの風景なんです。&lt;br /&gt;それで国連やら世界各国やらがどんどんどんどん救援物資を運び込む。&lt;br /&gt;ここに問題がありましてね、かの退屈で賢きNHKの画面に出てくるのは、&lt;br /&gt;その救援物資が配給されてる現場の写真が出てるんだと思うんですが、&lt;br /&gt;子供にいっぱいハエがたかってね。でスプーンですくって、お母さんがその横で呆然としてる。&lt;br /&gt;こうゆう風景なんですが。&lt;br /&gt;そこへ行くまでのからくりが描かれてないと思うんです。&lt;br /&gt;それで港なり空港なりどんどん世界中から救援物資が来る。&lt;br /&gt;それで一国民が救われるとは思いませんけれども、かなりの量になるんですね。&lt;br /&gt;それが現場までたどり着くうちに、どこやら消えてしまうんです。&lt;br /&gt;風と共に去りぬとゆうやつで。&lt;br /&gt;これを貪官汚吏と言うんです。&lt;br /&gt;貪る官吏に汚い官吏の吏。&lt;br /&gt;どっかいっちゃうんです。&lt;br /&gt;これなんです問題は。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうゆうのがいっぱいいるから、&lt;br /&gt;現地の政府に渡さないで、直接乗り込んでいって飢えてる子供に渡せばいいじゃないかというと、&lt;br /&gt;我々の主体性と独立性を無視したということになる。&lt;br /&gt;その通りですね。&lt;br /&gt;しょうがないこいつらがネズミの塊だと分かっていても、その政府に渡さざるをえない。&lt;br /&gt;政府のやつは涙流して、ありがとうありがとうと、&lt;br /&gt;本当に涙流してるのかと思いたくなるぐらいの涙を流して、&lt;br /&gt;ありがとうと言い、すかさずガバッととってしまう。&lt;br /&gt;それで現場に着いた時にはガクッと減る。&lt;br /&gt;と言っても我々は送り続けずにはいられないんで、送り続けますけど。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それからまた問題がありましてね、&lt;br /&gt;これが議論されてるかどうか分からないんですが、&lt;br /&gt;ああゆう国にもって行く栄養品で、一番効き目があって、一番いいのは何かと言うと、&lt;br /&gt;まぁ色々あるでしょうけれども、コンデンスミルクなんですね。&lt;br /&gt;これは缶詰だし、あっためて飲むにしたら火があるだけで、火もいらない、水もいらない、&lt;br /&gt;プスッと穴開けてその場で飲めばいいんで、&lt;br /&gt;かなりの栄養分が入っていて、大変にコンパクトないいもんです。&lt;br /&gt;でコンデンスミルクが大量に届くんですね。&lt;br /&gt;それをネズミの群れがガバッととっても、現場へはいくらかくる。&lt;br /&gt;それをお母さんが飲むわけです。&lt;br /&gt;そうするとカラカラの体ですから、大変効き目があって、&lt;br /&gt;お母さんはよみがえるんですが、もう一つトリックがある。&lt;br /&gt;受胎能力をまた回復しちゃうんです。&lt;br /&gt;そして人間は生死極まって行き詰まってくると、女の所に逃げ込むしかないんです。&lt;br /&gt;そこらに身に覚えのある男の人いっぱいいると思うんですけども、私もそうですけれども。&lt;br /&gt;女は男を頼りにせずにいられないから、&lt;br /&gt;オギノ式とかそんなことは分かっちゃいない国だし、&lt;br /&gt;分かってたってそんなこと構っちゃいられないし、&lt;br /&gt;真っ暗だし、カレンダー見てる暇はないし、&lt;br /&gt;それでひしと抱きしめ愛の確認をするとポコッとまたお腹が大きくなる。&lt;br /&gt;飢餓が終わらないうちに大きくなる。&lt;br /&gt;ここですわ。&lt;br /&gt;だから一体ですね、これでは一体救ってるのやら、&lt;br /&gt;災害を増やしてるのやら分からないという状態なんですね。&lt;br /&gt;現実を見ていくと。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでまたアフリカの飢餓が伝えられたかとゆう度に、&lt;br /&gt;私は誰かがそのうちに、コンデンスミルク持っていったらアカンで、&lt;br /&gt;コンデンスミルク持っていったら、受胎能力を回復してまたエラいことになると、&lt;br /&gt;ゆうことを言うやつが私の側近に現れるかと思って見てるけども、&lt;br /&gt;「エラいこってすなぁ」と言うだけで、&lt;br /&gt;「で今月の原稿締め切り」とこうゆうことを言う。&lt;br /&gt;いつまでたってもこれですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;あのベトナム戦争はですね、ベトナム人同士の殺し合いに、&lt;br /&gt;アメリカとソビエトと色んなものが重なり合った戦争でしたけれども、&lt;br /&gt;サイゴンで見てると、墓場がどんどんどんどん毎日毎日どぉーっと広がっていくわけですね。&lt;br /&gt;政府軍側の方ですけれども。&lt;br /&gt;ベトコンさんの方はジャングルを埋めてるんですけれども、&lt;br /&gt;これでは種族民族絶滅闘争になる、と私は思い詰めていたんです。&lt;br /&gt;ある時、1968年ですがたまたまやっぱり最前線でしたけれども、&lt;br /&gt;魚釣りに行ったの。&lt;br /&gt;戦争しているところへ。&lt;br /&gt;それで皆さんお笑いになる。&lt;br /&gt;私も自分でサイゴン出る時笑ったんで、&lt;br /&gt;人が生きるの死ぬの殺し合いしている最中に魚釣りとは何事か、&lt;br /&gt;といってほっぺた張りとばされたら、素直に黙って右のほっぺた差し出して、&lt;br /&gt;もう一つ張っておくんなはれ、と言おうと思って行ったんですが、&lt;br /&gt;現場へ行くとまったく逆で大歓迎。&lt;br /&gt;それで水を持ってきて飲めと言ったり、村長が出てきてバナナくれたりね。&lt;br /&gt;そっちの所じゃダメだからこっち行って釣れとかね。&lt;br /&gt;エラい優しいんです。&lt;br /&gt;一宿一飯の仁義を尽くしてくれるんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それで夜更けに、&lt;br /&gt;当時は私ベトナム語が出来たんで、ヨタヨタヨタヨタしたベトナム語で色んなことを聞くんですが、&lt;br /&gt;川漁師がやって来て、「近頃魚が捕れなくなった」と言うんです。&lt;br /&gt;「それはどういうことだ？」と聞いたら、&lt;br /&gt;漁師はこともなげにですね、&lt;br /&gt;「わしが思うに人間が増えたんやなぁ」とこう言うんです。&lt;br /&gt;「人間が増えたって、こんだけものすごい戦争をしてて人間は増えるのかね？」&lt;br /&gt;「増える増える、そら増えとるで」と言うんです。&lt;br /&gt;それで一生を川で送ってきた男の、現場の男の意見だからこれは尊重せんといかんのやろうけど、&lt;br /&gt;一方あの膨大な墓場の風景が目に浮かぶから、&lt;br /&gt;どうゆうことかしらんと思って迷うてたんですがね、&lt;br /&gt;ベトナム戦争が終わってからですね、&lt;br /&gt;北ベトナムハノイの政府が新しい政治綱領をうちだしてるんですが、&lt;br /&gt;その三つ目、&lt;br /&gt;人口を抑制しなければならない、と書いてるんですねちゃんと。&lt;br /&gt;それだけ人間が増えてるんです。&lt;br /&gt;あれだけ殺し合いしてると思うのに、増えてるんです人間はね。&lt;br /&gt;こうゆうことがあるんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;だからなかなか物事というのは一面で考えて、&lt;br /&gt;涙流してみたり、怒ってみたりしてもしょうがないんで、&lt;br /&gt;裏の裏まで考えなきゃいけないけど、どこまでいったら裏が無くなんのか分かりゃしない。&lt;br /&gt;それで私はもう小さな説だけ書いて、細々ともう夕日の中を歩んでる世代ですから、&lt;br /&gt;とぼとぼと釣り竿担いで去っていきますけれども、&lt;br /&gt;ここにいらっしゃる若い世代は、これから色んな目にお会いになるでしょうけれども、&lt;br /&gt;どうゆう時代がくるのか私には分かりませんけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;だから・・・&lt;br /&gt;結論を一生懸命出そうと思って今さっきから考えてるんだけれども、&lt;br /&gt;どこへこのNHKなみの教訓をもってきたらいいのか、&lt;br /&gt;ただまぁね、私の話にいくらかの救いようがあるとすれば、&lt;br /&gt;今後アフリカの飢餓をご覧になった時に、その写真を見ながら、&lt;br /&gt;救援物資で毛布を送った、色んなものを送ったんやが、それはどこにきてんねやろう、&lt;br /&gt;それから毛布がおそらく現地政府の人に渡される場面は出ると思いますよ、&lt;br /&gt;だけどそれが本当に現場まで届いてるかどうかを、画面見るだけで見ていただきたい。&lt;br /&gt;それからコンデンスミルクを飲んでるかどうかね。&lt;br /&gt;それから飢えてるはずのお母さんのお腹だけが異様に、&lt;br /&gt;子供を含んで孕んでるかどうか、とゆう風なことも見る。&lt;br /&gt;とゆうように眼光炯々と鋭くなっていただきたい。&lt;br /&gt;それぐらいのことは言えると思うんです。&lt;br /&gt;それから緑滴るアマゾンの原野、という字を見たら、&lt;br /&gt;あぁこいつはあんまり知らんやっちゃなぁ、のんきなやっちゃなぁ、&lt;br /&gt;その緑の中に白いコカインが氾濫してる、ジャングルが切られてるということに気がつかないで、&lt;br /&gt;昔の開高さんみたいな甘っちょろいこと言ってるぞと、&lt;br /&gt;ゆう風なことを考えといていただければ、&lt;br /&gt;いくらか講演をした甲斐があるというのか、結論めいてるというのか、&lt;br /&gt;よく分からないんですけれども、&lt;br /&gt;まぁよい質問にはすでに半ばの答えが含まれている、とゆう考え方をするならば、&lt;br /&gt;私の話がもしよい質問であったならば、どこかに答えが半分は含まれてるんで、&lt;br /&gt;それは今晩家へ帰って、お風呂入るか、トイレ入った時によく考えといていただけたらと思います。&lt;br /&gt;えぇエラい長々とあっち曲がったり、こっち曲がったりと、&lt;br /&gt;行き当たりばったりでまとまりの無い話で、&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;恐縮でした。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-7511941377543705783?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/7511941377543705783/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=7511941377543705783' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7511941377543705783'/><link rel='self' type='application/atom+xml' 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0);"&gt;&lt;span&gt;言葉の本質について語った講演『経験・言葉・虚構』&lt;/span&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;/span&gt;&lt;/span&gt;&lt;br /&gt;私が開高です。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;この会場で話をするのは四年ぶりになりますか、&lt;br /&gt;「輝ける闇」という小説を書いたときにも出てきたんですが、&lt;br /&gt;それからあっちゃこっちゃまた外国をほっつき歩いて、&lt;br /&gt;やっぱり戦争が多かったんですけれども、&lt;br /&gt;それから書斎に戻って一切合切もう放浪はやめた、というので小説を書きにかかって、&lt;br /&gt;随分手前味噌になっちゃうんですけれども苦しい思いをさせられたんですが、&lt;br /&gt;歳をとるにしたがって小説は難しくなっていくような気がします。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;色々なことで苦しめられたんですけれども、&lt;br /&gt;一番苦しめられたのは言葉の問題で、&lt;br /&gt;私はビアフラ戦争だとか、ベトナム戦争だとか、中近東の戦争だとか、アイヒマン裁判だとか、&lt;br /&gt;そういうどぎついえげつない場所に出没することが多かったので、&lt;br /&gt;ルポルタージュというものを書くときも、&lt;br /&gt;ルポルタージュにも色々なものがありまして、&lt;br /&gt;究極的には言葉で組み立てていく仕事なんですから、&lt;br /&gt;これは厳密な意味でいけば、ノンフィクションといってもフィクションの一種なんである、&lt;br /&gt;というふうに小説家としては考えておかなければならない所なんですが、&lt;br /&gt;人の生死に関わるような問題をルポするときには、&lt;br /&gt;ルポはノンフィクションがフィクションを含んでよい場合もあるけれども、&lt;br /&gt;そういう場合のノンフィクションは絶対小説的フィクションの要素を排除しなければならない、&lt;br /&gt;という気持ちで書いてきた訳です。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでフィクションはフィクション、&lt;br /&gt;ノンフィクションはノンフィクションと区別してやってたつもりなんですけれども、&lt;br /&gt;いつの間にか入り交じってしまうんですね。&lt;br /&gt;それでいざ今度フィクションに戻ろうとすると、&lt;br /&gt;フィクションにはやっぱりフィクションの文脈と言いますか、何かそういう体臭のようなものがあって、&lt;br /&gt;ノンフィクション書くのに慣れた意識で書こうとすると非常に苦しい思いをさせられる。&lt;br /&gt;で随分苦しんで最近やっと一つ書くことができたわけです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;最近おそらく平和が続いているせいではないかと思うことにしているんですけれども、&lt;br /&gt;言語論というのが旺盛活発に、特にヨーロッパとアメリカで行われていて、&lt;br /&gt;言語とな何ぞや、ということが研究がされているんですけども、これが実によくわからないんですね。&lt;br /&gt;色んな説があって、どれもみなひとつづつ、少しづつはあたっている。&lt;br /&gt;しかし完璧と思えるものがない。&lt;br /&gt;おそらく今後何十年かかっても完璧というふうなものは出てこれないんじゃないかと思うんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それはなぜかといいますと、&lt;br /&gt;言語という活動が、つまり人間の一番根源的な暗い部分から、陰の部分から出てくる衝動で、&lt;br /&gt;容易なことでは光を当てることができないからじゃないかと思うんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;私は子供のときに、１４、５歳の頃ですけれども、&lt;br /&gt;戦争が終わって、野坂昭如が焼け跡、闇市と叫びまくっているあの時代のことなんですが、&lt;br /&gt;食うに困って色んなことをして暮らしてたんですけれども、&lt;br /&gt;めったやたらに本ばっかり読んでいたんです。&lt;br /&gt;パンを焼きながら本を読んで、リンカーンのまねごとのような生活をしたんですけれども、&lt;br /&gt;リンカーンほど意志が強くなかったから、&lt;br /&gt;パン食ってオーブンにあたるとあたたかくなって、寝てばっかりだったんですけれども、&lt;br /&gt;そのときも自分が神経がそよいで、朝白と考えたことを一時間後には黒と考えてるし、&lt;br /&gt;それからやたらに本を読むんですが、どれもこれもみんな名作傑作で、&lt;br /&gt;打撃を受けるばかりでどうしようもない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それから自分がかわりやすくて捉えることができないんですが、&lt;br /&gt;カゲロウみたいなものなんですけれども、&lt;br /&gt;同時に一切の事物がカゲロウみたいに感じられてきて、&lt;br /&gt;絶対にさびない、指紋がつかない、純粋で輝いている、そして動かない、&lt;br /&gt;そうゆう絶対というふうなものはないんだろうか、&lt;br /&gt;という欲求に取り憑かれたことがあるんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;自分が音楽家の才能もないし、&lt;br /&gt;画家になる才能もないということだけぐらいはわかってたんですけれども、&lt;br /&gt;言葉の中にそうゆうものを求めようとして&lt;br /&gt;非常に苦しんだ記憶がある。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;「人間一日に一度は自殺を考えないやつは馬鹿である」&lt;br /&gt;というイギリス人の諺があるんですけれども、&lt;br /&gt;馬鹿には違いないけど、毎日自殺ばかり考えてたんですが、&lt;br /&gt;自殺を考えた動機には様々な動機があるんですけれども、&lt;br /&gt;どうしても言葉というものがつかまえられないし、&lt;br /&gt;純粋というものも手に入らない。&lt;br /&gt;それで七転八倒したことがある。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それから文字というものを夜更けになってじっと眺めていますと、&lt;br /&gt;一切合切が解体していってしまって、&lt;br /&gt;「木」というものを表現するのになぜこの字をつかわなければならないのか、&lt;br /&gt;それがわからなくなってくるんですね。&lt;br /&gt;バラバラになってしまう。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;おそらくこの中にもそうゆう経験をしてらっしゃる方が多いんじゃないかと思うんですけれども、&lt;br /&gt;そのために世の中の一番究極的な約束事を疑ってかかるわけですから、&lt;br /&gt;それから先へは一歩も進めなくなってしまう。&lt;br /&gt;そうゆうことに苦しめられたことがあります。&lt;br /&gt;かなり長い間苦しめられたんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;普通恋をしているときには恋愛とは何ぞやと考える人はいないでしょうけれども、&lt;br /&gt;小説家も小説を書いてる最中とか、書きたいという欲求がおこってきたときには、&lt;br /&gt;文学とは何ぞやということは考えないんで、&lt;br /&gt;小説家の書く文学論というのは、政党の公約みたいなところがあり、&lt;br /&gt;どうゆうものか約束したことと必ず反対のことをやっちまうとか。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;例えば、サルトルに文学とは何ぞやと文学論がありますけれども、&lt;br /&gt;これを彼の「自由への道」という小説と比べてみると、全然チグハグになっている。&lt;br /&gt;矛盾している。&lt;br /&gt;そうゆう箇所がいっぱいある。&lt;br /&gt;それを咎めてもいけないような気がするんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それで自分の中でモチーフが動いていない、&lt;br /&gt;小説を書いていない、あるいは書けない、自分が生きた心地がしていないときに、&lt;br /&gt;やっぱり文学とは何ぞやというふうな疑いに取り憑かれて、書いているのかもしれないんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;今日話することも、今私は小説が終わった後で、&lt;br /&gt;次の小説にかかる前でブランクの段階にあるわけで、&lt;br /&gt;こうゆうことをしゃべるのかもしれないですけれども、&lt;br /&gt;言葉とか虚構とかいうことを考える度に一つのことを思い出すんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;どうゆうことかといいますとね、&lt;br /&gt;私は奄美大島へ行ったことがあるんです、何度も行ってるんですけども、&lt;br /&gt;あの近くには島がいくつもある、徳之島とか永良部島とかいくつもあるんですけども、&lt;br /&gt;その喜界島だったか沖永良部島だったか、&lt;br /&gt;そこへ私の友達の言語学者が住み着きまして、テープレコーダーを持って民話を採集にいったんですね。&lt;br /&gt;その奥さんというのがアメリカ人で、プリンストン大学を出てて、&lt;br /&gt;背は低いけれども、日本語は私より達者なんですが、この二人組がその島に乗り込んだわけですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうゆう島はどうなってるかといいますと、&lt;br /&gt;行ったことがおありになる方はご存知でしょうけども、&lt;br /&gt;珊瑚礁でできていて、沖の遠くまで珊瑚がはっているから港が造れないんで、&lt;br /&gt;奄美大島なんかから船が来ると、カヌーみたいなのを漕ぎ出してきて、&lt;br /&gt;沖で客が大きな船から小さな船へ移る、&lt;br /&gt;そのときに波がこう揺れるんで、大きな船と小さな船が同じ水準になったときに、ピョイと飛び移る。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;あそこらへんは歓迎の言葉でもなんでも「ヤイ」というんですけども、&lt;br /&gt;「ヤイヤイヤイヤイ」と夜中闇の中で声が掛かるんで、&lt;br /&gt;どやされたのかと思うんですがこれは歓迎の言葉であって、&lt;br /&gt;歓迎の言葉は島が一つ違うと、あのへんでは全部違うんです。&lt;br /&gt;喜界島とか永良部島では「ヤイ」かもしれないけども、&lt;br /&gt;奄美大島では「アゲー」というんですね。&lt;br /&gt;皇太子が来ると、ここに新聞がありますが、&lt;br /&gt;「全島こぞってアゲーの声上がる」と書いてあるんですけれどもね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうゆう島は珊瑚礁で白くて、ガジュマルの木が生えていて、&lt;br /&gt;数千年前と同じ波の音、同じ色で、&lt;br /&gt;スモッグもなければ、煙突もなければ、人家もない。&lt;br /&gt;ところがそうゆう珊瑚礁にたった一軒、ブリキで小屋が建ってるんですね。&lt;br /&gt;そして「サロンパリ」などとかいてある。&lt;br /&gt;まぁここが我が国の我が国たる所以なんですけども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;この南海の「サロンパリ」へ入っていくとどうゆうことになるかというと、&lt;br /&gt;シャコ貝というシェルの石油のマークになっている貝がありますけれども、&lt;br /&gt;ああゆう貝を肉をとった後、洗って、さらして、これを杯のかわりにする。&lt;br /&gt;黒砂糖からとった焼酎をダブダブダブダブダブ‥と注ぐんですね。&lt;br /&gt;これは底がついてないから、&lt;br /&gt;グゥ〜と安宅の関の弁慶みたいに全部飲み干してしまわないことには置くことができない。&lt;br /&gt;置くとコロンと転がってしまう。&lt;br /&gt;それでそうゆう焼酎をそのまま出されるまま飲んで、&lt;br /&gt;ばたんきゅうといって客が倒れると、「これはいい客だ」といってほめてもらえる。&lt;br /&gt;大体奄美大島でそうゆう習慣ですけども、そうゆう島になると特にそれが濃厚激烈なんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;私の友人は十何人か何十人か位の人口しかないその島で、&lt;br /&gt;おじいさんにその島に伝わる昔からの民話を色々聞いてたんですね。&lt;br /&gt;でテープレコーダーに録ったりなんかして、&lt;br /&gt;言語学者ですから色々別の種類の研究、分析をやってたんだと思うんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでもう最後だと思って&lt;br /&gt;今日これでお別れするというんで海岸で別れて、&lt;br /&gt;するとそのおじいさんが別れていったんですが、汗ダクダクになって帰ってきてですね、&lt;br /&gt;「家帰って戸を開けたらこれくらいの長い虫がいました」と言うんですね。&lt;br /&gt;でその言語学者夫婦は、つまり今おじいさんが家へ帰って戸を開けたら、&lt;br /&gt;南方には木の倒れたあとヤスデという長いムカデの親玉みたいな虫がいますけども、&lt;br /&gt;それが水屋かどっかに入り込んでいたのを、それを知らせにきたんじゃないかと思って、&lt;br /&gt;「あ、そう」と言ったら、&lt;br /&gt;よくよく聞いてみると違うんですね。&lt;br /&gt;それが民話なんです。&lt;br /&gt;それだけきりの民話なんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;『家帰って戸を開けたらこれくらいの虫がいました 』&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;たったそれだけきりなんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでプリンストンとハーバードと東大はひっくり返ってしまってですね、&lt;br /&gt;人類数千年間の言語活動が一挙にひっくり返されたような思いになって、&lt;br /&gt;呆然として奄美大島に帰ってきて、&lt;br /&gt;そこでまたお酒飲んで呆然としている私とあって、&lt;br /&gt;それでこうゆう話を聞いて、&lt;br /&gt;僕も実は近年ああゆうショックを受けたことがないんですけども、&lt;br /&gt;ひどいショックを受けて、それからその話が忘れられない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;大体どの民族、古今東西どの民族の民話を読んでもですね、&lt;br /&gt;浦島さんにしてもカチカチ山にしても、あるいはジャックと豆の木にしたって、&lt;br /&gt;家庭があったり、少年がいたり、&lt;br /&gt;悪魔が出てきたり、善と悪が戦ったり、とかこうゆうことがあって、&lt;br /&gt;現世の現実を、いくらかバリエーションを、&lt;br /&gt;あるいはおおいにバリエーションをつけてそれを語る。&lt;br /&gt;とゆうことで意識の空間を埋めていく。&lt;br /&gt;で別の空間を創りだす。&lt;br /&gt;こうゆうのが民話の根本的な衝動だろうと思うんですけど。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;だけど、&lt;br /&gt;『家帰って戸を開けたらこれくらいの虫がいました 』&lt;br /&gt;とゆうのはこれは何だ、と僕はいうんですけどね、&lt;br /&gt;空間衝動ではない、時間衝動ですらない。&lt;br /&gt;未だに僕はこれがわからないんで、謎のように漂っている。&lt;br /&gt;スフィンクスがその下を通る軍隊に、じゃない人間に謎を投げかけて困らせた、&lt;br /&gt;という話がありますけども、&lt;br /&gt;そのスフィンクスの謎の一つの筆頭はこれじゃないかと思いたくなるくらいなんで。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;どうすればこうゆう物の感じ方、考え方というものが出てくるのか、&lt;br /&gt;柳田邦男さんが生きてらっしゃったら、早速とんでいって尋ねたいところなんですけれども、&lt;br /&gt;それでそのプリンストン及びハーバード兼東大に、&lt;br /&gt;「これはいったいどうゆうこと？」と聞くんだけど、&lt;br /&gt;彼らは呆然としたまま、&lt;br /&gt;「どうゆうことかわからない、とにかくそうゆうことだ」と言うんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;もし世界民話コンクールというものをやったならば、&lt;br /&gt;ちょうど真ん中へんくらいまできて、審査員がたるんだ頃にこれをポッと出せば、&lt;br /&gt;一発で一等になれるんじゃないかとゆうふうに私は思うんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;文学が理想とするところは色々あって、&lt;br /&gt;単純さを理想とする、&lt;br /&gt;複雑さを理想とする、&lt;br /&gt;繊細さを理想とする、&lt;br /&gt;剛健さを理想とする、&lt;br /&gt;色々ありますけれども、&lt;br /&gt;おそらく百人の作家がいれば百の理想があるんだろうと思いますけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;もしこの民話をその島の子供が、子供の時から聞かされて育って、&lt;br /&gt;そうゆう物の考え方、感じ方というのが、&lt;br /&gt;私には到底掴みようもないんですけど、それが身についていて、&lt;br /&gt;その民話を、&lt;br /&gt;「太郎ちゃんいい子だからお話聞かせてあげるからねんねするのよ、&lt;br /&gt;　家帰って戸を開けたらこれくらいの虫がいました」&lt;br /&gt;せいぜいついている注釈で、こんなんでもない、こんなんでもない、このくらいだった。&lt;br /&gt;と言ったというんですけどね、おじいさんが。&lt;br /&gt;これは本望に対する注くらいのところであまり意味がない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それを喜び楽しみ、それで心が満たされるというんならそれでいいんであって、&lt;br /&gt;これはおそらく文学の理想ではあるまいか、という風に私は考えるんです。&lt;br /&gt;到底私にはそうゆうことは考えようにも考えつきようがない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;ヨーロッパでブルトンなんかがシュールレアリスム運動をやったときに、&lt;br /&gt;色んな突飛なアイディアを結びつけて、&lt;br /&gt;閃光と言うか、花火と言うか、そのようなイメージがひらく、&lt;br /&gt;そうゆう詩の運動を始めたことがありましたけど、&lt;br /&gt;どんなシュールレアリスムの詩を持ってきても、&lt;br /&gt;これを凌ぐことはできないんじゃないかとゆうふうな気がするんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;こうゆうものをつくり出したものはどうゆうことなんだろうかと思って、&lt;br /&gt;未だに考えてるんですけども、謎のまま漂っていてわからない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうゆうこともあるんだということだけ申し上げておいて‥&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;普通小説を書きにかかるときによくいわれるのは&lt;br /&gt;視覚型か、聴覚型か、&lt;br /&gt;つまり眼で見るタイプの小説家か、音で聴くタイプの小説家か、&lt;br /&gt;そうゆう分け方、分類法があるんですけど、&lt;br /&gt;それに匂い、香りということも大事だろうと思うんですが、&lt;br /&gt;プルーストのような小説家は香りが非常に重要な役を果たしていますけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;例えば、という話をすると、去年までは私はすぐに、&lt;br /&gt;インドシナの田んぼで倒れている殺された農民の眼の上にハエが這っていまして‥&lt;br /&gt;という話をすぐ引っ張ってきていたんですけども、もう戦争の話はつくづく嫌になったので、&lt;br /&gt;今日はそうゆう例えをもってこないで、もっとやさしいとこから引用したいと思うんですけど。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;経験というのにも色々ありますけれども、&lt;br /&gt;例えば私がある女友達と、&lt;br /&gt;例えばの話ですよ、&lt;br /&gt;レストランへ行ったとします。&lt;br /&gt;それでロウソクの、キャンドルライトで食事をしたとしますね。&lt;br /&gt;キャンドルライトでなくても、キャンドルライトに等しいような薄暗い中で食事をしたとする。&lt;br /&gt;薄暗い中で光っている、こちらが大いに関心を寄せている女性の眼というのは、&lt;br /&gt;これ以上の宝石はないと私は思っているんですけども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでその眼ばっかり見つめて、私は食事をし、お酒を飲み、楽しんで、&lt;br /&gt;いい気持ちになって、外へ出て別れる。&lt;br /&gt;別れてから一町ほど行ってから、愕然とあることに気がつく。&lt;br /&gt;つまり私はその女性の、女友達の眼ばっかり見てたんでけれども、&lt;br /&gt;よくよく考えてみると、その女友達の眼は、私と女友達の間にある中間のどこか一点か、&lt;br /&gt;もしくは私の後ろ辺りを見ていたんであって、&lt;br /&gt;私を見ていたんではなかった。&lt;br /&gt;ということに気がつく。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;例えば、ですよ。&lt;br /&gt;こうゆうのをフランス語で、アムール アメール（Amour Amer）苦い恋というんですけど。&lt;br /&gt;それで私は非常に苦いキズをうける、キズをうけると人間はそれを克服しなければならないんで、&lt;br /&gt;勝手な理屈を色々考えだすんです。&lt;br /&gt;しかしどおしても私の勘に過ちはないと私は思う、ここが出発点で、&lt;br /&gt;彼女は私を見ていなかった、関心が私になかった。&lt;br /&gt;恋というものは最初の一瞥で大体のところの本質は決まるような気がするんで、&lt;br /&gt;何度もそれ以前に食事をしていてわかっていなければいけないのに、&lt;br /&gt;未練があって、あるいはこちらに過剰なものがあったために、&lt;br /&gt;最初の知性的な認識を踏み外してしまって、どうも私のうぬぼれか間違っていたと。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それから彼女は私を見ていなかったけれど、そうするとあれはいったい何を見ていたんだろうとか、&lt;br /&gt;しかし恋は押しの一手ということあるから、&lt;br /&gt;知らぬふりしてもう一度再三攻撃やるか、203高地という例もある、などと考えたりもするし、&lt;br /&gt;いや年甲斐もないとささやく声にも耳を傾けたり、とつおいつ迷う。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それで日が過ぎていくんですけれども、そうするとその時‥これ全部例えの話ですよ。&lt;br /&gt;色んなコンペンセイション（compensation）というか、&lt;br /&gt;補償作用をやって弁解したり、恭順したり、&lt;br /&gt;「なんだあんなつまらない女」と時にはいってみたり、&lt;br /&gt;「いやそうでもない」と思い返してみたり、とゆうふうなことをやりますけれども、&lt;br /&gt;これは後から出てくるもので、最初につきまとって離れない、&lt;br /&gt;それから私の薄暗い意識の中で浮き沈み、明滅するのは、&lt;br /&gt;ロウソクの光の中で夜の湖のように輝いていた、その女友達の眼であると。&lt;br /&gt;その眼がつきまとって離れない。&lt;br /&gt;つきまとって離れないものは私にはいっぱいありますけれども、例えばそうゆう眼がある。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうするとこの眼をなんとかして克服しなければいけないということになってきて、&lt;br /&gt;もちろん色々今さっきいたような弁解、強弁、あるいは次の戦術戦略、&lt;br /&gt;色んなことを考えますけれども、あるいは心理分析ということも考えるんですけども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;最初にくるのはイメージなんですね。&lt;br /&gt;このイメージが意味するものは言葉にかえられない、それを必死になって言葉にかえようとする。&lt;br /&gt;言葉、または文字にかえようとする。&lt;br /&gt;なぜか？&lt;br /&gt;その呪縛から、束縛から逃げたいからなんで、&lt;br /&gt;それはたとえば彼女が私を見ていたとしても、&lt;br /&gt;もしその眼が夜の湖のように輝いていて、私につきまとって離れていなかったらですね、&lt;br /&gt;私は恋を得たうえに、またその宝石のような眼まで得たんですから、&lt;br /&gt;果報者とゆうことになるんですけれども。&lt;br /&gt;そのときでもやっぱりその眼は私につきまとって離れないんじゃないかと思うんですけどね。&lt;br /&gt;いずれにしても私は敏感なんですから。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうするとこれを克服するために何故文字を選ぶか、&lt;br /&gt;ということが問題になってくる。&lt;br /&gt;今までのが例え話で、これからが現理論になるわけですけども、&lt;br /&gt;色んな解釈のしかたがあるんですけれども、&lt;br /&gt;そしてどの解釈も先に申し上げたように少しづつ真実であるが、その全部を合わせても、&lt;br /&gt;言語とゆうものの衝動を解説することはできないんですが、&lt;br /&gt;私がよく考えるのは、好きな考え方というのは、こうゆう考え方なんで‥&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;例えば言語とか文字とかゆうものが出来なかった、&lt;br /&gt;出来ていなかった昔、時代があって、&lt;br /&gt;その時ライオンという文字は出来ていなかったし、&lt;br /&gt;ライオンという言葉も出来ていなかったわけですね。&lt;br /&gt;するとライオンとは何かといいますと、強いて解説すると、&lt;br /&gt;強力な脚をもち、鋭い爪をもち、ものすごい牙をもっている、混沌とした恐怖の固まり。&lt;br /&gt;速くて、痛くて、鋭い、恐ろしい混沌の固まりなんですね。&lt;br /&gt;ライオンじゃなかったわけです。&lt;br /&gt;ところが一度これにライオンという言葉をつくってあてはめてしまいますと、&lt;br /&gt;ライオンはどうなるかというと、人間の意識の中でかわってしまう。&lt;br /&gt;やっぱり依然として、鋭くて、速くて、恐ろしい牙をもっているけれども、&lt;br /&gt;ただの四つ足の獣にかわってしまうわけですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;ここで克服できたわけです。&lt;br /&gt;これが文学の始まりなんです。&lt;br /&gt;と私は考えるんですけども、そうゆう考え方の方が私は好きなんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それで人類は意識の内と外にある自分の心と体の内と外にある世界を克服すると称して、&lt;br /&gt;そうしなければ生きてこれなかったから、それで無数の言葉を編み出してきたわけですね。&lt;br /&gt;それで現実を覆ってきたわけです。&lt;br /&gt;それで克服し、今度は克服しすぎて、現代にいたっては言葉の数が多くなりすぎて、&lt;br /&gt;その数の大きさ、広さ、重さ、複雑さのために、&lt;br /&gt;人類はかえってよろめいてですね、本体を掴むことが今出来なくなってきている。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;つまり石器時代にはライオンという言葉がなくて、&lt;br /&gt;我々の髭もじゃの先祖が苦しみ抜いたんですけれども、&lt;br /&gt;そして最初に誰がこのライオンという言葉を発明したのかわかりませんが、&lt;br /&gt;ものすごい男だったと思うんですね。&lt;br /&gt;それからライオンは一例のすぎませんけれども、&lt;br /&gt;もっと恐ろしいこと、強大な、強烈なことを発明した男は、&lt;br /&gt;「夜」という言葉と、&lt;br /&gt;「ひ」？という言葉を発明した男ね、&lt;br /&gt;これが人類の最大の脅威だったと思うんですけど、&lt;br /&gt;少なくとも夜の一部分、あるいは夜の本質の一部分を、&lt;br /&gt;夜という言葉をつくることで我々の中へ獲得してしまった。&lt;br /&gt;それで夜に立ち向かう力を与えてくれた。&lt;br /&gt;その力が幻覚であったか、リアリズムであったかということは、今はもう議論できない。&lt;br /&gt;いずれにしてもそうゆうことをした。&lt;br /&gt;だから「夜」という言葉と「ひ」？という言葉を発明した男は、&lt;br /&gt;たいへんな男だったと思うんです。&lt;br /&gt;おそらく一人ではなくて、何千年とかかって苦しみ抜いてつくったんだろうと思うんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでそれほど苦しんで現実に対応したんですが、&lt;br /&gt;今はそんなに現実に苦しまなくて次から次へと無数の言葉をつくってきて、&lt;br /&gt;次から次へと発生していく、&lt;br /&gt;あるいは自分が生み出していく現象及び現実に対して言葉をあてはめていくわけです。&lt;br /&gt;それで今度はどうゆうことになるかというと、言葉自体が自己展開、自己増殖を始めて、&lt;br /&gt;現実がないのに、言葉そのものが現実になってしまうような世界がきてる。&lt;br /&gt;それすらも過飽和になってしまって、今どうしていいのかわからないという状態があると思うんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでしかし依然としてやっぱり&lt;br /&gt;石器時代に我々を襲った恐怖というか混沌とゆうものは我々の内部に依然として潜んでいて、&lt;br /&gt;これが人間の影の部分として我々の言動を支配しているんじゃないか&lt;br /&gt;と思われることがしばしばあるわけです。&lt;br /&gt;それが証拠に、名状に苦しむという言葉がいっぱいありますからね。&lt;br /&gt;名状に苦しむことはいっぱいあるわけです。&lt;br /&gt;それは依然として続いているわけです。&lt;br /&gt;人間の本質はあまりかわっていない。&lt;br /&gt;ただ無数の言葉が出来ちゃって、&lt;br /&gt;その遺産のために背骨が今折れそうになっているというのが我々の偽らざる所ではないかと、&lt;br /&gt;特に都会ではそうじゃないかという気がするんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そこでまたもう一度私が錯覚、誤解した優しい女の眼に戻りますけれども、&lt;br /&gt;で今ライオンはいないので、私の身のまわりに女の眼だけが漂っている、&lt;br /&gt;それでこの眼の呪縛から逃げたい、&lt;br /&gt;夜の湖のようなといいましたけれども、私がその彼女の眼、暗がりで輝いていた眼を、&lt;br /&gt;夜の湖のようなという言葉に置き換えることで満足が出来たならば、もうそれでいいんですけれども、&lt;br /&gt;いや夜の湖のようだというよりはむしろ、木陰でうずくまっている猫の眼のようだった、&lt;br /&gt;どうもこれでもないらしい。&lt;br /&gt;というので色々考えていくわけですね。&lt;br /&gt;ここから小説の第一歩が始まる、というか文章の第一歩がここから始まってくる。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;稗田阿礼っていうのはそうゆう細かいところを考えなくて、&lt;br /&gt;もっとおおらかな時代に生きてましたから、&lt;br /&gt;ぼきぼきとあっちでこうゆうことがあった、&lt;br /&gt;こっちでこうゆうことがあったとゆうようなことばっかりを&lt;br /&gt;綴っていったんですけれど、根本的な衝動ではかわってないだろうと思うんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでその女友達の暗がりで輝いていた眼を克服するために、&lt;br /&gt;無数の言葉を使うんですが、このときにおこることは今度は何かというとですね、&lt;br /&gt;逆の現象が起こってくるんですね。&lt;br /&gt;特に現代では。&lt;br /&gt;逆の現象が起こらなければならないんです。&lt;br /&gt;つまり無数の言葉があるのに、現実がその言葉から全然感じられない時代にきていると、&lt;br /&gt;それで女友達の眼を見てすぐに夜の湖、あるいは木陰の猫の眼、&lt;br /&gt;という言葉を考えだしたけれども、それでも彼女の眼がつきまとってきて離れない。&lt;br /&gt;その混沌に対して秩序を与えなければならない。&lt;br /&gt;というので私は言葉をつくっていくんですが、&lt;br /&gt;そのときは私がつくったのではない、&lt;br /&gt;人類が数千年かかってつくってきた言葉の中からいくつかを選び出してきて、&lt;br /&gt;自分なりに配置してつくり出すわけですが、&lt;br /&gt;これは今度はどうゆうことかといいますと、&lt;br /&gt;ライオンという言葉を拒んで、ライオンというものを直視しようとする態度ではないかと、&lt;br /&gt;ライオンやら女やら何やらだんだんややこしくなってきましたけれども、&lt;br /&gt;聡明な皆さんはすでに本質を掴んでいらっしゃると思うんですけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;手垢にまみれた言葉という表現がよくありますけれども、&lt;br /&gt;手垢にまみれた言葉でつかってはいけないんで、&lt;br /&gt;ページを開いたときに、活字の字母を新しい鋳造機で、&lt;br /&gt;つくったばっかりの活字で組んで、ページをつくったという感じのするような、&lt;br /&gt;そうゆう明晰な、澄明な感覚が私は好きなんですけれども、&lt;br /&gt;それには手垢にまみれた言葉というものをつかってはいけない。&lt;br /&gt;それから使い古された言葉もつかってはいけない。&lt;br /&gt;といってしかし、普遍性のある言葉も選び出さなければならない。&lt;br /&gt;色々苦しんで、&lt;br /&gt;お酒を少し、水を少し、&lt;br /&gt;お酒を少し、水を少し、と毎晩考えるわけですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;お酒を飲み過ぎるといい言葉はどんどんどんどん出てくるけれど、&lt;br /&gt;自分は天才じゃないかといまだにこの歳になってもうぬぼれたくなる一瞬があるんですが、&lt;br /&gt;明くる日になって読み返してみると、&lt;br /&gt;バカバカしくなって紙くずかごへ捨ててしまう。&lt;br /&gt;といって真剣の素面でやっていると、つらいばかりで、&lt;br /&gt;彼女の眼だけが漂って私を苦しめるんで、ものが書けない。&lt;br /&gt;書けなければ書けないでいいんですが、&lt;br /&gt;書きたい衝動があるときに書けないというのはつらい。&lt;br /&gt;それで酒に力をかりる。&lt;br /&gt;かりすぎてはいけない。&lt;br /&gt;それで水を差すわけですね。&lt;br /&gt;生湿りのマッチみたいな状態で小説を書いていくんですけれども、これは難しいんですよ、&lt;br /&gt;これを持続させなければならないんですが、&lt;br /&gt;なかなかこうゆう幸福な時間は続かないんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうゆうわけで、&lt;br /&gt;これは原始人がですねライオンの身振りをして踊りをする。&lt;br /&gt;その時彼は自分に、ライオンの鋭い牙、逞しい腕、速い脚、強力なジャンプ力、&lt;br /&gt;といったものが身に付いたかのように感じて踊るわけですね。&lt;br /&gt;あれは何のために踊るかとゆう説、&lt;br /&gt;これまた無数にある、解釈があるんですけど、&lt;br /&gt;そんな踊りをしたところで自分がライオンになったのではない、&lt;br /&gt;ということはライオンと毎日暮らしている我らの先祖はことごとく知っていたわけです。&lt;br /&gt;知った上であの嘘の踊りをやっているわけです。&lt;br /&gt;そしてそのことに高揚していたわけですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それで今の小説家は嘘がつけなくなっていると言う衰弱した状態に落ち込んで、&lt;br /&gt;これが大変困ったことなんですけれども、&lt;br /&gt;文字を書こうという努力、あるいは言葉を発明しようとする努力で小説を書いていく、&lt;br /&gt;そして自分の中にある何事かを克服する衝動から書き出す。&lt;br /&gt;小説家だけでなしに、人間がみんな自発的に字を書くとき、&lt;br /&gt;つまり帳簿をつけてるんではなくて、&lt;br /&gt;一人になったときに日記をつけるなり、&lt;br /&gt;あるいは恋文‥恋文は古いなぁ、ラブレターは品が悪いし、&lt;br /&gt;そうゆう恋の手紙を書くときでも、&lt;br /&gt;あるいはお別れの手紙を書くときでも何でもいいですが、&lt;br /&gt;自発的に何か文章を書いているとき、&lt;br /&gt;そのうしろにあるものは、今私が説明したようなことではないかしらと思うんです。&lt;br /&gt;つまり文学の始まりなんですね。&lt;br /&gt;それが文学になるかならないかという分かれ道はまた無数にありますけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうゆうわけですから、&lt;br /&gt;言葉というものは人間につながるものなんですね。&lt;br /&gt;文字というものも人間につながるもので、&lt;br /&gt;人間から離れることが出来ない。&lt;br /&gt;私が少年時代に憧れたような純粋さというものは、人間の世界にはあり得ない純粋さなんで、&lt;br /&gt;これは不毛の純粋さなんですが、&lt;br /&gt;これが不毛だということに気がついたのはずっと後になってからの話で、&lt;br /&gt;近頃でもまだ時々その不毛の純粋を求める衝動に襲われることがあるんですけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;こないだ北海道へ行きまして、&lt;br /&gt;２月の末ですけども、&lt;br /&gt;知床半島へ行って羅臼という町がありますけれども、&lt;br /&gt;流氷を見たくていったんですけども、&lt;br /&gt;北海道は何遍となく行ってるんですが、流氷を見るのは私初めてなんですが、&lt;br /&gt;これがこの海を埋めてるんですね。&lt;br /&gt;それであそこの流氷は氷原になって、&lt;br /&gt;氷の原になって、沖の彼方まで広がっていて、&lt;br /&gt;国後島まで歩いて行けるんじゃないかという感じがする。&lt;br /&gt;だけども四畳半一つぐらいの部屋、&lt;br /&gt;あるいはちょっとした掘建て小屋くらいもある大きなのがですね、&lt;br /&gt;一個づつバラバラなんですってねあれは。&lt;br /&gt;それで塊と塊の間に海の水が入ってるんで、&lt;br /&gt;それが潤滑油の役をするんで、その海水が凍らない限り、氷の塊はひっつくことがないというんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そのうちに猛吹雪になってきまして、&lt;br /&gt;二日か三日ほどその羅臼の町に閉じ込められて動けなくなったんですが、&lt;br /&gt;海が流氷をのせたままうねるんですね。&lt;br /&gt;そうすると突堤よりも海面が高くなって、今にもこっちにおしかけてくる。&lt;br /&gt;流氷と流氷が喧嘩を始める。&lt;br /&gt;そうすると下からこう迫り上げられてきてはみ出した流氷はどうなるかというと、&lt;br /&gt;突堤の上へ這い上がってくるんですね。&lt;br /&gt;這い上がってきてそこへドタッと挫折して、&lt;br /&gt;「孤独だ」と叫んで居座ってしまうのもいるし、&lt;br /&gt;「なにを！」といってこっち港へドドドーンっとなだれ込んでくるのもいる。&lt;br /&gt;その流氷の戦争を見ている。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;明くる日になると、&lt;br /&gt;嵐の明くる日なもんですから、&lt;br /&gt;すばらしい透明な朝がやってきまして、&lt;br /&gt;それで海全体が、メキシコ産のオパールで「白」「青」「金」の輝いているオパールがある。&lt;br /&gt;「赤」「金」の輝いているオパールと、二種類オパールがありますけれども、&lt;br /&gt;「白」「青」「金」の輝くオパールみたいに、&lt;br /&gt;海面全体がそのオパールのような輝きになってしまうんですね。&lt;br /&gt;なぜそんなになるかといいますと、流氷原と言うのはでこぼこなんですね。&lt;br /&gt;厚いところもあれば薄いところもある。&lt;br /&gt;で喧嘩した後ですから海は、流氷はもうギザギザになっている。&lt;br /&gt;それに日光が当たって乱反射してくるもんですから、&lt;br /&gt;すばらしく美しい。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;徹底的に不毛で、徹底的に純粋なんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それを見ているうちに、&lt;br /&gt;昔自分が求めていたのはこうゆう風なことなんではないかしら&lt;br /&gt;とゆうふうなことを思い出したりして、危険を覚える。&lt;br /&gt;吸い込まれるような感じになってきて、&lt;br /&gt;こうゆうものをながく見続けていると、また人間の世界に戻るのにえらい苦しまなきゃいけない。&lt;br /&gt;俺は自殺することが出来ないんだということを子供の頃に悟ったはずだから、&lt;br /&gt;こうゆうものをあんまり見ちゃいけないんだと。&lt;br /&gt;それで汚濁にまみれ苦い恋ばっかりしていてもしょうがない、&lt;br /&gt;人間の世界に戻るより他ないんだと思って戻ってきたんですけれども、&lt;br /&gt;にもかかわらず、&lt;br /&gt;私は人間嫌いの衝動が濃厚にあるんですが、&lt;br /&gt;小説を書いている。&lt;br /&gt;字を書いている。&lt;br /&gt;小説であろうが、エッセイであろうが、論文であろうが、ノンフィクションであろうが、ルポ、&lt;br /&gt;何でもかまいませんが、&lt;br /&gt;文字を書いているということは、これは人間の世界に住んでいるということで、&lt;br /&gt;人間に関心があるということなんですね。&lt;br /&gt;関心がなければ、本当の絶望者というのは何も書かないはずなんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;だからよく「絶望の暗黒文学」とゆう風な広告文句が出ますけれども、&lt;br /&gt;文学には絶望ということはありえない。&lt;br /&gt;ドストエフスキーがどんなに人間の暗黒面を描き出して絶望を書いていても、&lt;br /&gt;セリーヌがどんなにものすごい絶望を書いても、&lt;br /&gt;あるいは三島由紀夫が徹底的に不毛な世界を書いていても、&lt;br /&gt;字でものを書いている限り、彼はヒューマニストなんですね。&lt;br /&gt;ここでゆうヒューマニストというのは人間主義者という意味で、&lt;br /&gt;人間を愛してるという意味ではないんです。&lt;br /&gt;人間を憎んだって構わない。&lt;br /&gt;憎むということも愛の一種の変形だ&lt;br /&gt;と学校の先生か牧師さんならすぐ言いくるめてしまいますけれども、&lt;br /&gt;そこまで私は図太くないんで、&lt;br /&gt;そうゆうこと出来ませんけれども、&lt;br /&gt;愛そうが、憎もうが、絶望しようが、何しようが、&lt;br /&gt;字を書いている限り、あるいは字を書こう、何かを書こうとする衝動がある限り、&lt;br /&gt;彼は人間主義者なんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;日本語のヒューマニストという言葉は誤ってつかわれすぎてるんで、&lt;br /&gt;ヒューマニストというとすぐに心の温かい人かということになりますけれども、これは間違ってる。&lt;br /&gt;心の冷たい人もヒューマニストになりうるわけです。&lt;br /&gt;ヒューマニストという定義によればね。&lt;br /&gt;人間に関心を持っている人、持たざるをえない人、これがヒューマニストなんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;この人は不毛の純潔にあこがれることが出来ない。&lt;br /&gt;あこがれてもそれはその人のセンチメンタリズムか夢にすぎない。&lt;br /&gt;ということを悟るべきなんですけども。&lt;br /&gt;とはいっても時々そうゆう流氷のような、徹底的に素晴しいものを見ると、&lt;br /&gt;体が割かれるような気がするんですけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;ですからいかに絶望が語られていても、&lt;br /&gt;それは字で、文字で綴られている限り、&lt;br /&gt;意味の世界と人間の世界に住んでいるんであって、&lt;br /&gt;絶望という背を裏返して人間にくっつこうとしている。&lt;br /&gt;そうゆう態度なのであって、悪魔にはなりえない。&lt;br /&gt;全ての作家は悪魔になれない。&lt;br /&gt;悪魔というのは流氷みたいなのをつくり出す奴のことを悪魔というんですね。&lt;br /&gt;私の定義に従えば。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;自分が言葉であまり苦しめられて振り回されるもんですから、&lt;br /&gt;文字とか言葉とかこうゆうカゲロウのようなものではなくって、&lt;br /&gt;音とか色とかゆう風なものには、絶対音、絶対色とゆう風なものがあるのではなかろうか、&lt;br /&gt;とゆう風な気がしたことがあったんですね。&lt;br /&gt;で極時たまで、なかなか説明しにくいし捉えにくいんで、&lt;br /&gt;具体例を挙げることが今出来ないんですけれども、&lt;br /&gt;音楽を聴いていると時々ひどい悪魔を感じる時がある。&lt;br /&gt;チラッと悪魔の顔が見えるんですね。&lt;br /&gt;なにか絶対音と言ってもいいようなもの、音をつくり出してる場合があるような気がする。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;音とか色とかいう風なものにはひょっとしたら、&lt;br /&gt;意味のグニャグニャした、どのようにでもかわりうる意味の世界を拒否したところにある純潔な不毛の、&lt;br /&gt;徹底的に絶対的な境地をつくり出すことが出来るんじゃないか、&lt;br /&gt;ということを子供の時に考えたことがあるんですが、&lt;br /&gt;それで絵描きになりたい、とか音楽家になりたいという風に思ったんですけれども、&lt;br /&gt;その後小説家になってから&lt;br /&gt;色々な音楽家だとか、色々な画家と接触して色々話をしてみるとですね、&lt;br /&gt;どうも彼らもやっぱり同じようなことを考えているらしくて、&lt;br /&gt;その絶対音、絶対色という風なものはありえない。&lt;br /&gt;あらせようと思って必死になってやるんだけれども、そうゆうものは生まれえないんじゃないかと、&lt;br /&gt;そうゆうものを求めようとして別種のものをつくり出す、&lt;br /&gt;それが素晴しいものになるということがあるんだけれども、&lt;br /&gt;絶対音、絶対色というものはあり得ない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;やっぱり人間の世界に、&lt;br /&gt;愛してるか絶望しているかは別として、憎むか愛するかは別として、&lt;br /&gt;人間の世界に戻って行くより他ない活動なんじゃないか、&lt;br /&gt;という意見を述べる人が多いんですね。&lt;br /&gt;名前を挙げませんけども、かなり有名な大家、あるいは大家になるべく予想されるような中堅、&lt;br /&gt;そういった人たちがそうゆうことを言うんですね。&lt;br /&gt;それから同じようなことを言う。&lt;br /&gt;「そうゆうことをしゃべり出したり考え出したりするようになると絵が描けなくなる」&lt;br /&gt;と言うんですね。&lt;br /&gt;「絵が今描けないからあなたそうゆうこと私と話してるんじゃないんですか」と言うと、&lt;br /&gt;「その通りだ」と言うんです。&lt;br /&gt;「それじゃあ小説家と同じだ」と言って、&lt;br /&gt;「じゃあもうこんな話はやめよう、女の眼の話をしよう」&lt;br /&gt;今言ったのは嘘で、&lt;br /&gt;「女の話をしよう」と言ったんですけども、&lt;br /&gt;酒飲んで女の話をする。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それから徹底的に絵描きはルネッサンス以来人間を裸にして、&lt;br /&gt;女、または女性、または女の人を裸にして描いてきたけれども、一カ所描いてないところがある。&lt;br /&gt;「日々素晴しく深い恩恵にあずかっていながら、&lt;br /&gt;　女体の一カ所を絶対絵にして描いたことのない部分がある」と私が言うと、&lt;br /&gt;その絵描きは、「あれだ」と言ってすぐに一言で言い当てましたけれども、&lt;br /&gt;「あれは絵にならんのだ」とこう言うんですね。&lt;br /&gt;皆さんが想像してらっしゃる部分じゃないですよ。&lt;br /&gt;その背景にある部分ですけども。&lt;br /&gt;それを絵にした人はいないんです。&lt;br /&gt;ハンス・ベルメールってゆうのが一人いたということを最近になって発見して、&lt;br /&gt;もうちょっと勉強しなきゃいけないと思わせられましたけども、&lt;br /&gt;これは芸術になってましたね。&lt;br /&gt;長い間あれは見捨てられたままになってたんです。&lt;br /&gt;今後出てくるんじゃないかと私は思うんですけどね。&lt;br /&gt;あれを美しく表現することは出来るはずなんです。&lt;br /&gt;そうゆう話をしてる方がいいんで、絶対とゆうふうなことを言い出すともうダメなんで、&lt;br /&gt;あるいはダメになってるからそうゆうことを言い出すんだとゆうことになるんで、&lt;br /&gt;これは避けた方がいいわけですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうゆうわけで、&lt;br /&gt;音楽の世界、絵の世界は私の専門外とゆうことにしておいて、&lt;br /&gt;まだ絶対音、絶対色の境地というものはあり得るんじゃないか&lt;br /&gt;という夢想の段階にとどめておきますけれども、&lt;br /&gt;小説、こと小説の世界に関する限り、絶望の文学というものはあり得ない。&lt;br /&gt;前向きになってるか、後ろ向きになってるかだけの話で、人間にくっつこうとしている。&lt;br /&gt;人間から離れたいということばっかり書いている小説がありますけれども、&lt;br /&gt;離れたいという衝動で人間にくっついている。&lt;br /&gt;だから彼は人間主義者なんで悪魔になりえない。&lt;br /&gt;全ての作家はものを書いている限り悪魔じゃないんですね。&lt;br /&gt;なれない。&lt;br /&gt;沈黙し始めたら考えなきゃいけませんけれども。&lt;br /&gt;その沈黙が意識して、徹底的に俺はもう人間を見捨てるんだ、と意識してやってる沈黙か、&lt;br /&gt;ただ書けなくなって才能が枯渇しての沈黙なのか、&lt;br /&gt;にわかに判断しにくいところですけれども、沈黙以上の悪はないんです。&lt;br /&gt;無関心以上の悪はない。&lt;br /&gt;とゆうふうに私は思うんです。&lt;br /&gt;だけど社会生活の面からみていくと、無関心と沈黙の領域というものは、&lt;br /&gt;二十世紀になってどんどん広がる一方なんですね。&lt;br /&gt;これをどうしていいのか、&lt;br /&gt;言葉が増えるのをどうしておさえていいのか、と同じくらいに大問題。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;だからいささか突飛な皮肉な表現をしますと、&lt;br /&gt;数千年かかって、二千年か三千年か正確にわかりませんけれども、&lt;br /&gt;ものすごい言葉をつくり、ものすごい知識を生み出して、&lt;br /&gt;エンサイクロペディア、ブリタニカこんだけありますけども、&lt;br /&gt;ちゃちなアパートなら床が抜けてしまうぐらいなんで、&lt;br /&gt;それだけのものを全然自由自在にこなすことが出来ないで苦しんでるわけですけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;だからある意味ではですね、突飛な言い方ですけども、&lt;br /&gt;世界を征服するのは、原子爆弾を持っている最も言葉数の少ない国民、&lt;br /&gt;これが世界を征服できるんじゃないかと思うんです。&lt;br /&gt;ただこれには矛盾がある。&lt;br /&gt;原子爆弾、それは最終武器という意味ですけど、&lt;br /&gt;最終武器は破裂させる、つかうことが出来ないんですから、&lt;br /&gt;言葉数を少なくすることは政治でいくらでも出来ますけれども、&lt;br /&gt;一国内にそれがとどまって、世界を征服する国民は今後出てこないんじゃないか、&lt;br /&gt;とゆうふうに私は考えるんですけども。&lt;br /&gt;だから今矛盾したことを言ったわけです。&lt;br /&gt;絶望の文学という言葉が矛盾だと言いましたけれども、&lt;br /&gt;それと同じくらいに矛盾した言葉を今言ったわけです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;あっちゃこっちゃ飛び歩くことを始めて、十年間ほっつき歩いたわけです。&lt;br /&gt;日本国内もほっつきましたけども。&lt;br /&gt;それでルポを随分書いて、まぁ早くいえば浪費をしていたんですけれど、&lt;br /&gt;十年さまよい歩くとかなりのものがたまってくるんで、&lt;br /&gt;それを今後ぼつぼつ瓶詰めに‥瓶詰めっていうのはおかしいな、&lt;br /&gt;文字にかえる努力をして小説を書いていこうかと思うんですが、&lt;br /&gt;何と言いますか、小説とゆうものも非常に書きにくいもんだということがわかってきて。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;私はまぁ自分で言うのは変なんですが、人生をちょっと焦りすぎて早熟で、&lt;br /&gt;18歳の時に所帯を持ちまして、20歳で子供を作りましてですね、&lt;br /&gt;今41ですけども子供が二十歳で、45くらいで私はおじいさんになれるんですが、&lt;br /&gt;65くらいになると曾じいさんになる。&lt;br /&gt;今の子も肉体的には早熟ですから、&lt;br /&gt;私の娘が私と同じようなことをやると‥するとですね、&lt;br /&gt;45のおじいさんというのが発生するんですけれども、&lt;br /&gt;「１ダースくらいつくってやろうか」&lt;br /&gt;なんてことを娘に言われるとゾッとするんですけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;私には独身生活というのがなかったんですね。&lt;br /&gt;でその反動がきたんです。&lt;br /&gt;この十年間に。&lt;br /&gt;ものすごい反動、つぶさには語りませんけれども。&lt;br /&gt;止めても止まらない。&lt;br /&gt;もうしょうがないから反動のままで、&lt;br /&gt;振り子のままで揺れようという決心をしたことがありまして、揺れるままに揺れてたんですけれども。&lt;br /&gt;家庭で生活出来なくなってしまったんですね。&lt;br /&gt;それで去年も半年ぐらい家を外にして、あっちの旅館こっちのクラブと泊まり歩いて、&lt;br /&gt;今年もそれなんです。&lt;br /&gt;で独身生活というのはこんなに楽しいもんかというのがやっとわかったんですね。&lt;br /&gt;それで出版社の人がやって来まして、&lt;br /&gt;「第二の青春ですな」なんてなこと言うから、&lt;br /&gt;「冗談じゃないよ俺はこれが第一の青春なんで40になって第一の青春やってるんですよ」&lt;br /&gt;と言うんですが、みんな&lt;br /&gt;「ハッハッハ、御身大切に」なんてなことを言うんですけども。&lt;br /&gt;世間の若者が侘しいような顔をして、駅前の「キクヤ」とゆう風な食堂で飯を食ってるんですが、&lt;br /&gt;鯵のフライにお新香に冷えたご飯食べてもう本当に辛そうな侘しい顔をしてるんですが、&lt;br /&gt;私一人は生き生きしている。&lt;br /&gt;何でこうゆうことを知らなかったんでろうかとゆうことでですね、&lt;br /&gt;生きていてよかったという感じになってるんですけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;一つだけ経験したことがあってそれを申し上げますとね、&lt;br /&gt;70年に私は小説を書こうと思い立って、&lt;br /&gt;山の中に籠ったことがあって、&lt;br /&gt;新潟の山奥で当時は道路がついてなかったんです。&lt;br /&gt;電灯もきてなかった。&lt;br /&gt;湖のほとりで、こんな岩魚が、釣れたらこんな岩魚がいるぐらいの湖なんですが、&lt;br /&gt;そこで籠りましてランプで暮らしてたんですが、&lt;br /&gt;文壇に小説家の数は多いけど、&lt;br /&gt;三ヶ月間ランプで暮らしたのは私ぐらいじゃないかと思ってるんですけども、&lt;br /&gt;そうすると心身頓に壮快を覚えですね、一切合切空無と化してしまって、字が書けないんですね。&lt;br /&gt;全然書けない。&lt;br /&gt;それは私がちょうど小説がまだ熟してなかったんだと後で弁解することにしましたけれども、&lt;br /&gt;あんまり健やかで、美しくて、透明でとなってきますと、&lt;br /&gt;何しろこうゆう混濁した水道の水なんか飲まないで、岩魚の住んでる山の清水を飲んでるわけですが、&lt;br /&gt;水道栓から山椒魚が飛び出してきたりする。&lt;br /&gt;そうゆう山小屋なんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それで山小屋のおっさんとルンペンストーブにあたりながらランプの灯の下で、&lt;br /&gt;焼酎を飲んでですね、&lt;br /&gt;「熊はどうして捕るか」とか、&lt;br /&gt;それから、&lt;br /&gt;「狢と狸はどう違うか」とかですね、&lt;br /&gt;「狸をつかまえるにはどう攻めるか、穴はどう掘ったらいいか」とゆう風な話ばっかりして、&lt;br /&gt;毎日毎日そんな話ばっかりしてちっとも飽きない。&lt;br /&gt;これは私が都会生まれの都会育ちのせいもあるんでしょうけども、&lt;br /&gt;いかに日頃混濁してるかということをそれで思い知らされる。&lt;br /&gt;それで僕は女についての法螺を山小屋の人に話するわけです。&lt;br /&gt;そうすると向こうは原始人で私より偉いから、&lt;br /&gt;私が法螺を吹いてるんだと言うことを知った上で、アハアハと笑ってくれるわけですね。&lt;br /&gt;それで、白い女も、黄色い女も、黒い女もみな同じだぞ、だから母ちゃんを大事にしろ。&lt;br /&gt;とゆう風な必ず教訓がつくんですけれども。&lt;br /&gt;母ちゃんが横で聞いてるから、それ以上の逸脱は好ましくないわけですね。&lt;br /&gt;山の中だし。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;三ヶ月間いてて、&lt;br /&gt;ものすごく神経が鋭くなってきて、&lt;br /&gt;ある朝四時頃、部屋の中に誰かが立ってるとゆうようなショックに襲われて、&lt;br /&gt;心臓がドキドキドキドキしてくるし、&lt;br /&gt;こんなところへ泥棒が来るはずないし、泥棒がきたって盗っていくものないし、&lt;br /&gt;と私のロゴスとエトスはそう説明するんですけども、&lt;br /&gt;エロスは抜きで、パトスの方がですね、誰かがいる、俺を殺そうとしている。&lt;br /&gt;と突飛もないことを考える。&lt;br /&gt;それで全身が凍り付いたみたいになってしまう。&lt;br /&gt;それでよーく目をおし開けるようにして見ていくと、ズボンがだらしないのが壁にぶら下がっていて、&lt;br /&gt;そこに蝶々が一匹とまっていまして、羽を開いたり閉じたりしてるんですね。&lt;br /&gt;ただそれだけなんです。&lt;br /&gt;そこまで俺もキレイになったかという感じがした。&lt;br /&gt;でガバッとは跳ね起きないで、そのまま寝てしまいましたけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それで夜黄昏れにならないと私は机の向かう気力がおこってこないんですが、&lt;br /&gt;黄昏に向かうと字が書けない。&lt;br /&gt;いくら考えても字が書けないし、書きたいことはたくさんあって、&lt;br /&gt;動いてるということも感じられるんですけども、一字も出てこない。&lt;br /&gt;それで鳶が魚を取り損ねて、湖で取り損ねているのをじぃと眺めて、&lt;br /&gt;やっぱりお前にも魚は捕りにくいか、とゆう風な友情を感じたりするんですが。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;だから清らかな生活が文学を生み出すとは限らないんで、&lt;br /&gt;それで東京へ帰ってきて溝泥のひどい、&lt;br /&gt;そうゆう中で暮らし始めるとやっと字が流れてくるようになってきた。&lt;br /&gt;だから字というのは病の産物なんじゃないかという風な気がする。&lt;br /&gt;かねがねそうは思ってましたけど。&lt;br /&gt;そして病がなければ文学というものもひょっとしたら出てこないんじゃないか。&lt;br /&gt;武者小路先生のように人生は楽しくて美しいということを、&lt;br /&gt;十年、二十年平気で淡々とお書きになる、&lt;br /&gt;ああゆうダイアモンドのような人物がたった一人だけ今残ってますけれども、&lt;br /&gt;ああゆう人は大事にしてあげないといけないで、&lt;br /&gt;私は努めて読むようにしてますけども、アクビしか出ないんで申し訳ないんですけども、&lt;br /&gt;実に羨ましい人なんです。&lt;br /&gt;あの人は病抜きで文学を書いている唯一の人じゃないかと。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;何だかの意味で病かキズか&lt;br /&gt;そうゆうものがないことには文学とか文字とかゆうものは生まれてこないんじゃないか、&lt;br /&gt;そこでやっぱりライオンに苦しめぬかれてズタズタになってた&lt;br /&gt;我らの髭だらけの先祖が何とかしてこれを克服しなければ、&lt;br /&gt;というんでそれでライオンという言葉を思いついて彼にあてはめた。&lt;br /&gt;そして意識の空間を埋めて一歩前進した。&lt;br /&gt;そうゆうことをそこでもう一遍再認識するわけです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;えーとぼつぼつ時間が来たようで、&lt;br /&gt;結論が出たのか出ないのか私にはさっぱりわからないんですけれども、&lt;br /&gt;話をしていて結論が出るようだと文学はおしまいだということがあるんで、&lt;br /&gt;このへんで止します。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;どうもありがとうございました。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-1335397094526847304?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/1335397094526847304/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=1335397094526847304' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/1335397094526847304'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/1335397094526847304'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2008/01/blog-post.html' title='『経験・言葉・虚構』まとめ'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-5874696497188774363</id><published>2007-08-23T05:03:00.000+09:00</published><updated>2007-08-23T05:04:30.870+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（33）</title><content type='html'>だから・・・&lt;br /&gt;結論を一生懸命出そうと思って今さっきから考えてるんだけれども、&lt;br /&gt;どこへこのNHKなみの教訓をもってきたらいいのか、&lt;br /&gt;ただまぁね、&lt;br /&gt;私の話にいくらかの救いようがあるとすれば、&lt;br /&gt;今後アフリカの飢餓をご覧になった時に、&lt;br /&gt;その写真を見ながら、&lt;br /&gt;救援物資で毛布を送った、&lt;br /&gt;色んなものを送ったんやが、&lt;br /&gt;それはどこにきてんねやろう、&lt;br /&gt;それから毛布がおそらく現地政府の人に渡される場面は出ると思いますよ、&lt;br /&gt;だけどそれが本当に現場まで届いてるかどうかを、&lt;br /&gt;画面見るだけで見ていただきたい。&lt;br /&gt;それからコンデンスミルクを飲んでるかどうかね。&lt;br /&gt;それから飢えてるはずのお母さんのお腹だけが異様に、&lt;br /&gt;子供を含んで孕んでるかどうか、&lt;br /&gt;とゆう風なことも見る。&lt;br /&gt;とゆうように眼光炯々と鋭くなっていただきたい。&lt;br /&gt;それぐらいのことは言えると思うんです。&lt;br /&gt;それから緑滴るアマゾンの原野、&lt;br /&gt;という字を見たら、&lt;br /&gt;あぁこいつはあんまり知らんやっちゃなぁ、&lt;br /&gt;のんきなやっちゃなぁ、&lt;br /&gt;その緑の中に白いコカインが氾濫してる、&lt;br /&gt;ジャングルが切られてるということに気がつかないで、&lt;br /&gt;昔の開高さんみたいな甘っちょろいこと言ってるぞと、&lt;br /&gt;ゆう風なことを考えといていただければ、&lt;br /&gt;いくらか講演をした甲斐があるというのか、&lt;br /&gt;結論めいてるというのか、&lt;br /&gt;よく分からないんですけれども、&lt;br /&gt;まぁよい質問にはすでに半ばの答えが含まれている、&lt;br /&gt;とゆう考え方をするならば、&lt;br /&gt;私の話がもしよい質問であったならば、&lt;br /&gt;どこかに答えが半分は含まれてるんで、&lt;br /&gt;それは今晩家へ帰って、&lt;br /&gt;お風呂入るか、&lt;br /&gt;トイレ入った時によく考えといていただけたらと思います。&lt;br /&gt;えぇエラい長々とあっち曲がったり、&lt;br /&gt;こっち曲がったりと、&lt;br /&gt;行き当たりばったりでまとまりの無い話で、&lt;br /&gt;恐縮でした。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;『地球を歩く』おわり&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-5874696497188774363?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/5874696497188774363/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=5874696497188774363' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/5874696497188774363'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/5874696497188774363'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/33.html' title='『地球を歩く』（33）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-5760724536915830371</id><published>2007-08-22T07:05:00.000+09:00</published><updated>2007-08-22T07:06:05.366+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（32）</title><content type='html'>それで夜更けに、&lt;br /&gt;当時は私ベトナム語が出来たんで、&lt;br /&gt;ヨタヨタヨタヨタしたベトナム語で色んなことを聞くんですが、&lt;br /&gt;川漁師がやって来て、&lt;br /&gt;「近頃魚が捕れなくなった」と言うんです。&lt;br /&gt;「それはどういうことだ？」と聞いたら、&lt;br /&gt;漁師はこともなげにですね、&lt;br /&gt;「わしが思うに人間が増えたんやなぁ」とこう言うんです。&lt;br /&gt;「人間が増えたって、こんだけものすごい戦争をしてて人間は増えるのかね？」&lt;br /&gt;「増える増える、そら増えとるで」と言うんです。&lt;br /&gt;それで一生を川で送ってきた男の、&lt;br /&gt;現場の男の意見だからこれは尊重せんといかんのやろうけど、&lt;br /&gt;一方あの膨大な墓場の風景が目に浮かぶから、&lt;br /&gt;どうゆうことかしらんと思って迷うてたんですがね、&lt;br /&gt;ベトナム戦争が終わってからですね、&lt;br /&gt;北ベトナムハノイの政府が新しい政治綱領をうちだしてるんですが、&lt;br /&gt;その三つ目、&lt;br /&gt;人口を抑制しなければならない、&lt;br /&gt;と書いてるんですねちゃんと。&lt;br /&gt;それだけ人間が増えてるんです。&lt;br /&gt;あれだけ殺し合いしてると思うのに、&lt;br /&gt;増えてるんです人間はね。&lt;br /&gt;こうゆうことがあるんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;だからなかなか物事というのは一面で考えて、&lt;br /&gt;涙流してみたり、&lt;br /&gt;怒ってみたりしてもしょうがないんで、&lt;br /&gt;裏の裏まで考えなきゃいけないけど、&lt;br /&gt;どこまでいったら裏が無くなんのか分かりゃしない。&lt;br /&gt;それで私はもう小さな説だけ書いて、&lt;br /&gt;細々ともう夕日の中を歩んでる世代ですから、&lt;br /&gt;とぼとぼと釣り竿担いで去っていきますけれども、&lt;br /&gt;ここにいらっしゃる若い世代は、&lt;br /&gt;これから色んな目にお会いになるでしょうけれども、&lt;br /&gt;どうゆう時代がくるのか私には分かりませんけれども。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-5760724536915830371?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/5760724536915830371/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=5760724536915830371' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/5760724536915830371'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/5760724536915830371'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/32.html' title='『地球を歩く』（32）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-5209419725757640361</id><published>2007-08-21T06:21:00.000+09:00</published><updated>2007-08-21T06:22:23.779+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（31）</title><content type='html'>それでまたアフリカの飢餓が伝えられたかとゆう度に、&lt;br /&gt;私は誰かがそのうちに、&lt;br /&gt;コンデンスミルク持っていったらアカンで、&lt;br /&gt;コンデンスミルク持っていったら、&lt;br /&gt;受胎能力を回復してまたエラいことになると、&lt;br /&gt;ゆうことを言うやつが私の側近に現れるかと思って見てるけども、&lt;br /&gt;「エラいこってすなぁ」と言うだけで、&lt;br /&gt;「で今月の原稿締め切り」とこうゆうことを言う。&lt;br /&gt;いつまでたってもこれですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;あのベトナム戦争はですね、&lt;br /&gt;ベトナム人同士の殺し合いに、&lt;br /&gt;アメリカとソビエトと色んなものが重なり合った戦争でしたけれども、&lt;br /&gt;サイゴンで見てると、&lt;br /&gt;墓場がどんどんどんどん毎日毎日どぉーっと広がっていくわけですね。&lt;br /&gt;政府軍側の方ですけれども。&lt;br /&gt;ベトコンさんの方はジャングルを埋めてるんですけれども、&lt;br /&gt;これでは種族民族絶滅闘争になる、&lt;br /&gt;と私は思い詰めていたんです。&lt;br /&gt;ある時、&lt;br /&gt;1968年ですがたまたまやっぱり最前線でしたけれども、&lt;br /&gt;魚釣りに行ったの。&lt;br /&gt;戦争しているところへ。&lt;br /&gt;それで皆さんお笑いになる。&lt;br /&gt;私も自分でサイゴン出る時笑ったんで、&lt;br /&gt;人が生きるの死ぬの殺し合いしている最中に魚釣りとは何事か、&lt;br /&gt;といってほっぺた張りとばされたら、&lt;br /&gt;素直に黙って右のほっぺた差し出して、&lt;br /&gt;もう一つ張っておくんなはれ、&lt;br /&gt;と言おうと思って行ったんですが、&lt;br /&gt;現場へ行くとまったく逆で大歓迎。&lt;br /&gt;それで水を持ってきて飲めと言ったり、&lt;br /&gt;村長が出てきてバナナくれたりね。&lt;br /&gt;そっちの所じゃダメだからこっち行って釣れとかね。&lt;br /&gt;エラい優しいんです。&lt;br /&gt;一宿一飯の仁義を尽くしてくれるんです。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-5209419725757640361?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/5209419725757640361/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=5209419725757640361' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/5209419725757640361'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/5209419725757640361'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/31.html' title='『地球を歩く』（31）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-7457203449236361668</id><published>2007-08-20T23:40:00.001+09:00</published><updated>2007-08-20T23:40:57.483+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（30）</title><content type='html'>そうゆうのがいっぱいいるから、&lt;br /&gt;現地の政府に渡さないで、&lt;br /&gt;直接乗り込んでいって飢えてる子供に渡せばいいじゃないかというと、&lt;br /&gt;我々の主体性と独立性を無視したということになる。&lt;br /&gt;その通りですね。&lt;br /&gt;しょうがないこいつらがネズミの塊だと分かっていても、&lt;br /&gt;その政府に渡さざるをえない。&lt;br /&gt;政府のやつは涙流して、&lt;br /&gt;ありがとうありがとうと、&lt;br /&gt;本当に涙流してるのかと思いたくなるぐらいの涙を流して、&lt;br /&gt;ありがとうと言い、&lt;br /&gt;すかさずガバッととってしまう。&lt;br /&gt;それで現場に着いた時にはガクッと減る。&lt;br /&gt;と言っても我々は送り続けずにはいられないんで、&lt;br /&gt;送り続けますけど。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それからまた問題がありましてね、&lt;br /&gt;これが議論されてるかどうか分からないんですが、&lt;br /&gt;ああゆう国にもって行く栄養品で、&lt;br /&gt;一番効き目があって、&lt;br /&gt;一番いいのは何かと言うと、&lt;br /&gt;まぁ色々あるでしょうけれども、&lt;br /&gt;コンデンスミルクなんですね。&lt;br /&gt;これは缶詰だし、&lt;br /&gt;あっためて飲むにしたら火があるだけで、&lt;br /&gt;火もいらない、&lt;br /&gt;水もいらない、&lt;br /&gt;プスッと穴開けてその場で飲めばいいんで、&lt;br /&gt;かなりの栄養分が入っていて、&lt;br /&gt;大変にコンパクトないいもんです。&lt;br /&gt;でコンデンスミルクが大量に届くんですね。&lt;br /&gt;それをネズミの群れがガバッととっても、&lt;br /&gt;現場へはいくらかくる。&lt;br /&gt;それをお母さんが飲むわけです。&lt;br /&gt;そうするとカラカラの体ですから、&lt;br /&gt;大変効き目があって、&lt;br /&gt;お母さんはよみがえるんですが、&lt;br /&gt;もう一つトリックがある。&lt;br /&gt;受胎能力をまた回復しちゃうんです。&lt;br /&gt;そして人間は生死極まって行き詰まってくると、&lt;br /&gt;女の所に逃げ込むしかないんです。&lt;br /&gt;そこらに身に覚えのある男の人いっぱいいると思うんですけども、&lt;br /&gt;私もそうですけれども。&lt;br /&gt;女は男を頼りにせずにいられないから、&lt;br /&gt;オギノ式とかそんなことは分かっちゃいない国だし、&lt;br /&gt;分かってたってそんなこと構っちゃいられないし、&lt;br /&gt;真っ暗だし、&lt;br /&gt;カレンダー見てる暇はないし、&lt;br /&gt;それでひしと抱きしめ愛の確認をするとポコッとまたお腹が大きくなる。&lt;br /&gt;飢餓が終わらないうちに大きくなる。&lt;br /&gt;ここですわ。&lt;br /&gt;だから一体ですね、&lt;br /&gt;これでは一体救ってるのやら、&lt;br /&gt;災害を増やしてるのやら分からないという状態なんですね。&lt;br /&gt;現実を見ていくと。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-7457203449236361668?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/7457203449236361668/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=7457203449236361668' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7457203449236361668'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7457203449236361668'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/30.html' title='『地球を歩く』（30）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-3596822618749431036</id><published>2007-08-19T06:24:00.001+09:00</published><updated>2007-08-19T06:24:58.220+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（29）</title><content type='html'>それからもっと不景気な話をやりますが、&lt;br /&gt;私は戦争を追っかけてましたから、&lt;br /&gt;不景気の専門家みたいなもんですけれども、&lt;br /&gt;ちょっとお裾分けしたいんです。&lt;br /&gt;まだ余裕がおありになると見えるんで、&lt;br /&gt;切迫してない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;アフリカの飢餓が伝えられてますね。&lt;br /&gt;年がら年中あそこは飢餓が伝えられるんですけれども、&lt;br /&gt;ナイジェリアという所で飢餓戦争があって、&lt;br /&gt;私はそれをルポしに行ったんですね。&lt;br /&gt;それでお腹がこんなんで、&lt;br /&gt;三角形のおにぎり頭をしてて、&lt;br /&gt;マッチの軸みたいな、&lt;br /&gt;子供、&lt;br /&gt;女、&lt;br /&gt;おばおじいさん、&lt;br /&gt;あの風景なんです。&lt;br /&gt;それで国連やら世界各国やらが&lt;br /&gt;どんどんどんどん救援物資を運び込む。&lt;br /&gt;ここに問題がありましてね、&lt;br /&gt;かの退屈で賢きNHKの画面に出てくるのは、&lt;br /&gt;その救援物資が配給されてる現場の写真が出てるんだと思うんですが、&lt;br /&gt;子供にいっぱいハエがたかってね。&lt;br /&gt;でスプーンですくって、&lt;br /&gt;お母さんがその横で呆然としてる。&lt;br /&gt;こうゆう風景なんですが。&lt;br /&gt;そこへ行くまでのからくりが描かれてないと思うんです。&lt;br /&gt;それで港なり空港なりどんどん世界中から救援物資が来る。&lt;br /&gt;それで一国民が救われるとは思いませんけれども、&lt;br /&gt;かなりの量になるんですね。&lt;br /&gt;それが現場までたどり着くうちに、&lt;br /&gt;どこやら消えてしまうんです。&lt;br /&gt;風と共に去りぬとゆうやつで。&lt;br /&gt;これを貪管汚理と言うんです。&lt;br /&gt;貪る管理に汚い管理の理。&lt;br /&gt;どっかいっちゃうんです。&lt;br /&gt;これなんです問題は。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-3596822618749431036?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/3596822618749431036/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=3596822618749431036' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/3596822618749431036'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/3596822618749431036'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/29.html' title='『地球を歩く』（29）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-587641208990875274</id><published>2007-08-18T13:27:00.001+09:00</published><updated>2007-08-18T13:27:42.130+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（28）</title><content type='html'>魚だけ釣ってればいいのに、&lt;br /&gt;こうゆうのがちらちらちらちら目に入ってくるもんですから、&lt;br /&gt;つい気になってこんな所へきて喋ってるんですけど、&lt;br /&gt;「喋って何になるか」と聞かれたら、&lt;br /&gt;「さぁ…」と言うしかない。&lt;br /&gt;問題を提出したことに意義がある、&lt;br /&gt;とクーベルタン男爵は言ってくれてたからいいんですけれども、&lt;br /&gt;クーベルタンはオリンピックだけのことしか言ってないんで、&lt;br /&gt;どうしたもんですかねこれは。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;大体が文明というのがどだいエラいことなんで、&lt;br /&gt;人類史上こんなに大量消費のめちゃくちゃな時代はないんで、&lt;br /&gt;昔ならですね、&lt;br /&gt;洞窟時代でもいい、&lt;br /&gt;石器時代でもいい、&lt;br /&gt;新石器時代でもいい、&lt;br /&gt;農耕期初期でもいいんですけれども、&lt;br /&gt;畑で麦なり稲なり育てますね、&lt;br /&gt;それで実をとってきて食べる。&lt;br /&gt;いくらか翌年に残しておく。&lt;br /&gt;それで麦藁が残る。&lt;br /&gt;それを刈ってきて焼べる。&lt;br /&gt;あるいはランプにする。&lt;br /&gt;つまり一まいの畑で採れたもので生活の光熱費全部を養ってたわけです。&lt;br /&gt;だけど今はどうかと言うと、&lt;br /&gt;やっぱり畑に種蒔いて、&lt;br /&gt;それを刈り取っているのは人間の手ではなくて、&lt;br /&gt;ブルドーザーやらカルチベーター、&lt;br /&gt;機械になっただけのことで、&lt;br /&gt;大地に育ててもらわないことには植物は生えてこないということでは、&lt;br /&gt;数億年前、&lt;br /&gt;数万年前、&lt;br /&gt;数千年前とまったく同じなんです。&lt;br /&gt;同じなのに、&lt;br /&gt;食生活が大地の略奪ということではまったく同じなのに、&lt;br /&gt;エネルギーの方はアトムだとか、&lt;br /&gt;何とか訳の分からないことになっちゃって、&lt;br /&gt;全然違うようになってしまう。&lt;br /&gt;これが乱開発、&lt;br /&gt;乱伐、&lt;br /&gt;地球が穴ぼこだらけの栄養失調になっていく最大の原因なんです。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-587641208990875274?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/587641208990875274/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=587641208990875274' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/587641208990875274'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/587641208990875274'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/28.html' title='『地球を歩く』（28）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-5134115001387601298</id><published>2007-08-17T05:49:00.000+09:00</published><updated>2007-08-17T06:26:56.656+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（27）</title><content type='html'>それで19世紀の中頃までですね、&lt;br /&gt;アメリカで旅行鳩という鳩がいたんですが、&lt;br /&gt;これはもう当時の記録を読み返してみると、&lt;br /&gt;何億という数で、&lt;br /&gt;数が知れなかったんです。&lt;br /&gt;で旅行者が鳩が大群をなしてわたっていく、&lt;br /&gt;その下を馬で歩いてたんだけど、&lt;br /&gt;8時間かかってもまだその群れがつきなかった。&lt;br /&gt;一日中空が暗かったとゆう風なことを書いてるんです。&lt;br /&gt;鳩の群れのためにですよ。&lt;br /&gt;これがたまたま肉がおいしかったんですね。&lt;br /&gt;それではじめのうちは散弾銃で獲る、&lt;br /&gt;トリモチで獲る、&lt;br /&gt;投網ひっかけて獲る、&lt;br /&gt;かすみ網で獲る、&lt;br /&gt;だんだんだんだん大げさになって、&lt;br /&gt;最後には大砲を持ち出してきたやつがいて、&lt;br /&gt;大砲のなかに散弾を込めて、&lt;br /&gt;ドカーンと発射すると、&lt;br /&gt;何百羽というのがいっぺんに死ぬ。&lt;br /&gt;そうゆう獲り方をして十羽ひとからげで一セントだったとゆう、&lt;br /&gt;樽詰めにして売ったりしてたんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうするとこれがもう一回の産卵期に卵一個しか産めない鳩だったんですが、&lt;br /&gt;何しろ何億といるんでまだ大丈夫だと言ってるうちに、&lt;br /&gt;最後の一羽がとうとうセントルイスだったか、&lt;br /&gt;どっかの動物園で息を引き取ったんです。&lt;br /&gt;これは動物が姿もなく音もなく、&lt;br /&gt;姿を消していきますけれども、&lt;br /&gt;絶滅というので、&lt;br /&gt;最後の一羽が息を引き取ったのが見届けられている動物の一つなんです。&lt;br /&gt;希有な動物なんです。&lt;br /&gt;これはもう人間に手で回復のしようがない。&lt;br /&gt;みんな当時大丈夫だ、&lt;br /&gt;これだけいるんだ、&lt;br /&gt;当分大丈夫だ、&lt;br /&gt;と言って飲めや食えややってたわけです。&lt;br /&gt;しかも鳩ですからなぁ、&lt;br /&gt;主要食品とはいえない、&lt;br /&gt;おいしいことはおいしいけれども、&lt;br /&gt;彼らにとっての主食はビーフでしょうからね、&lt;br /&gt;まぁおつまみ程度のもんだったんでしょうけれども、&lt;br /&gt;それでもこんなていたらくになる。&lt;br /&gt;バイソンもその運命になりかかったので、&lt;br /&gt;慌ててナショナルパークをつくって保護にかかって、&lt;br /&gt;今まぁいくらかづつ増えつつありますけど。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;で今のうち大丈夫、&lt;br /&gt;まだ大丈夫だ、&lt;br /&gt;そんなこと言ってるうちに取り返しがつかなくなった例というのは、&lt;br /&gt;無限にあるんで、&lt;br /&gt;ひょっとしたらこのアマゾンのジャングルも、&lt;br /&gt;俺が生きてる間よりはもっと早くどエラいことになんのんちゃうか、&lt;br /&gt;ちゃうかじゃない、&lt;br /&gt;現になりつつあるんですがね、&lt;br /&gt;そこに住んでないから自分はわからない、&lt;br /&gt;住んでてもわからない、&lt;br /&gt;あんだけ広いんだからとおっしゃる。&lt;br /&gt;あんだけ広いからといってとこう説明したって、&lt;br /&gt;広さがわかってるもんだから、&lt;br /&gt;話を受け付けない、&lt;br /&gt;受け付けた人は今度は逆に、&lt;br /&gt;あなた方は祖国の山野を犠牲にして、&lt;br /&gt;自然を犠牲にして文明をつくった、&lt;br /&gt;我々はそれをやっちゃいかんとおっしゃるのか、&lt;br /&gt;とこうこられる。&lt;br /&gt;そうすると返す言葉がない。&lt;br /&gt;こうゆうことですわ。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-5134115001387601298?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/5134115001387601298/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=5134115001387601298' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/5134115001387601298'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/5134115001387601298'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/27.html' title='『地球を歩く』（27）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-8191643348325363979</id><published>2007-08-16T06:33:00.001+09:00</published><updated>2007-08-16T06:33:44.245+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（26）</title><content type='html'>ブラジルのインテリ、&lt;br /&gt;サンパウロ大学の先生、&lt;br /&gt;それから旅行中に知り合った色んなインテリと、&lt;br /&gt;この点何度話し合ったか知れないですけれども、&lt;br /&gt;まだ大丈夫だわ、&lt;br /&gt;まだ当分はブラジルのアマゾンはある、&lt;br /&gt;ジャングルはあるということを言う人もいるんですが、&lt;br /&gt;人類がかつてやって来たことを振り返ってみると、&lt;br /&gt;まだある、&lt;br /&gt;たくさんある、&lt;br /&gt;今は大丈夫だ、&lt;br /&gt;こうゆうので乱獲やったんですね。&lt;br /&gt;これでダメになった動植物がどんだけあるか、&lt;br /&gt;とゆうことになってくるわけです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;だから先にウンチの話をしといたおかげで、&lt;br /&gt;どんどんどんどん高級な話になってきたでしょ。&lt;br /&gt;小さな説を書いてるから小説家といわれるのが、&lt;br /&gt;こんな地球大のことを心配しだしたんで、&lt;br /&gt;私は大説家にならなきゃならないんですが。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;こうゆう現象がどんどんどんどん蔓延ってきてる。&lt;br /&gt;とゆうことはもうおそらくあの賢き退屈なNHKも、&lt;br /&gt;私はテレビを見ないのでわかりませんけれども、&lt;br /&gt;どんどん報道してるんじゃないかと思うんです。&lt;br /&gt;報道はするけれども、&lt;br /&gt;テレビで報道したってダメなんです。&lt;br /&gt;真面目なことを報道したその後で&lt;br /&gt;すぐにあちゃらかが入ったり、&lt;br /&gt;コマーシャルが入ったりするから、&lt;br /&gt;ポッとみんな忘れてしまう。&lt;br /&gt;それで放送会社の方は、&lt;br /&gt;放送したという良心が満足させられてるんで、&lt;br /&gt;だからここに最大のトリックがあると私は思うんですが、&lt;br /&gt;まぁ仮にNHKが同じことを退屈に報道したってかまいませんよ、&lt;br /&gt;それと同じことを私は言ってるのかもしれませんけれども。&lt;br /&gt;そうゆうわけでどエラいことになってる。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-8191643348325363979?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/8191643348325363979/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=8191643348325363979' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8191643348325363979'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8191643348325363979'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/26.html' title='『地球を歩く』（26）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-2387091796139455455</id><published>2007-08-15T06:54:00.001+09:00</published><updated>2007-08-15T06:55:11.193+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（25）</title><content type='html'>そこで私は行きませんでしたけれども、&lt;br /&gt;ブラジルのアマゾン開発大臣とゆうようなところへ行って、&lt;br /&gt;おそるおそるびくびくもので、&lt;br /&gt;「セニョール、世界の酸素と水のためにアマゾンを乱伐するのを&lt;br /&gt;　ちょっと抑制して、コントロールしていただけませんかなぁ、&lt;br /&gt;　アマゾンで酸素が発生しなくなると、東京へも酸素が流れて来ないんで、&lt;br /&gt;　地球は回転してるし、空気は回転してるし、おたくが砂漠をつくると、&lt;br /&gt;　こっちが窒息するという時代なんですが…」とこうおずおず申し上げる。&lt;br /&gt;すると向こうは丁寧に南米風にですね、&lt;br /&gt;「わかりました。おっしゃる通りです。コンプレンド（comprendo）わかった」と言う。&lt;br /&gt;でやれやれこれで守ってもらえたかと思うと、&lt;br /&gt;ポッと顔をあげてですね、&lt;br /&gt;丁寧な口調で、&lt;br /&gt;「ところで一つお尋ねしたいんですけれども」と言うので、&lt;br /&gt;「何でもどうぞ」と言うと、&lt;br /&gt;「日本とかアメリカとかヨーロッパとかゆう文明先進国なるものは、&lt;br /&gt;　それぞれの祖国の自然をなにがしか損なうことで、&lt;br /&gt;　近代文明をつくってきたんじゃごわせんか」と言うんで、&lt;br /&gt;「その通りだ」とだんだんだんだんこっちはうなだれていくわけです。&lt;br /&gt;山を削り、木を切り倒ししてダムを造り、&lt;br /&gt;それから森を切り倒してレールを敷き、鉄道を敷き、&lt;br /&gt;とこう色々数え上げられると、&lt;br /&gt;「その通り、その通りです」だんだんうなだれていくわけです。&lt;br /&gt;「そうするとあなた方だけは、文明生活をしていてよろしい。&lt;br /&gt;　しかし我々は世界の酸素と水とを守るために、&lt;br /&gt;　いつまでもふんどし一本のインディオ並みのロウソクもない&lt;br /&gt;　生活をしろとおっしゃるんですか」とだんだん向こうが声が高くなってくる。&lt;br /&gt;そうすると皆さんならどう答えますか、&lt;br /&gt;これはもう至るところでこの答えにぶつかるんです。&lt;br /&gt;彼らがそれを口実にしてるということはわかりますが、&lt;br /&gt;その口実には論拠がある。&lt;br /&gt;それで結局のところはですね、&lt;br /&gt;「わかりました、すんません、あなた方も文明…&lt;br /&gt;　そのインディオ並みの生活をせんと、電灯のつく、&lt;br /&gt;　クーラーのある、コカコーラも飲める、そうゆう生活をして下さい」&lt;br /&gt;そうすると、&lt;br /&gt;「ジャングル切り開いてよろしいですな」と向こうは言うんで、&lt;br /&gt;おびえながら、&lt;br /&gt;「ほどほどにしといて下さい」&lt;br /&gt;ほどほどにという言葉しか出てきようがないんですね、&lt;br /&gt;私の考えたところ。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-2387091796139455455?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/2387091796139455455/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=2387091796139455455' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/2387091796139455455'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/2387091796139455455'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/25.html' title='『地球を歩く』（25）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-5676908791393243204</id><published>2007-08-14T06:47:00.000+09:00</published><updated>2007-08-14T06:48:09.899+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（24）</title><content type='html'>で枯れ葉になってカサカサの砂の上にたまっていく。&lt;br /&gt;でジャングルの日陰があるからいくらかのお湿りで木の葉が腐る。&lt;br /&gt;それで腐葉土がいくらか出来る。&lt;br /&gt;ところが雨がきて、&lt;br /&gt;水かさが増して、&lt;br /&gt;それをかっさらっていく。&lt;br /&gt;単にお日様がささなくても大地はカサカサに干涸びてるわけなんです。&lt;br /&gt;数億年かかって。&lt;br /&gt;それを切り倒すとどうなるかというと、&lt;br /&gt;極わずかしかない土壌の、&lt;br /&gt;土のなかの成分が全部日光で分解されて空中へ、ポッ。&lt;br /&gt;風と共に去りぬとなる。&lt;br /&gt;で同時に土がカチンカチンに固くなって、&lt;br /&gt;ラテライトと言いますけど、&lt;br /&gt;レンガのように固くなっちゃうわけです。&lt;br /&gt;第二次植林といって、&lt;br /&gt;木を切り倒したあとへすぐ木を植えるということをやっても追っつかない。&lt;br /&gt;日光が激しすぎる。&lt;br /&gt;それから切り倒す面積が一度に大きすぎる。&lt;br /&gt;ブルドーザーでボリボリボリボリっとやってしまいますから。&lt;br /&gt;だから数億年かかった森林を一晩のうちに切り倒してしまう。&lt;br /&gt;それで一晩のうちに数億年かかったアマゾンのジャングルが、&lt;br /&gt;数億年かかったサハラ砂漠と同じ砂漠が出てくる。&lt;br /&gt;これが広がる一方なんですね。&lt;br /&gt;どうするかというんで、&lt;br /&gt;だんだんだんだん偉大な国にいながら、&lt;br /&gt;無資源国の日本にいるような恐怖に襲われてくる。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでですねアマゾン川が世界に貢献してるのは真水です。&lt;br /&gt;世界中の海へ注ぐ、&lt;br /&gt;世界中の陸地から押し流してくる真水、&lt;br /&gt;これのうちの1/5か1/4か、&lt;br /&gt;それくらいの量の真水をアマゾン川一つが海へ注いでるわけです。&lt;br /&gt;で海を養ってるわけなんですが、&lt;br /&gt;同時に膨大な量の酸素をもつくってる。&lt;br /&gt;ごぞんじのように木が炭酸ガス呼吸をしますから。&lt;br /&gt;そうするとですね、&lt;br /&gt;その木を切り倒すということは、&lt;br /&gt;砂漠を生むということであるが、&lt;br /&gt;同時に酸素の発生源をなくしてしまってることであると。&lt;br /&gt;こうゆうことになってきますね。&lt;br /&gt;エラいことになるんやないかと私は思うんですが、&lt;br /&gt;戦々恐々として帰って来たんですけども、&lt;br /&gt;そのことは本に書きましたけれども。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-5676908791393243204?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/5676908791393243204/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=5676908791393243204' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/5676908791393243204'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/5676908791393243204'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/24.html' title='『地球を歩く』（24）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-2045034229688677129</id><published>2007-08-13T06:37:00.001+09:00</published><updated>2007-08-13T06:37:32.271+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（23）</title><content type='html'>でアマゾンは偉大なる緑の原野ということになってる。&lt;br /&gt;一方あの膨大な量の木材が日夜を問わず切り倒されてるんです。&lt;br /&gt;ブラジル政府は規則をつくりまして、&lt;br /&gt;ジャングルを切り開いて牧場なり畑なりにする時は、&lt;br /&gt;1/4だったか1/5だったかはジャングルのままで残しておけと、&lt;br /&gt;こうゆうお達しがあると言うんですけれども、&lt;br /&gt;見た所そんなの誰も守ってる気配がない。&lt;br /&gt;そうするとですね、&lt;br /&gt;アマゾンに関して申し上げると、&lt;br /&gt;あそこのジャングルを切り倒すと、&lt;br /&gt;翌日何が出現するかというとサハラ砂漠が出てくるんです。&lt;br /&gt;というのはあそこは海底から隆起して出来た盆地で、&lt;br /&gt;元々土壌というものがない、&lt;br /&gt;砂があるだけなんです。&lt;br /&gt;だからアマゾン川は橋もない、&lt;br /&gt;堤防もない世界で唯一の川ですけども、&lt;br /&gt;私がもう一つ付け足すとですね、&lt;br /&gt;これはどのアマゾンの本にも書いてないんですが、&lt;br /&gt;石ころがないんです。&lt;br /&gt;アマゾン川には。&lt;br /&gt;かなり上流まで行っても石ころがない。&lt;br /&gt;それは石ころのある海底が隆起しなかったからなんです。&lt;br /&gt;町の近くには石ころめいたものはありますけれども、&lt;br /&gt;それは町を切り開いた時につくったセメントをこねたり、&lt;br /&gt;岸壁を造ったりする時のセメントやなんかに使った石ころなんであって、&lt;br /&gt;本来ある石じゃないんです。&lt;br /&gt;アマゾン川は偉大ですけど石ころは一個もない。&lt;br /&gt;だからそれゆえに偉大なのかもしれませんが。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;その砂泥がですね、&lt;br /&gt;ごぞんじのように雨期になると何メートルと水があがってたまる。&lt;br /&gt;それから乾期になるとそれが引いて川へ戻る。&lt;br /&gt;あそこの木はおかしなジャングルで、&lt;br /&gt;それはあの土地が何億年かかかってつくりあげたものなんですけども、&lt;br /&gt;お互いがもたれ合って木が生えてるんですね。&lt;br /&gt;どっかで一本の大きな木を切り倒すと、&lt;br /&gt;バタバタバタバタッと倒れる。&lt;br /&gt;それで木の根っこが浅いんです。&lt;br /&gt;日本の木の根っこの方が土のなかに深く入っている。&lt;br /&gt;いくら土のなかに深く入ったところで栄養分がないんだから&lt;br /&gt;深く張ってもしょうがないというので、&lt;br /&gt;浅く広く張っている。&lt;br /&gt;それがお互いにもつれ合って、&lt;br /&gt;もたれ合ってたっているのがアマゾンのジャングル。&lt;br /&gt;それで一方で花が咲いてる木があるかと思うと、&lt;br /&gt;一方で枯れ葉になって落ちてる木もある。&lt;br /&gt;けったいなジャングルなんです。&lt;br /&gt;よーく見るとそうゆうのが見えてくるんです。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-2045034229688677129?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/2045034229688677129/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=2045034229688677129' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/2045034229688677129'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/2045034229688677129'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/23.html' title='『地球を歩く』（23）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-4106287133676737440</id><published>2007-08-12T07:02:00.000+09:00</published><updated>2007-08-12T07:03:32.588+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（22）</title><content type='html'>去年私はオンタリオ湖というカナダの大きな湖がありますが、&lt;br /&gt;その北部が北極圏まで大森林地帯になっていて、&lt;br /&gt;これまた飛行機でないと入れない、&lt;br /&gt;そこの湖の岸辺に小屋があって、&lt;br /&gt;インディアンの、&lt;br /&gt;これはインディオじゃなくてインディアンですけども、&lt;br /&gt;オジブウェイというインディアンですが、&lt;br /&gt;このインディアンのハンターのおじいさんと一緒に&lt;br /&gt;10日ほど暮らしたことがあるんですけども。&lt;br /&gt;このおじいさんがよたよたと英語で、&lt;br /&gt;抜けた歯で説明してくれるんですけども、&lt;br /&gt;我々は昔は風呂へ入る習慣がなかった。&lt;br /&gt;それには理由があった。&lt;br /&gt;ここら辺はいっぱい蚊がいよる。&lt;br /&gt;蚊は人間の垢の匂いを嫌うんだ。&lt;br /&gt;風呂へ入らなければ蚊は来ないんだ。&lt;br /&gt;我々が風呂に入らなかったのは蚊をよけるためなんだ。&lt;br /&gt;ところが今インディアンのリザベーション、&lt;br /&gt;居留地ですね、&lt;br /&gt;これになってみんな政府から補償金もらって&lt;br /&gt;暖房のついた家に暮らすようになったけれども、&lt;br /&gt;風呂に入って石鹸を使うようになった。&lt;br /&gt;だから蚊がインディアンを食うようになりよった。&lt;br /&gt;インディアンの若者は、&lt;br /&gt;魚も釣れず、&lt;br /&gt;獣も捕れず、&lt;br /&gt;あれはダメだ。&lt;br /&gt;といって都会へ出ていってもダメだ。&lt;br /&gt;「ならじいさんインディアンの若者は何してるんですか」と聞いたら、&lt;br /&gt;「家のなかに座ってチューインガムを噛んでおる」と苦々しくも&lt;br /&gt;こう言っておりましたけれども、&lt;br /&gt;インディアンが蚊に食われる時代なんですね。&lt;br /&gt;別に構わないんですけれども、&lt;br /&gt;インディアンが蚊に食われたって構いませんけれども、&lt;br /&gt;しかし魚や獣についての知識がゼロになってしまってダメだ、&lt;br /&gt;とこう嘆いておりましたけど。&lt;br /&gt;これまた文明の爛熟ですなぁ。&lt;br /&gt;あっち行ってもこっち行っても文明なんです。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-4106287133676737440?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/4106287133676737440/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=4106287133676737440' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4106287133676737440'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4106287133676737440'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/22.html' title='『地球を歩く』（22）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-2805275986858978667</id><published>2007-08-11T18:52:00.000+09:00</published><updated>2007-08-11T18:53:04.244+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（21）</title><content type='html'>私は文明をふりはらったつもりで、&lt;br /&gt;「サテナ」に乗らないで「ヴェナド」に乗って、&lt;br /&gt;どうにかこうにかたどり着いて、&lt;br /&gt;吠猿が叫んでいるだけの、&lt;br /&gt;マラリアの蚊がウンウンいる、&lt;br /&gt;またそうゆう所に限ってやっぱり魚や獣はいいのがいますね。&lt;br /&gt;もしくは言い方をかえると、&lt;br /&gt;そうゆう所でないと魚らしい魚、&lt;br /&gt;蝶々らしい蝶々が見られなくなってきてるということも言えるんです。&lt;br /&gt;それで文明をふりはらったつもりで行ったんですけども、&lt;br /&gt;現実はそうゆうわけでコカインラッシュであり、&lt;br /&gt;闇のラッシュであり、&lt;br /&gt;現代文明の爛熟の最先端であったということを発見するわけです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうゆうことが度重なるもんですから、&lt;br /&gt;結局文明から逃げるとか、&lt;br /&gt;ゆう考え方そのものがもうとっくの昔に時代遅れになってると、&lt;br /&gt;むしろ認識不足と言いたい。&lt;br /&gt;自分に対して。&lt;br /&gt;傲慢であると。&lt;br /&gt;いくら文明に毒されてそこから逃げ出したいからといって、&lt;br /&gt;文明から逃げ出せるなどと考えること自体が間違ってる、&lt;br /&gt;と自分に言い聞かせざるをえないんです。&lt;br /&gt;だから妙な感じでね、&lt;br /&gt;エラい思いをして、&lt;br /&gt;それからマラリアの蚊に刺されながら、&lt;br /&gt;いくら防いだって蚊には刺されるんです。&lt;br /&gt;マラリアの蚊には刺されるけれども、&lt;br /&gt;すぐ刺されたからといってマラリアになるとは限らないんで、&lt;br /&gt;体が健康で白血球がどんどん活躍してくれてる時なら、&lt;br /&gt;マラリアの蚊が毒を注入しても白血球がそれと戦って抑えてくれる。&lt;br /&gt;体が弱ってる時とか、&lt;br /&gt;どっかにケガがある、&lt;br /&gt;病気がある時にあれを刺されると、&lt;br /&gt;イチコロでいかれる。&lt;br /&gt;しかしいずれにしてもそんな思いをして、&lt;br /&gt;ボコタへ帰って来て、&lt;br /&gt;シャワーを浴びながら、&lt;br /&gt;やれやれエラい所まで行ってきて、&lt;br /&gt;エラい思いをして帰って来て、&lt;br /&gt;結局の所コカインの生産地というのを見ただけじゃないかと、&lt;br /&gt;文明からどんだけ遠ざかったんだろうか、&lt;br /&gt;とまだ文明にこだわってそんなことを考えてるんですけども。&lt;br /&gt;こうゆうことがよく起るんで、&lt;br /&gt;大変に難しい。&lt;br /&gt;南方でこうなんですけれども。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-2805275986858978667?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/2805275986858978667/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=2805275986858978667' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/2805275986858978667'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/2805275986858978667'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/21.html' title='『地球を歩く』（21）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-4637314855448112370</id><published>2007-08-10T06:51:00.000+09:00</published><updated>2007-08-10T06:52:10.122+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（20）</title><content type='html'>ところがこれがご存知のように麻薬中毒の…&lt;br /&gt;北米大陸があるし、&lt;br /&gt;全世界へ持ち出されていく。&lt;br /&gt;それからコカインは麻薬だけであるだけではなくて医療品でもあるんで、&lt;br /&gt;正規の病院が正規のルートで手に入る麻薬だけでは&lt;br /&gt;手術の分量に追っつかない、&lt;br /&gt;ということを医者に聞かされたことがあるんです。&lt;br /&gt;それで闇で売りにくるモルヒネだとかコカインだとかに手を出して&lt;br /&gt;病院が買わなければならない。&lt;br /&gt;そうでないことには手術が出来ない。&lt;br /&gt;そうゆうこともあるということを医者がボソボソ言ってましたけども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そのコカの木を栽培するわけです、&lt;br /&gt;インディオがね。&lt;br /&gt;それにコロンビア国は貧しいんで、&lt;br /&gt;あそこは美女、&lt;br /&gt;美しい女ですね、&lt;br /&gt;美女とバナナとエメラルドとコーヒー、&lt;br /&gt;これだけなんです。&lt;br /&gt;アメリカのマフィアが金を出して、&lt;br /&gt;それでコロンビアのヤクザが絡んで、&lt;br /&gt;それがインディオと一緒になって、&lt;br /&gt;奥地でコカの木の栽培をしてやっとる、&lt;br /&gt;こう言うんです。&lt;br /&gt;で小型飛行機でどんどん運び出してきて、&lt;br /&gt;マイアミへ持っていく、&lt;br /&gt;で全世界に配られていく。&lt;br /&gt;こうゆうわけなんです。&lt;br /&gt;でアマゾン領土内ならどこでも出来る。&lt;br /&gt;上空から見てケジメがつかない。&lt;br /&gt;いちいち川から入っていかなきゃならないけども、&lt;br /&gt;あの止めどないジャングルだからみんな二の足を踏む。&lt;br /&gt;その前に警官が買収される、&lt;br /&gt;税関が買収される、&lt;br /&gt;大物に限ってごっそり買収されるとゆう風なんで、&lt;br /&gt;エラいことになってしまう。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;一説によるとコロンビア国は、&lt;br /&gt;正規の輸出品で稼いだドルと同じぐらいの金額、&lt;br /&gt;もしくはそれ以上がコカインの密輸出で動いてると言われるんです。&lt;br /&gt;と言うとどうゆうことになるかと言うと、&lt;br /&gt;大統領以下乞食までがですね、&lt;br /&gt;使ってる金の半分がキレイなお金、&lt;br /&gt;もう半分は汚れたお金、&lt;br /&gt;こうゆうことになる。&lt;br /&gt;こうなると一体汚職という概念が成立するかしないか、&lt;br /&gt;という問題が出てくるんですけれども。&lt;br /&gt;そこまできてる。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-4637314855448112370?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/4637314855448112370/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=4637314855448112370' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4637314855448112370'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4637314855448112370'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/20.html' title='『地球を歩く』（20）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-9126747434252675889</id><published>2007-08-09T20:23:00.001+09:00</published><updated>2007-08-10T06:14:33.999+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（19）</title><content type='html'>でまぁかろうじて一命をとりとめたんですけれども、&lt;br /&gt;そこからまた今度は、&lt;br /&gt;降りた所から川岸まで行って、&lt;br /&gt;ぺちゃくちゃしゃべって、&lt;br /&gt;カヌーを一台チャーターして、&lt;br /&gt;それで上流へ上流へとあがっていくわけです。&lt;br /&gt;すると両岸は緑の万里の長城という感じで、&lt;br /&gt;斧が入ったことがない、&lt;br /&gt;ブルドーザーも入ったことがない、&lt;br /&gt;所々にポツーンとこのインディオの部落がある。&lt;br /&gt;部落というほどでもないんですけど、&lt;br /&gt;2.3軒小屋がかたまっている。&lt;br /&gt;でカヌーが結んである。&lt;br /&gt;そのカヌーのお尻についている船外モーターが全部「YAMAHA」なんですね。&lt;br /&gt;これはえらいこっちゃ、&lt;br /&gt;ブラジル行った時に日本人と蟻はどこにでもいると聞かされたけど、&lt;br /&gt;こんなアマゾンの上流にまでヤマハのセールスマンが入ってんのか、&lt;br /&gt;これはエラいことになったと思って、&lt;br /&gt;よくよく話を聞くとこれが実はですね、&lt;br /&gt;コカインなんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;あの辺はコカインが出来る。&lt;br /&gt;コカインは木にならないんですけど、&lt;br /&gt;コカという木の葉っぱがあって、&lt;br /&gt;この木の葉っぱはただの木の葉っぱであって、&lt;br /&gt;誰にもケジメがつかない。&lt;br /&gt;この木の葉っぱをちぎってきて、&lt;br /&gt;塩酸か何かをぶっかけてドロドロにして、&lt;br /&gt;それから何か実験室で機械にかけると白い粉が出来る。&lt;br /&gt;コカインというやつです。&lt;br /&gt;コカインのペットネームというか暗号というか略語は、&lt;br /&gt;コークというんですアメリカでは、&lt;br /&gt;コカコーラのコークと同じなんです。&lt;br /&gt;茶色のコークと白いコークとがある。&lt;br /&gt;液体のコークと粉末のコークがあるわけなんです。&lt;br /&gt;これは覚醒剤です。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;でコカの葉っぱそのものは猛毒じゃないんで、&lt;br /&gt;これはジャングルに住んでいるインディオが、&lt;br /&gt;お祭りや何かで一発気勢を上げたいと、&lt;br /&gt;大きな猿が捕れて宴会が出来た、&lt;br /&gt;おめでたいという時にはこのコカの葉を山と盛りあげて、&lt;br /&gt;それをクチャクチャクチャクチャ噛んで、&lt;br /&gt;カッカッカッカとなってきて、&lt;br /&gt;それで踊ったり跳ねたりしてたわけです。&lt;br /&gt;何千年何万年と。&lt;br /&gt;それ自体別に中毒だの何だのと恐ろしいものではないんですが、&lt;br /&gt;ケミカルにしてしまうとエラいことになってくる。&lt;br /&gt;私もそのコカの葉っぱをやってみたことがあるんです。&lt;br /&gt;市場へ行ったらいくらでも売ってるんですね。&lt;br /&gt;ただの木の葉っぱです、&lt;br /&gt;カサカサの。&lt;br /&gt;こんなもの食ったって思うんで、&lt;br /&gt;まぁ食ってみろと言うから、&lt;br /&gt;むしゃむしゃむしゃむしゃ食うと、&lt;br /&gt;何か青白くてどんよりした妙にパサパサした面白くないもんですが、&lt;br /&gt;大分我慢して噛んでるうちにいくらかほんのりしてきてシャッキリなる。&lt;br /&gt;という程度なんですね。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-9126747434252675889?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/9126747434252675889/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=9126747434252675889' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/9126747434252675889'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/9126747434252675889'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/19.html' title='『地球を歩く』（19）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-4105770520316763924</id><published>2007-08-08T05:17:00.001+09:00</published><updated>2007-08-08T16:49:44.462+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（18）</title><content type='html'>そうすると今度はプロペラが回りだしたら、&lt;br /&gt;一列をつくって入り口から乗ったら、&lt;br /&gt;そんなもん5分もせんうちに全員乗れるのに、&lt;br /&gt;南米の人々には行列をつくるという考えが概念すらも成立していない。&lt;br /&gt;ウワァーっと押し掛ける。&lt;br /&gt;いくらヤクザなプロペラだって気流が激しいですから、&lt;br /&gt;みんながバタバタっと落ちる。&lt;br /&gt;でまたウワァーっとしがみつこうとする。&lt;br /&gt;そんなことせんでも一列に並んだらいいじゃないかと、&lt;br /&gt;カタコトのスペイン語でやるんですけれども、&lt;br /&gt;みんなこんなことしてる。&lt;br /&gt;それで乗り込んでやっと出ていくんですが、&lt;br /&gt;滑走路をヨレヨレヨレヨレとあがって、&lt;br /&gt;ジャングルの梢すれすれにこういく。&lt;br /&gt;なかなか高くあがれないで、&lt;br /&gt;何度も何度もあがって、&lt;br /&gt;だんだんあがっていって、&lt;br /&gt;それから上へいって、&lt;br /&gt;ようやく飛んでいくという。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;これがしばしば墜ちるんですね。&lt;br /&gt;ホントに。&lt;br /&gt;ボコタの旅館に荷物を預けといて、&lt;br /&gt;それで帰って来てからたまった新聞…&lt;br /&gt;私はスペイン語は耳学問だけしか知りませんが、&lt;br /&gt;読むぐらいなら何とかたどれるんでみると、&lt;br /&gt;「またＤＣ３が墜ちた」といって、&lt;br /&gt;で手配写真みたいなパイロットとスチュワーデスのかわい子ちゃんと、&lt;br /&gt;乗客の写真がうすらぼけて写ってるんです。&lt;br /&gt;それでその会社がどうやら私たちがボコタを出る時に、&lt;br /&gt;あの会社にしようか、&lt;br /&gt;この会社にしようか、&lt;br /&gt;と迷うたその一つの会社だったとゆうことに気がついて、&lt;br /&gt;こっちは何ということはない命拾いをしたというのでホッとするんですが、&lt;br /&gt;行方不明になった飛行機の会社の名前がいいんですがねこれが、&lt;br /&gt;「サテナ」というんです。&lt;br /&gt;ホントですよこれは。&lt;br /&gt;我々が乗ったのは、&lt;br /&gt;「ヴェナド」というんです。&lt;br /&gt;「サテナ」というんですがねこれは。&lt;br /&gt;それで飛行機、&lt;br /&gt;こんな飛行機に乗って墜ちたら、&lt;br /&gt;今頃東京ではあの開高氏が行方不明になって、&lt;br /&gt;魚釣りに行ったまま飛行機が墜落して死んじゃった、&lt;br /&gt;ちなみにその飛行機会社の名前は「サテナ」というんである。&lt;br /&gt;はじめは信じてもらえないで、&lt;br /&gt;テレビのクイズ番組に出るぐらいじゃないかと思うんですけども。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-4105770520316763924?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/4105770520316763924/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=4105770520316763924' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4105770520316763924'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4105770520316763924'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/18.html' title='『地球を歩く』（18）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-275051403865283023</id><published>2007-08-07T06:49:00.001+09:00</published><updated>2007-08-07T06:49:37.021+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（17）</title><content type='html'>乗ってずぅーっと飛んでいくと、&lt;br /&gt;際涯果てしない緑のジャングルで、&lt;br /&gt;あぁまだ地球上にもこんな所があったんかいな、&lt;br /&gt;見るだけでものびのびしてくるな、&lt;br /&gt;まだ森林資源はあるぞ、&lt;br /&gt;酸素がまだ湧いてるぞという感じがしてくるんですが、&lt;br /&gt;あっちにポツーン、&lt;br /&gt;こちらにポツーンと時々赤い穴がある、&lt;br /&gt;これがその飛行場ということになるんですが、&lt;br /&gt;セメントも何も敷いてない、&lt;br /&gt;草ボウボウなんです。&lt;br /&gt;ただ木が切ってあるだけで。&lt;br /&gt;そこへ上から飛び込むみたいにして入っていく。&lt;br /&gt;でガタガタガタガタポンととまると、&lt;br /&gt;インディオのお母さんが子供を抱いてこちらを見ている。&lt;br /&gt;まぁ飛行場辺りに出てくるインディオのお母さんは&lt;br /&gt;ズロースくらいははいてるか、&lt;br /&gt;ブラジャーは危ないですけどね。&lt;br /&gt;それでニコニコ笑ってて、&lt;br /&gt;やっぱりこの人も親類かいなとゆう風な顔をしてるんですけども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;この飛行機には癖があって、&lt;br /&gt;降りる時はそれでいいんんだけど、&lt;br /&gt;次飛び立てないんですね。&lt;br /&gt;それでどうゆう構造になってるかわかんないけど、&lt;br /&gt;要するにプロペラがブルンブルン回らない。&lt;br /&gt;でボタン押したり何かするんだけども全然動かない。&lt;br /&gt;パイロットが平気で、&lt;br /&gt;こんなこともあるわさ、&lt;br /&gt;とゆう顔をして、&lt;br /&gt;どうするかと言うと、&lt;br /&gt;飛行機の後部からロープを取り出してきまして、&lt;br /&gt;プロペラの前に飛び出してる所がある、&lt;br /&gt;プロペラの軸の所にね、&lt;br /&gt;そこへこうロープを巻き付けて、&lt;br /&gt;で空手チョップで目を詰めて、&lt;br /&gt;でロープが地面の上をこう這ってる。&lt;br /&gt;それを乗客一同が持って、&lt;br /&gt;掛け声はあの辺でも日本でも同じなんで、&lt;br /&gt;「いち、にの、さん」といってやるんです。&lt;br /&gt;スペイン語だから、&lt;br /&gt;「uno、dos、tres」と言ってヒョイと引くんですがね、&lt;br /&gt;そうするとあれは意外に重たいもので、&lt;br /&gt;三度か四度やってバタバタとたおれて、&lt;br /&gt;四度目ぐらいにやっとグラッと動くと、&lt;br /&gt;ブルブルブルブルブル…回ればいい方なんです。&lt;br /&gt;何度となくやっていくわけですね。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-275051403865283023?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/275051403865283023/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=275051403865283023' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/275051403865283023'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/275051403865283023'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/17.html' title='『地球を歩く』（17）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-8041958985196417540</id><published>2007-08-06T09:12:00.001+09:00</published><updated>2007-08-06T09:12:49.885+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（16）</title><content type='html'>それでそこまで行くのにどうするかというと、&lt;br /&gt;飛行機で行くんですが、&lt;br /&gt;ＤＣ３という飛行機があるんですね。&lt;br /&gt;今は同じ会社でつくっているジェット機がＤＣ何とかというんですが、&lt;br /&gt;これは３番。&lt;br /&gt;第二次大戦を描いた映画をご覧になってると必ず出てくるんですが、&lt;br /&gt;プロペラ二つでですね、&lt;br /&gt;ちょっとこうゆう風なとまりかたをするんです。&lt;br /&gt;輸送機に使われることが多いんです、&lt;br /&gt;爆撃機にも使ってましたが、&lt;br /&gt;大変によく出来た飛行機なんだそうで、&lt;br /&gt;ワシントンのスミソニアンの博物館に行くと、&lt;br /&gt;天井からワイヤーで吊るしてある、&lt;br /&gt;あんまりよく出来た飛行機だからというんで。&lt;br /&gt;これが第二次大戦中に活躍してですね、&lt;br /&gt;その後民間の輸送機にちょっと使われたんですが、&lt;br /&gt;ジェット機が登場したんで全部退場して、&lt;br /&gt;どこ行ったかというと、&lt;br /&gt;アフリカやら南米に払い下げられたんです。&lt;br /&gt;アフリカやら南米の軍隊が使ってて、&lt;br /&gt;またこれを払い下げて、&lt;br /&gt;民間へ払い下げた。&lt;br /&gt;ヨレヨレのクタクタ。&lt;br /&gt;いくら元つくられたときは名機だからといったってですね、&lt;br /&gt;もう5.60年になるんですからね、&lt;br /&gt;直す故障したってパーツがないというんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;この飛行機を一台、&lt;br /&gt;空港に客寄せにかわい子ちゃんを一人、&lt;br /&gt;こうゆう風なぐらいで、&lt;br /&gt;パイロットが一人もしくは二人、&lt;br /&gt;これで飛行機会社が出来るんです。&lt;br /&gt;ものすごい名前がついてる。&lt;br /&gt;「エル・コンドル」とかね、&lt;br /&gt;「エル・ソル」太陽ですな、&lt;br /&gt;そうゆうのが看板が空港へ行くとずらーと並んでる。&lt;br /&gt;みんなかわい子ちゃんがこちら見てニコニコしてる。&lt;br /&gt;でどれ見てもＤＣ３なんで、&lt;br /&gt;どれ乗っても同じやないかというので、&lt;br /&gt;いい加減なところを選んで乗るわけなんです。&lt;br /&gt;危ないことおっかないことったらありゃしないんですけども、&lt;br /&gt;そんなこと言ってられないというわけなんです。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-8041958985196417540?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/8041958985196417540/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=8041958985196417540' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8041958985196417540'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8041958985196417540'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/16.html' title='『地球を歩く』（16）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-8242200609134953470</id><published>2007-08-05T08:35:00.000+09:00</published><updated>2007-08-05T08:36:14.122+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（15）</title><content type='html'>バウペス川の辺りは、&lt;br /&gt;真性？アノフェレスというマラリアの猛烈なやつがいますが。&lt;br /&gt;この蚊は妙なエチケットがある。&lt;br /&gt;猛毒の持ち主なのに大変遠慮深く慎ましやかである。&lt;br /&gt;夕方6時から7時までの1時間だけかっきり出演する。&lt;br /&gt;人間の忘年会みたいにだらだらだらだらと止めどなく、&lt;br /&gt;皿小鉢投げ合いするとゆうようなことはしないんです。&lt;br /&gt;そのかわり日が落ちるのが6時、&lt;br /&gt;蚊が出るのが6時、&lt;br /&gt;火がついたらうゎーんと出てきて目も口も開けてられない。&lt;br /&gt;こっちはサトウキビ焼酎を飲みにかかるんですが、&lt;br /&gt;これがまた蚊の大好物ときてるんで、&lt;br /&gt;小さな蚊帳を木の間に張って、&lt;br /&gt;その間にうずくまって酒を飲まないことには、&lt;br /&gt;もう目も口もあったもんじゃない蚊が飛び込んでくるんです。&lt;br /&gt;これが全部マラリアかと思うとぞっとするんですけど。&lt;br /&gt;で体内時計という言葉がありまして、&lt;br /&gt;生物には体の中にですね時間を測定して、&lt;br /&gt;何時に目を覚まして、&lt;br /&gt;何時に飯食ってということを指示する機能がある、&lt;br /&gt;懐中時計が入ってるわけじゃないですよ。&lt;br /&gt;クロノメーターが入ってるわけでもないんですけれども、&lt;br /&gt;そうゆう機能がある。&lt;br /&gt;これを体内時計と呼んでるんですが、&lt;br /&gt;あのちんちくりんの蚊の中の体内時計が実にしっかりしててですね、&lt;br /&gt;うゎーんときたので時計見ると6時なんです。&lt;br /&gt;うゎんうゎんうゎんうゎんもう目も口も開けてられない、&lt;br /&gt;どこからこんなに出てきたんだろう、&lt;br /&gt;今まで一匹もいなかったのに。&lt;br /&gt;それでぱたっと止むんですね。&lt;br /&gt;で時計見たら7時なんです。&lt;br /&gt;これがアマゾンの蚊なんです。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-8242200609134953470?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/8242200609134953470/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=8242200609134953470' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8242200609134953470'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8242200609134953470'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/15.html' title='『地球を歩く』（15）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-418225032220423920</id><published>2007-08-04T07:29:00.000+09:00</published><updated>2007-08-04T07:30:26.746+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（14）</title><content type='html'>どんどん文明から逃げるんだわさ、&lt;br /&gt;偉大なる逃走を試みるんだ、&lt;br /&gt;人間の手のついてない、&lt;br /&gt;足跡のない所へ行くんだわ、&lt;br /&gt;とまぁ新聞の見出しのようなことを考えて行くんですが、&lt;br /&gt;よりによって行った所が、&lt;br /&gt;これがですね妙なことになる。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;例えばバウペス川という川があるんですがね、&lt;br /&gt;これは南米のコロンビアの領土内にあって、&lt;br /&gt;アマゾン川の上流地帯なんです。&lt;br /&gt;上流も上流もう源流に近い。&lt;br /&gt;これがいくつもの川があります。&lt;br /&gt;でアマゾンの源流は一つきりじゃないんです。&lt;br /&gt;たくさんの水が集まってきて、&lt;br /&gt;大アマゾンになってるんです。&lt;br /&gt;その源流の一つにバウペス川というのがあって、&lt;br /&gt;源流だとは言いながら、&lt;br /&gt;なかなか堂々とした風格のある川幅なんですが、&lt;br /&gt;この川まで行ったら、&lt;br /&gt;かなり釣り師としてはやった方に入るんじゃないかと思って、&lt;br /&gt;コロンビアはボコタというのが都ですが、&lt;br /&gt;そこで色々もう地図を探ったり、&lt;br /&gt;情報を探ったりして行くわけですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;あの辺はまったくの未開地で、&lt;br /&gt;未開地であるかないかは、&lt;br /&gt;マラリアの蚊がいるかいないかを探ればいい、&lt;br /&gt;アノフェレスというんですけれども、&lt;br /&gt;マラリアの蚊は克服しようと思えば簡単にやれるんで、&lt;br /&gt;石油をばらまきさえすれば幼虫が育たない、&lt;br /&gt;ボウフラが育たないで殺していけるんです。&lt;br /&gt;でマラリアを克服したといわれてる所なら文明地帯だと言える。&lt;br /&gt;マラリアの蚊が出てくるようなら、&lt;br /&gt;まだ文明の及んでいない土地だと言える。&lt;br /&gt;そしたらどうしてマラリアが出てるか出てないかわかるんだ、&lt;br /&gt;刺されてみればわかるというんですけども。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-418225032220423920?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/418225032220423920/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=418225032220423920' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/418225032220423920'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/418225032220423920'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/14.html' title='『地球を歩く』（14）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-2715265033166432195</id><published>2007-08-03T07:21:00.000+09:00</published><updated>2007-08-03T07:22:05.965+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（13）</title><content type='html'>それで魚釣りをやるんですが、&lt;br /&gt;日本国内の釣りはみんなが書いてるし、&lt;br /&gt;みんなが知ってるから、&lt;br /&gt;私も子供の時から馴染んでるので、&lt;br /&gt;あらためて私が鮎釣りをしなくてもいいんじゃないかと、&lt;br /&gt;それよりもなかなか入っていけないような所へ行って、&lt;br /&gt;あるいはもう絶滅しかかってるとゆう風な魚の前へ一歩出て、&lt;br /&gt;その魚の顔を見て写真撮ってと、&lt;br /&gt;ゆう風なことでもした方がいいんじゃないかと、&lt;br /&gt;こう思ってアマゾンへ行ったり、&lt;br /&gt;アラスカ行ったり、&lt;br /&gt;カナダの森林に潜り込んだりとゆう風なことをやってるんです。&lt;br /&gt;それで色んな国を渡り歩いたんですが、&lt;br /&gt;ここでもまたですね、&lt;br /&gt;色んなことを感じさせられる。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;で誰も来ない所へ入って行きたい。&lt;br /&gt;釣り師の心理は色々ありますけれども、&lt;br /&gt;例えば私は山釣り師ですから、&lt;br /&gt;川釣り、山釣りしかしない。&lt;br /&gt;鮭、鱒、岩魚類が好きなんですけれども、&lt;br /&gt;だからこの北海道でも釧路中心に随分通うたことあるんですが、&lt;br /&gt;誰も来ない所、入ってない所、&lt;br /&gt;そうゆう所へ行って一人きりになりたい。&lt;br /&gt;まぁ強いて言えば、&lt;br /&gt;文明の汚濁から逃げるんだ、&lt;br /&gt;女房や家庭や職業やうっとうしいもんから全部逃げるんだ、&lt;br /&gt;忘れるんだ、&lt;br /&gt;偉大なる逃走を試みるんだ、&lt;br /&gt;とゆう風なことはちょっと大げさですかね、&lt;br /&gt;万事大げさなのは釣り師の癖ですけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;で誰も来ない所、&lt;br /&gt;入ったことがない、&lt;br /&gt;靴跡もない、&lt;br /&gt;指紋もついてない所へ入って行く、&lt;br /&gt;それで大きな魚を一匹釣り上げると、&lt;br /&gt;妙な心理がここで働いて、&lt;br /&gt;ワクワクドキドキして針を外すのに手が震えるんですが、&lt;br /&gt;ふっと後ろを振り返って、&lt;br /&gt;誰か見ててくれへんかったかなぁ、&lt;br /&gt;とこうゆう倒錯心理があるんですけれども。&lt;br /&gt;これがなかなか克服出来ないんですね。&lt;br /&gt;猫みたいなものです。&lt;br /&gt;猫はネズミや何かスズメを捕って必ず持って帰ってきますけど、&lt;br /&gt;食べるのでもない、&lt;br /&gt;主人に見せたくて持って帰ってきて、&lt;br /&gt;放り出したまんまでどっか遊びにいきますけど、&lt;br /&gt;あれに似た心理がある。&lt;br /&gt;誰か見てへんかったかいなぁと。&lt;br /&gt;で見てなかったら何かちょっとつまんないような感じがする。&lt;br /&gt;そうゆう心理があるんですが。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-2715265033166432195?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/2715265033166432195/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=2715265033166432195' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/2715265033166432195'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/2715265033166432195'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/13.html' title='『地球を歩く』（13）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-121702126423685795</id><published>2007-08-02T07:51:00.000+09:00</published><updated>2007-08-02T07:52:19.449+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（12）</title><content type='html'>問題といえば私は30代いっぱいから40代後半にかけて15.6年間、&lt;br /&gt;戦争やら揉め事ばっかり追っかけて歩いてたんですが、&lt;br /&gt;東南アジアの戦争、&lt;br /&gt;アフリカの戦争、&lt;br /&gt;色々追っかけてたんですけれども、&lt;br /&gt;そのうちにどの戦場やら何やらを描くのも、&lt;br /&gt;みんな同じボキャブラリーを使ってるということに気がついて、&lt;br /&gt;しかしどう考えても自分の才能、&lt;br /&gt;能力としてはそれ以外の言葉がないと、&lt;br /&gt;これしか使うしかないという一軍の言葉で書いている。&lt;br /&gt;これではダメだというのに気がつきました。&lt;br /&gt;それで戦争をレポートすることをやめちゃったんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それから戦争が終わったからといって、&lt;br /&gt;戦争をしただけのことはあった、&lt;br /&gt;と言えるようなことはないと。&lt;br /&gt;例えばベトナムの場合ボートピープルをご覧になると、&lt;br /&gt;その一例だけでわかると思うんですけれども、&lt;br /&gt;ありとあらゆる悲惨やら残酷やらが、&lt;br /&gt;あの戦争の間報道されましたけれども、&lt;br /&gt;ボートピープルとゆうようなことは、&lt;br /&gt;あの戦争中には一度も報道されたことがなかったんです。&lt;br /&gt;とすると戦争が終わったのにその後にきたものは、&lt;br /&gt;何であるかは知らないけれども、&lt;br /&gt;あのように板子一枚で台風圏の南シナ海へ出て行って、&lt;br /&gt;生き延びられるものやら、&lt;br /&gt;死ぬものやらけじめもつかない。&lt;br /&gt;なかには死んだ妹の肉を食べて兄がどうやらこうやら生き延びて、&lt;br /&gt;シンガポールにたどり着いたとゆう風なことも記録されてたりして、&lt;br /&gt;そうすると戦争以上のことがあの国にはあるのか、&lt;br /&gt;一体何のためにあんだけの戦争をやったんだ、&lt;br /&gt;と言いたくなる。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうゆうことも手伝ってですね、&lt;br /&gt;戦争をレポートするのが嫌になったもんですから、&lt;br /&gt;それで釣り師に転向したわけです。&lt;br /&gt;転向したとはいうんですけれども、&lt;br /&gt;戦場が川岸にかわっただけのことで、&lt;br /&gt;現場で汗水たらして泥まみれになって、&lt;br /&gt;蠢いて這い回っているという点では私はかわってない。&lt;br /&gt;現場主義ということではやっぱり同じなんじゃないか、&lt;br /&gt;と思うこともあるんですね。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-121702126423685795?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/121702126423685795/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=121702126423685795' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/121702126423685795'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/121702126423685795'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/12.html' title='『地球を歩く』（12）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-7458147326212177241</id><published>2007-08-01T08:55:00.000+09:00</published><updated>2007-08-01T08:57:21.311+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（11）</title><content type='html'>&lt;div style="text-align: left;"&gt;&lt;span class="on down" style="display: block;" id="formatbar_JustifyRight" title="右揃え" onmouseover="ButtonHoverOn(this);" onmouseout="ButtonHoverOff(this);" onmouseup="" onmousedown="CheckFormatting(event);FormatbarButton('richeditorframe', this, 12);ButtonMouseDown(this);"&gt;だからお月様へ行くロケットの中にですね、&lt;br /&gt;何でもいい好きなものを一つだけ選んで持ち込むことを許すといえば、&lt;br /&gt;アメリカ人ならコカコーラとハンバーグを持ってくるでしょうし、&lt;br /&gt;日本人なら近頃大分危ないですが、&lt;br /&gt;みそ汁の魔法瓶につめたやつを持って入ってくるかもしれませんね。&lt;br /&gt;ベトナム人ならニョクマムを持ってくるでしょうし、&lt;br /&gt;アラブ人ならクスクスという団子を持って入ってくるかもしれない。&lt;br /&gt;そうゆう風な本来固有なるものというのは、&lt;br /&gt;なかなかに覆ることがないし、&lt;br /&gt;むしろ蔓延る気配の方が大きい。&lt;br /&gt;フランス人ならウンチを持ってくるでしょうし、&lt;br /&gt;特にセーヌのポンヌフの橋の下の特製のやつを選んで持ってくるかもしれません。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;こうゆうことを考えていくと、&lt;br /&gt;地球が狭くなったと思っている分だけ、&lt;br /&gt;フランス人はフランス人、&lt;br /&gt;アメリカ人はアメリカ人とゆう、&lt;br /&gt;頑固で容易にかえられないものがあるんだから、&lt;br /&gt;地球が小さくなったとこちらが実感する分だけ、&lt;br /&gt;地球は大きくなってるという、&lt;br /&gt;反語ですけれども、&lt;br /&gt;そうゆう言い方をしたくなる。&lt;br /&gt;だから迂闊に世界は狭くなったと言っていいもんかどうか、&lt;br /&gt;については問題があるように思うんです。&lt;br /&gt;&lt;/span&gt;&lt;/div&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-7458147326212177241?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/7458147326212177241/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=7458147326212177241' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7458147326212177241'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7458147326212177241'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/08/11.html' title='『地球を歩く』（11）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-8079525382250800968</id><published>2007-07-31T07:53:00.001+09:00</published><updated>2007-07-31T07:53:55.409+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（10）</title><content type='html'>ベトナム戦争でもそうだったんですよ、&lt;br /&gt;毎日昼寝の習慣があるんです。&lt;br /&gt;私が行くようになったのは1964年頃からでしたけども、&lt;br /&gt;それから10年間にわたって三回行ってるんですけども、&lt;br /&gt;それで従軍したりしてるんですが、&lt;br /&gt;従軍しててゴム林の中を歩いてて、&lt;br /&gt;昼飯を食う、&lt;br /&gt;食い終わるとみんなそこで倒れて昼寝してしまうんです。&lt;br /&gt;本当に昼寝するんです。&lt;br /&gt;それではじめの頃は何のことやわからないで、&lt;br /&gt;こんなことしてたら、&lt;br /&gt;ここへ迫撃砲が一発落ちてきたらエラいことになる、&lt;br /&gt;と言って騒いでるのは日本人の小説家だけなんですけども。&lt;br /&gt;それでアメリカの士官をつかまえて、&lt;br /&gt;「こ、これ何や？」と言うと、&lt;br /&gt;「いや向こうも寝てるんや、俺も寝るよ、お前も寝たらどうだ」と言う、&lt;br /&gt;それではじめのうちはイライライライラして寝ることも何ともできない、&lt;br /&gt;そのうちにだんだんだんだん図太くなってきてですね、&lt;br /&gt;飯食わぬさきから眠気がこみ上げてくるようなことになってきたんですが、&lt;br /&gt;毎日が夜がなくて、&lt;br /&gt;午後一時から四時まで時間だけしかあの国にはないということになれば、&lt;br /&gt;永遠に戦争はありえない、&lt;br /&gt;と言いたくなるくらいひっそり閑としてるんです。&lt;br /&gt;田舎も街もですね。&lt;br /&gt;犬も歩いていない。&lt;br /&gt;そうゆう戦争なんです。&lt;br /&gt;四時頃になると、&lt;br /&gt;うわーよう寝たな、&lt;br /&gt;ほんならいっちょやるか、&lt;br /&gt;とゆうので戦争をやりだすんで、&lt;br /&gt;付き合いきれないという印象がありましたな、&lt;br /&gt;当時の間は。&lt;br /&gt;だけどもその中へ入ってみるとそれが当たり前なんで、&lt;br /&gt;そうゆう流儀でやってるんだと言うんです。&lt;br /&gt;こうゆうこともなかなかわかりにくいことの一つです。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-8079525382250800968?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/8079525382250800968/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=8079525382250800968' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8079525382250800968'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8079525382250800968'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/10.html' title='『地球を歩く』（10）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-2204409413679363810</id><published>2007-07-30T00:43:00.000+09:00</published><updated>2007-07-30T00:44:06.385+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（9）</title><content type='html'>例えばユダヤ人とアラブ人が揉め事を続けておりますけれども、&lt;br /&gt;このユダヤ人の建てた国はイスラエルですけれども、&lt;br /&gt;ここへ行くと、&lt;br /&gt;金曜日の夕方の一番星の出る時から、&lt;br /&gt;明くる日の土曜日の夕方の一番星が出るまで、&lt;br /&gt;これをシャバットと言いまして、&lt;br /&gt;24時間、&lt;br /&gt;火を使っちゃいけない、&lt;br /&gt;外を出歩いちゃいけない、&lt;br /&gt;働いちゃいかん、&lt;br /&gt;それから火の入った料理を食っちゃいかん、&lt;br /&gt;刃物使っちゃいかん、&lt;br /&gt;あれいかんこれいかんで、&lt;br /&gt;24時間ひたすら家に籠って、&lt;br /&gt;本を読むか、&lt;br /&gt;奥さんと愛し合うか、&lt;br /&gt;冷めた料理を食べながらね。&lt;br /&gt;こうゆうことになってる。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでナチスの大佐がアルゼンチンで捕まってその後裁判が、&lt;br /&gt;戦争裁判がエルサレムであって、&lt;br /&gt;私はそれを傍聴に行ったんですけど、&lt;br /&gt;毎週これなんです。&lt;br /&gt;それでもうヒタッと猫も一匹も歩いていない。&lt;br /&gt;それで原稿を書いてそれを至急送って、&lt;br /&gt;東京の出版社に送らなきゃいけないんで、&lt;br /&gt;私が原稿を持ってあたふたと駆け出してくるけれども、&lt;br /&gt;空港まで走ってくれるタクシーがない。&lt;br /&gt;散々エルサレム中歩き回ってやっと一台見つけて、&lt;br /&gt;拝み倒して行ってくれと、&lt;br /&gt;で飛び乗ってエルサレムから出ようとすると、&lt;br /&gt;ユダヤ教のおじいさんですなぁ、&lt;br /&gt;ひげを生やした、&lt;br /&gt;これがやって来て、&lt;br /&gt;道ばたの石ころを拾って、&lt;br /&gt;よろよろしてるんです、&lt;br /&gt;何をするんだろうと思ってると、&lt;br /&gt;私の乗ってるタクシーにドカーンとぶつけて、&lt;br /&gt;「シャバットの日にうろうろ出歩いている罰当たりがいる」と言っている。&lt;br /&gt;運ちゃんも悪いということを承知の上だから、&lt;br /&gt;「しょうがないなぁ」と言って、&lt;br /&gt;おじいさんを怒鳴り返すこともなしに、&lt;br /&gt;すごすごとそのまま行くんですけど。&lt;br /&gt;戦争になったらどうするんやと言いたくなるんですけども。&lt;br /&gt;一方イスラエルを攻めるアラブの方はアラブの方で、&lt;br /&gt;毎日お祈りの時間が来るとひたすらお祈りをしてる。&lt;br /&gt;両方ともはじめっからそればっかりやってたらいいじゃないか&lt;br /&gt;と言いたくなるんですけれども。&lt;br /&gt;終わると途端に銃の安全装置を外して、&lt;br /&gt;さぁ戦争しようか、&lt;br /&gt;これなんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;こうゆうことになると私は本当にわからなくなるんで、&lt;br /&gt;頭の中の地図からまたしてもわからない国が一つ出てきた、&lt;br /&gt;と消していかずにいられないんです。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-2204409413679363810?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/2204409413679363810/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=2204409413679363810' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/2204409413679363810'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/2204409413679363810'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/9.html' title='『地球を歩く』（9）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-9041938493315874426</id><published>2007-07-29T07:36:00.000+09:00</published><updated>2007-07-29T07:37:23.854+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（8）</title><content type='html'>そうゆう目で見ていくとですね、&lt;br /&gt;日本人に理解出来ない世界地図というものがある&lt;br /&gt;ということに気がつくんですが、&lt;br /&gt;例えばその一つが宗教とゆうやつですね。&lt;br /&gt;我々はご存知のように、&lt;br /&gt;教養や哲学、&lt;br /&gt;趣味としての宗教はあるけれども、&lt;br /&gt;ほんとに信じ込んでの宗教の信心者というものは、&lt;br /&gt;宗教の宗派の如何に関わらずそうたくさんはいないと思うんですけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;回教徒の国へ行きますと、&lt;br /&gt;お祈りの時間になると、&lt;br /&gt;空港のオフィスで働いてるのがにわかにこのぐらいの毛布をパッと広げて、&lt;br /&gt;メッカ、メジナの方を向いてお祈りをはじめる。&lt;br /&gt;ちゃんとネクタイ締めたままでですよ。&lt;br /&gt;それが終わると立ち上がって、&lt;br /&gt;「どちらへおいでですか」とか元の事務をやりだす。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;これにぶつかると&lt;br /&gt;はたと私は壁にぶつかったような気がして、&lt;br /&gt;ただもう呆然と見てるしかない。&lt;br /&gt;そうゆうことが度重なっていくに従って、&lt;br /&gt;世界地図とゆうものを日本人向きに一遍書き直してみる必要があるのんと違うかと。&lt;br /&gt;宗教ということになると日本人はまず理解出来ない。&lt;br /&gt;日曜に教会へ行くということも、&lt;br /&gt;習慣としては理解出来るけれども、&lt;br /&gt;その心が理解出来ない。&lt;br /&gt;一事が万事そうゆうことになってきてる&lt;br /&gt;とゆう風な目で見ていくと、&lt;br /&gt;我々の素直に入っていって、&lt;br /&gt;そうゆう壁にぶつかったような思いをしないですむ、&lt;br /&gt;地帯、土地というものは、&lt;br /&gt;地球上は非常に少ないということを気付かせられるんです。&lt;br /&gt;ビジネスだとか、&lt;br /&gt;そうゆう女の話なんかをしてるぶんには、&lt;br /&gt;そうゆうことは出てこないんですけれども、&lt;br /&gt;ひとたび話が信仰になるとか、&lt;br /&gt;信仰の時間にくるとか、&lt;br /&gt;信仰の日にあたるとかになると、&lt;br /&gt;バタッとわからなくなる。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-9041938493315874426?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/9041938493315874426/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=9041938493315874426' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/9041938493315874426'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/9041938493315874426'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/8.html' title='『地球を歩く』（8）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-6091566470455805529</id><published>2007-07-28T07:31:00.001+09:00</published><updated>2007-07-28T07:31:34.154+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（7）</title><content type='html'>ウンチからおしっこから垂れ流しで、&lt;br /&gt;それからこれ大事なことなんです、&lt;br /&gt;誰も研究しようとしない、&lt;br /&gt;家の戸口ばっかり研究してて裏口を研究しないから&lt;br /&gt;こうゆう片手落ちになるんですが、&lt;br /&gt;女官ね「Je t'aime」という女官、&lt;br /&gt;これが香水の匂いを漂わせながらやってらっしゃるのは、&lt;br /&gt;立ったままでのおしっこなんであって、&lt;br /&gt;上体をややかがめる程度、&lt;br /&gt;とゆうのではニュージーランド原始人とあまりかわらない。&lt;br /&gt;でもう中庭がそれらのもういっぱい、&lt;br /&gt;で大革命も終わってベルサイユが廃墟と化して、&lt;br /&gt;それで当時ベルサイユの宮殿で女官生活を送っていた、&lt;br /&gt;もうおばあさんになったのが、&lt;br /&gt;たまたまベルサイユへとことこやってきて、&lt;br /&gt;その匂いを嗅ぐやいなや、&lt;br /&gt;昔は美しかったであろう瞳を潤ませて、&lt;br /&gt;「あぁこれがあの時代の匂いだわ」と言ったという。&lt;br /&gt;あの時代の匂いというのがその匂いなんです。&lt;br /&gt;そうゆうことを何とも思わないで、&lt;br /&gt;それをまたぎまたぎやっておったんであるわけでして、&lt;br /&gt;その気風がいまだに伝わっているから、&lt;br /&gt;セーヌの橋の下はうずまきパンだらけということになるんです。&lt;br /&gt;これホントです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;でこのようなものを文化と、&lt;br /&gt;で文化と文明はどう違うかというと、&lt;br /&gt;色んな理解のしかたがあるんですけれども、&lt;br /&gt;私なりに解釈すれば、&lt;br /&gt;文明というのは電話とかテレビとか原爆とか水道というふうに、&lt;br /&gt;よその文化圏へ容易に伝えることが出来るもの、&lt;br /&gt;これが文明である。&lt;br /&gt;それから文化というのは、&lt;br /&gt;よその文化圏に伝えることが出来ないか、&lt;br /&gt;はなはだ伝えることが難しいいもの、&lt;br /&gt;これが文化。&lt;br /&gt;で垂れ流しと、&lt;br /&gt;要するにキジうちですね釣り師のいう。&lt;br /&gt;自然なるものを愛する、&lt;br /&gt;とだんだん言葉がかわっていきますけれど、&lt;br /&gt;こうゆう習慣は、&lt;br /&gt;ロンドンにもあんまりないし、&lt;br /&gt;ベルリンにはまさにない、&lt;br /&gt;ミュンヘンにもない、&lt;br /&gt;マドリッドの裏町にちょっとありますけれども、&lt;br /&gt;そしてそれをみんなが許し合っている。&lt;br /&gt;酒に対してもフランスははなはだ寛容で、&lt;br /&gt;酔っぱらって自動車を運転しててもお咎めにはならない。&lt;br /&gt;あんまりひどい時にはエラいことになりますけど、&lt;br /&gt;大変寛容なんです。&lt;br /&gt;垂れ流しやら酒に寛容という点では日本とちょっと似たところがある。&lt;br /&gt;こうゆうものはですね、&lt;br /&gt;これからどうゆう時代が来るかは私はわかりませんけれども、&lt;br /&gt;今後もなかなか変わることはあるまいと思うんです。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-6091566470455805529?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/6091566470455805529/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=6091566470455805529' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/6091566470455805529'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/6091566470455805529'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/7.html' title='『地球を歩く』（7）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-3512067242417864356</id><published>2007-07-27T08:56:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T09:58:09.989+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（6）</title><content type='html'>これがまたニューヨークが、&lt;br /&gt;ティファニーだブロードウェイだというようなことばっかり&lt;br /&gt;みんな言ってますけども、&lt;br /&gt;したたかにウンチとおしっこの匂いがする。&lt;br /&gt;聞いてみるとここ15.6年急速にこうなったんだというんですけれども、&lt;br /&gt;フランスの場合もうちょっと伝統があります。&lt;br /&gt;長い、昔からなんです。&lt;br /&gt;「セーヌの橋の下で」と言いますけれども、&lt;br /&gt;事実セーヌの橋の下でみんな、&lt;br /&gt;「Je t'aime」なんてやってますけれども、&lt;br /&gt;その横はうずまきパンの氾濫なんであって、&lt;br /&gt;いやホント、&lt;br /&gt;これはテレビがいつか報道するんじゃないかと思って私はみてまして、&lt;br /&gt;私はテレビはほとんど見ないんでよくわかりませんけれども、&lt;br /&gt;セーヌの橋の下はうずまきパンだらけやでとゆう、&lt;br /&gt;あるいは柔らかくなったのでカレーライスやで、&lt;br /&gt;とゆう風な風景をドキュメンタリー番組で紹介したことがあるか、&lt;br /&gt;と若者に聞きますが、&lt;br /&gt;知りません、&lt;br /&gt;存じません、&lt;br /&gt;見たことありませんと言うから、&lt;br /&gt;依然としてフォブール・サントノレがどうのこうの、&lt;br /&gt;とゆうようなことばっかりやってるんじゃないかという気がするんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;これはフランス人の、&lt;br /&gt;強いて言えば長い文化的伝統なんであってね、&lt;br /&gt;「esprit gaulois」という言葉があるんで、&lt;br /&gt;ゴーロワ精神と言うんですが、&lt;br /&gt;これがフランス精神の元祖になってると。&lt;br /&gt;これは自然なるものを愛する、&lt;br /&gt;豪放快活磊落にやれ、&lt;br /&gt;というところがありまして、&lt;br /&gt;飲めや歌えのどんちゃん騒ぎ大歓迎。&lt;br /&gt;ついでに出す方のあれも大歓迎。&lt;br /&gt;ベルサイユ宮殿時代という時代がありまして、&lt;br /&gt;それからフランス大革命という流血の大時代がそのあとに続くんですけれども、&lt;br /&gt;ベルサイユ宮殿というと近頃なんだか、&lt;br /&gt;「ベルサイユのバラ」とか何とかいうのが氾濫しているとか&lt;br /&gt;ちょっと前まで言われてましたけども、&lt;br /&gt;エラいヒットしてるというので、&lt;br /&gt;私もたまたま出版者に頼んで持ってきてもらってみたら、&lt;br /&gt;要するに宝塚ということなんですけれども。&lt;br /&gt;あんなもんじゃないんであって、&lt;br /&gt;まぁそうゆう面もあったのかもしれませんけれども。&lt;br /&gt;垂れ流しなんですなあれは。&lt;br /&gt;それで水洗便所が発明されてなかったから…&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;私の話はこうゆうことばっかりじゃありませんけれども、&lt;br /&gt;こうゆう話からはじめたら落ちようがないから、&lt;br /&gt;あとは上がるばっかりだと思っていただきたい。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-3512067242417864356?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/3512067242417864356/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=3512067242417864356' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/3512067242417864356'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/3512067242417864356'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/6.html' title='『地球を歩く』（6）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-8536739282918914371</id><published>2007-07-26T04:33:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T09:58:26.182+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（5）</title><content type='html'>例えばですね、&lt;br /&gt;パリという街がありますけれども、&lt;br /&gt;香水とファッションと高級文化ということになってるんですけども、&lt;br /&gt;しかし以外に報道されてない面はたくさんありましてね、&lt;br /&gt;私はパリが好きで随分なけなしのお金をはたいたんですけれども、&lt;br /&gt;ヨーロッパの都でですね、&lt;br /&gt;その人口に比べて石鹸の売上が一番悪いのはパリなんです。&lt;br /&gt;というのはつまり不潔だということなんですけども。&lt;br /&gt;これが以外にいつまでたっても報道されないんで、&lt;br /&gt;これはどうゆうことかと思うんです。&lt;br /&gt;私がパリをウロウロしだしたのは、&lt;br /&gt;もう今から20年も昔なんですけども、&lt;br /&gt;依然としてかわってないんです。&lt;br /&gt;それから全ヨーロッパの首府で、&lt;br /&gt;街角で立ち小便をしておる、&lt;br /&gt;あるいは橋の下でウンチをしておる、&lt;br /&gt;堂々と、&lt;br /&gt;憚ることなく、&lt;br /&gt;やる奴をみんなが認めている、&lt;br /&gt;こうゆう癖があるのはパリだけなんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;ニューヨークもですね、&lt;br /&gt;したたかにおしっこの匂いが立ちこめておりまして、&lt;br /&gt;これがまた行ってみるまでわからなかったんですけれども、&lt;br /&gt;地下鉄を降りるともう、&lt;br /&gt;酸いような甘ったるいようなおしっこの、&lt;br /&gt;出たての匂いも、&lt;br /&gt;三日経ったような匂いも込めてですね、&lt;br /&gt;ムラムラムラッと鼻先へきて、&lt;br /&gt;これはニューヨークのつもりやのに、&lt;br /&gt;パリへ来たんかと思ったくらいですけれども。&lt;br /&gt;どうゆうものか、&lt;br /&gt;食事のせいか何か、&lt;br /&gt;一種独特の甘ったるいような匂いがしますね。&lt;br /&gt;何のせいでしょう、&lt;br /&gt;コカコーラの飲み過ぎやろかと思うんですけども。&lt;br /&gt;あ、これはパリの匂いやと、&lt;br /&gt;同じ匂いです。&lt;br /&gt;東南アジアへ行くとちょっとまたこの系統がかわってきますけどね、&lt;br /&gt;匂いが。&lt;br /&gt;食べ物のせいでしょうね。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-8536739282918914371?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/8536739282918914371/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=8536739282918914371' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8536739282918914371'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8536739282918914371'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/5.html' title='『地球を歩く』（5）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-5194464592191086422</id><published>2007-07-25T00:16:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T09:58:42.011+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（4）</title><content type='html'>それでまぁ私は30代、&lt;br /&gt;現在53歳をもうあと何日かで終わりつつある波間に没する世代なんですけども、&lt;br /&gt;会社行くと窓際ですけれども、&lt;br /&gt;30歳ぐらいからいくらか生活にゆとりができたのと、&lt;br /&gt;それから日本経済が復興してきて、&lt;br /&gt;国庫にいくらかドルが貯まるようになったんで、&lt;br /&gt;外国へも行けるようになって、&lt;br /&gt;それからほっつき歩くようになったんですが。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;まぁこのごろよく言われるのは、&lt;br /&gt;「地球は狭くなった」&lt;br /&gt;という言葉なんですけれども、&lt;br /&gt;成田を飛び立ってウトウトしてるうちに、&lt;br /&gt;目が覚めたらニューヨークに着いてたとか、&lt;br /&gt;パリに着いてたとこいうことになるわけですね。&lt;br /&gt;それでおっかなびっくりニューヨークへ入ってく、&lt;br /&gt;パリへ入ってく、&lt;br /&gt;で飲んだり食ったりしているうちに、&lt;br /&gt;フランス人もアメリカ人も同じじゃないかということを発見する。&lt;br /&gt;やっぱりマクドナルドのハンバーグがあったりして、&lt;br /&gt;「人間どこ言っても同じやなー」&lt;br /&gt;とゆう風な感銘を抱いて帰っていく。&lt;br /&gt;それで地球は小さくなった狭くなったと、&lt;br /&gt;コミュニケーションと運搬の手段の発達のおかげで&lt;br /&gt;そうゆうことが言われるようになったんですが、&lt;br /&gt;もう一方よくよく立ち止まって物事を見直してみると、&lt;br /&gt;「ほんまに小さくなったんやろか」&lt;br /&gt;と言いたくなることも多いんですね。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-5194464592191086422?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/5194464592191086422/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=5194464592191086422' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/5194464592191086422'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/5194464592191086422'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/4.html' title='『地球を歩く』（4）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-803025630514920117</id><published>2007-07-24T03:43:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T09:58:59.354+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（3）</title><content type='html'>いつか岩波書店の講演で随分前になりますけど、&lt;br /&gt;信州の長野へ行ったことがあるんですが、&lt;br /&gt;先輩の小説家から、&lt;br /&gt;「岩波書店で信州長野へ講演に行ったらエラいことになるから気つけろ」&lt;br /&gt;と言われてたんですけども、&lt;br /&gt;小説家というのは家の中に籠ってばっかりいるから、&lt;br /&gt;何でもいいちょっとでも経験出来ることあるならやった方がいい、&lt;br /&gt;と思って出て行ったら、&lt;br /&gt;前列十列ぐらいですかな、&lt;br /&gt;ノートと万年筆を出してひたとこちらを見つめてる方ばっかりで、&lt;br /&gt;いくら長野県が教育県だからと言ったって、&lt;br /&gt;小説家の話を講演をメモに採られたんじゃもうたまったもんじゃない&lt;br /&gt;と思ったんで、&lt;br /&gt;私がやるのは夏目漱石が和歌山でやったような講演ではないから、&lt;br /&gt;そんなノートやら万年筆をおさめていただきたい、&lt;br /&gt;そうでないと出来ませんからと言って頼んだんですけれども、&lt;br /&gt;いっかな聞くふりもなく、&lt;br /&gt;ただまじまじと勢い凄まじくこちらを見つめてらっしゃるんで、&lt;br /&gt;辟易したことありました。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;その逆が我がふるさとの大阪で、&lt;br /&gt;有沢広巳という経済学の先生と一緒に行ったんですけども、&lt;br /&gt;この先生が先に何か経済の話をしたんです、&lt;br /&gt;すると前列三列やっぱり鉛筆と紙を持ってるやつがいるんですけども、&lt;br /&gt;ちょっと長野県とは風体が違うんです。&lt;br /&gt;それで有沢先生が楽屋裏へ引き返してくると、&lt;br /&gt;その前列三列がみな立ち上がって楽屋裏へなだれ込んで、&lt;br /&gt;「今年下半期と来年上半期の景気はどないなりまんねん！」&lt;br /&gt;とゆう風なことを先生に聞いてる、&lt;br /&gt;先生は、&lt;br /&gt;「そんなことがわかるくらいなら経済学なんか勉強せーへんわい」&lt;br /&gt;と言ってごまかしてるんですけれども、&lt;br /&gt;私が出て行くと前列三列空いたっきりで誰も戻ってこない。&lt;br /&gt;両極端なんですけども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;人間は個性があるから、&lt;br /&gt;個性のあるこうゆうはっきりした国は何かあるんやろう&lt;br /&gt;と思うことにしたんですけども、&lt;br /&gt;はなはだ寂しかったですね。&lt;br /&gt;寂しいのやら強迫観念におされるのやらで、&lt;br /&gt;煮られるやら冷まされるやらという思いであります。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-803025630514920117?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/803025630514920117/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=803025630514920117' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/803025630514920117'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/803025630514920117'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/3.html' title='『地球を歩く』（3）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-4266173343764505974</id><published>2007-07-23T00:35:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T09:59:16.999+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（2）</title><content type='html'>それで私は小説を書くことと、&lt;br /&gt;最近魚を釣ることを職業にしてしまったんで、&lt;br /&gt;小説を書くことと魚を釣ることしか出来ない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;で文学の話をしてもいいんですけれども、&lt;br /&gt;これは毎夜毎夜、&lt;br /&gt;机に向かって夜中に一人で酒と妄想とタバコにふけって、&lt;br /&gt;原稿用紙を重ねてそれを明くる日出版社に渡すだけで精一杯で、&lt;br /&gt;もう思い出すだけでもヘトヘトの思いになるので、&lt;br /&gt;とてもこれはしゃべる気になれない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それから魚釣の方はどうかというと、&lt;br /&gt;これはちょっと経験があるのでしゃべりたいんですけれども、&lt;br /&gt;ロシアに古い諺があって、&lt;br /&gt;「釣りの話をする時は両手を縛っておけ」と、&lt;br /&gt;こうゆう話になるんで、&lt;br /&gt;だからのろけのような話ばっかりになって法螺吹きになる。&lt;br /&gt;小説は、&lt;br /&gt;「嘘を通じて人生の真実を語ることである」と言われてるから、&lt;br /&gt;私は天職として嘘つきである。&lt;br /&gt;第二の職業として法螺吹きである。&lt;br /&gt;嘘のうえに法螺が重なるともうどうしようもないですから、&lt;br /&gt;これは避けなければいけない。&lt;br /&gt;とゆうことになるとだんだん話することがなくなってしまうんですけれども。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-4266173343764505974?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/4266173343764505974/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=4266173343764505974' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4266173343764505974'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4266173343764505974'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/2.html' title='『地球を歩く』（2）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-7610069792392310188</id><published>2007-07-22T23:24:00.001+09:00</published><updated>2007-07-22T23:29:54.070+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『地球を歩く』'/><title type='text'>『地球を歩く』（1）</title><content type='html'>最初にお断りしておきますけれども、&lt;br /&gt;私はあんまり話が上手じゃないと自分で思い込んでるんで、&lt;br /&gt;まぁ我々の間には色んな…&lt;br /&gt;業界用語と言うと怒られそうですけども、&lt;br /&gt;小説家同士にしか通じないような通り言葉がいくつかあるんですけれども、&lt;br /&gt;例えば、&lt;br /&gt;「食べ物と女が書けたら一人前だ」とかね、&lt;br /&gt;それから、&lt;br /&gt;「主人公が一人歩きするようになったらその作品は成功だ」とかあるんですが、&lt;br /&gt;そのうちの一つに、&lt;br /&gt;「話が上手になったら小説が下手になるから、講演はほどほどにしとけ」と&lt;br /&gt;テレビなんか出たらあかんとは誰も言いませんけれども、&lt;br /&gt;そうゆうことになってるんで、&lt;br /&gt;そのため、&lt;br /&gt;文学のためにもですね、&lt;br /&gt;本日は私はわざと下手な講演をしなければならない、&lt;br /&gt;という宿命を負わされていることを光栄に思うんでありますが。&lt;br /&gt;退屈してきたらどうぞご自由に立っていって下さい。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-7610069792392310188?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/7610069792392310188/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=7610069792392310188' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7610069792392310188'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7610069792392310188'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/1.html' title='『地球を歩く』（1）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-5889968798289701590</id><published>2007-07-19T22:27:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T09:59:48.177+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（34）</title><content type='html'>だから清らかな生活が文学を生み出すとは限らないんで、&lt;br /&gt;それで東京へ帰ってきて溝泥のひどい、&lt;br /&gt;そうゆう中で暮らし始めるとやっと字が流れてくるようになってきた。&lt;br /&gt;だから字というのは病の産物なんじゃないかという風な気がする。&lt;br /&gt;かねがねそうは思ってましたけど。&lt;br /&gt;そして病がなければ文学というものも&lt;br /&gt;ひょっとしたら出てこないんじゃないか。&lt;br /&gt;武者小路先生のように人生は楽しくて美しいということを、&lt;br /&gt;十年、二十年平気で淡々とお書きになる、&lt;br /&gt;ああゆうダイアモンドのような人物がたった一人だけ今残ってますけれども、&lt;br /&gt;ああゆう人は大事にしてあげないといけないで、&lt;br /&gt;私は努めて読むようにしてますけども、&lt;br /&gt;アクビしか出ないんで申し訳ないんですけども、&lt;br /&gt;実に羨ましい人なんです。&lt;br /&gt;あの人は病抜きで文学を書いている唯一の人じゃないかと。&lt;br /&gt;何だかの意味で病かキズか&lt;br /&gt;そうゆうものがないことには文学とか文字とかゆうものは生まれてこないんじゃないか、&lt;br /&gt;そこでやっぱりライオンに苦しめぬかれてズタズタになってた&lt;br /&gt;我らの髭だらけの先祖が何とかしてこれを克服しなければ、&lt;br /&gt;というんでそれでライオンという言葉を思いついて彼にあてはめた。&lt;br /&gt;そして意識の空間を埋めて一歩前進した。&lt;br /&gt;そうゆうことをそこでもう一遍再認識するわけです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;えーとぼつぼつ時間が来たようで、&lt;br /&gt;結論が出たのか出ないのか私にはさっぱりわからないんですけれども、&lt;br /&gt;話をしていて結論が出るようだと文学はおしまいだということがあるんで、&lt;br /&gt;このへんで止します。&lt;br /&gt;どうもありがとうございました。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;『経験・言葉・虚構』おわり&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-5889968798289701590?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/5889968798289701590/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=5889968798289701590' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/5889968798289701590'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/5889968798289701590'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/34.html' title='『経験・言葉・虚構』（34）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-724888241934217911</id><published>2007-07-18T00:00:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T10:00:07.184+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（33）</title><content type='html'>三ヶ月間いてて、&lt;br /&gt;ものすごく神経が鋭くなってきて、&lt;br /&gt;ある朝四時頃、&lt;br /&gt;部屋の中に誰かが立ってるとゆうようなショックに襲われて、&lt;br /&gt;心臓がドキドキドキドキしてくるし、&lt;br /&gt;こんなところへ泥棒が来るわけないし、&lt;br /&gt;泥棒がきたって盗っていくものないし、&lt;br /&gt;と私のロゴスとエトスはそう説明するんですけども、&lt;br /&gt;エロスは抜きで、&lt;br /&gt;パトスの方がですね、&lt;br /&gt;誰かがいる、俺を殺そうとしている。&lt;br /&gt;と突飛もないことを考える。&lt;br /&gt;それで全身が凍り付いたみたいになってしまう。&lt;br /&gt;それでよーく目をおし開けるようにして見ていくと、&lt;br /&gt;ズボンがだらしないのが壁にぶら下がっていて、&lt;br /&gt;そこに蝶々が一匹とまっていまして、&lt;br /&gt;羽を開いたり閉じたりしてるんですね。&lt;br /&gt;ただそれだけなんです。&lt;br /&gt;そこまで俺もキレイになったかという感じがした。&lt;br /&gt;でガバッとは跳ね起きないで、&lt;br /&gt;そのまま寝てしまいましたけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それで夜黄昏れにならないと私は机の向かう気力がおこってこないんですが、&lt;br /&gt;黄昏に向かうと字が書けない。&lt;br /&gt;いくら考えても字が書けないし、&lt;br /&gt;書きたいことはたくさんあって、&lt;br /&gt;動いてるということも感じられるんですけども、&lt;br /&gt;一字も出てこない。&lt;br /&gt;それで鳶が魚を取り損ねて、&lt;br /&gt;湖で取り損ねているのをじぃと眺めて、&lt;br /&gt;やっぱりお前にも魚は捕りにくいか、&lt;br /&gt;とゆう風な友情を感じたりするんですが。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-724888241934217911?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/724888241934217911/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=724888241934217911' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/724888241934217911'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/724888241934217911'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/33.html' title='『経験・言葉・虚構』（33）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-8142591144266316485</id><published>2007-07-17T19:39:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T10:00:24.001+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（32）</title><content type='html'>一つだけ経験したことがあってそれを申し上げますとね、&lt;br /&gt;70年に私は小説を書こうと思い立って、&lt;br /&gt;山の中に籠ったことがあって、&lt;br /&gt;新潟の山奥で当時は道路がついてなかったんです。&lt;br /&gt;電灯もきてなかった。&lt;br /&gt;湖のほとりで、&lt;br /&gt;こんな岩魚が、&lt;br /&gt;釣れたらこんな岩魚がいるぐらいの湖なんですが、&lt;br /&gt;そこで籠りましてランプで暮らしてたんですが、&lt;br /&gt;文壇に小説家の数は多いけど、&lt;br /&gt;三ヶ月間ランプで暮らしたのは私ぐらいじゃないかと思ってるんですけども、&lt;br /&gt;そうすると心身頓に壮快を覚えですね、&lt;br /&gt;一切合切空無と化してしまって、&lt;br /&gt;字が書けないんですね。&lt;br /&gt;全然書けない。&lt;br /&gt;それは私がちょうど小説がまだ熟してなかったんだと&lt;br /&gt;後で弁解することにしましたけれども、&lt;br /&gt;あんまり健やかで、&lt;br /&gt;美しくて、&lt;br /&gt;透明でとなってきますと、&lt;br /&gt;何しろこうゆう混濁した水道の水なんか飲まないで、&lt;br /&gt;岩魚の住んでる山の清水を飲んでるわけですが、&lt;br /&gt;水道栓から山椒魚が飛び出してきたりする。&lt;br /&gt;そうゆう山小屋なんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それで山小屋のおっさんとルンペンストーブにあたりながらランプの灯の下で、&lt;br /&gt;焼酎を飲んでですね、&lt;br /&gt;「熊はどうして捕るか」とか、&lt;br /&gt;それから、&lt;br /&gt;「狢と狸はどう違うか」とかですね、&lt;br /&gt;「狸をつかまえるにはどう攻めるか、穴はどう掘ったらいいか」とゆう風な話ばっかりして、&lt;br /&gt;毎日毎日そんな話ばっかりしてちっとも飽きない。&lt;br /&gt;これは私が都会生まれの都会育ちのせいもあるんでしょうけども、&lt;br /&gt;いかに日頃混濁してるかということをそれで思い知らされる。&lt;br /&gt;それで僕は女についての法螺を山小屋の人に話するわけです。&lt;br /&gt;そうすると向こうは原始人で私より偉いから、&lt;br /&gt;私が法螺を吹いてるんだと言うことを知った上で、&lt;br /&gt;アハアハと笑ってくれるわけですね。&lt;br /&gt;それで、白い女も、黄色い女も、黒い女もみな同じだぞ、&lt;br /&gt;だから母ちゃんを大事にしろ。&lt;br /&gt;とゆう風な必ず教訓がつくんですけれども。&lt;br /&gt;母ちゃんが横で聞いてるから、&lt;br /&gt;それ以上の逸脱は好ましくないわけですね。&lt;br /&gt;山の中だし。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-8142591144266316485?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/8142591144266316485/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=8142591144266316485' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8142591144266316485'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8142591144266316485'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/32.html' title='『経験・言葉・虚構』（32）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-3125288680477889781</id><published>2007-07-16T23:24:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T10:06:09.366+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（31）</title><content type='html'>私は30歳になった時から放浪とゆうか、&lt;br /&gt;あっちゃこっちゃ飛び歩くことを始めて、&lt;br /&gt;十年間ほっつき歩いたわけです。&lt;br /&gt;日本国内もほっつきましたけども。&lt;br /&gt;それでルポを随分書いて、&lt;br /&gt;まぁ早くいえば浪費をしていたんですけれど、&lt;br /&gt;十年さまよい歩くとかなりのものがたまってくるんで、&lt;br /&gt;それを今後ぼつぼつ瓶詰めに‥瓶詰めっていうのはおかしいな、&lt;br /&gt;文字にかえる努力をして小説を書いていこうかと思うんですが、&lt;br /&gt;何と言いますか、&lt;br /&gt;小説とゆうものも非常に書きにくいもんだということがわかってきて。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;私はまぁ自分で言うのは変なんですが、&lt;br /&gt;人生をちょっと焦りすぎて早熟で、&lt;br /&gt;18歳の時に所帯を持ちまして、&lt;br /&gt;20歳で子供を作りましてですね、&lt;br /&gt;今41ですけども子供が二十歳で、&lt;br /&gt;45くらいで私はおじいさんになれるんですが、&lt;br /&gt;65くらいになると曾じいさんになる。&lt;br /&gt;今の子も肉体的には早熟ですから、&lt;br /&gt;私の娘が私と同じようなことをやると‥するとですね、&lt;br /&gt;45のおじいさんというのが発生するんですけれども、&lt;br /&gt;「１ダースくらいつくってやろうか」&lt;br /&gt;なんてことを娘に言われるとゾッとするんですけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;私には独身生活というのがなかったんですね。&lt;br /&gt;でその反動がきたんです。&lt;br /&gt;この十年間に。&lt;br /&gt;ものすごい反動、&lt;br /&gt;つぶさには語りませんけれども、&lt;br /&gt;止めても止まらない。&lt;br /&gt;もうしょうがないから反動のままで、&lt;br /&gt;振り子のままで揺れようという決心をしたことがありまして、&lt;br /&gt;揺れるままに揺れてたんですけれども。&lt;br /&gt;家庭で生活出来なくなってしまったんですね。&lt;br /&gt;それで去年も半年ぐらい家を外にして、&lt;br /&gt;あっちの旅館こっちのクラブと泊まり歩いて、&lt;br /&gt;今年もそれなんです。&lt;br /&gt;で独身生活というのはこんなに楽しいもんかというのがやっとわかったんですね。&lt;br /&gt;それで出版社の人がやって来まして、&lt;br /&gt;「第二の青春ですな」なんてなこと言うから、&lt;br /&gt;「冗談じゃないよ俺はこれが第一の青春なんで40になって第一の青春やってるんですよ」&lt;br /&gt;と言うんですが、みんな&lt;br /&gt;「ハッハッハ、御身大切に」なんてなことを言うんですけども。&lt;br /&gt;世間の若者が侘しいような顔をして、&lt;br /&gt;駅前の「キクヤ」とゆう風な食堂で飯を食ってるんですが、&lt;br /&gt;鯵のフライにお新香に冷えたご飯食べてもう本当に辛そうな侘しい顔をしてるんですが、&lt;br /&gt;私一人は生き生きしている。&lt;br /&gt;何でこうゆうことを知らなかったんでろうかとゆうことでですね、&lt;br /&gt;生きていてよかったという感じになってるんですけれども。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-3125288680477889781?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/3125288680477889781/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=3125288680477889781' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/3125288680477889781'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/3125288680477889781'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/31.html' title='『経験・言葉・虚構』（31）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-7563101285875149746</id><published>2007-07-15T21:58:00.000+09:00</published><updated>2007-07-15T21:59:00.544+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（30）</title><content type='html'>だからいささか突飛な皮肉な表現をしますと、&lt;br /&gt;数千年かかって、&lt;br /&gt;二千年か三千年か正確にわかりませんけれども、&lt;br /&gt;ものすごい言葉をつくり、&lt;br /&gt;ものすごい知識を生み出して、&lt;br /&gt;エンサイクロペディア、&lt;br /&gt;ブリタニカこんだけありますけども、&lt;br /&gt;ちゃちなアパートなら床が抜けてしまうぐらいなんで、&lt;br /&gt;それだけのものを全然自由自在にこなすことが出来ないで&lt;br /&gt;苦しんでるわけですけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;だからある意味ではですね、&lt;br /&gt;突飛な言い方ですけども、&lt;br /&gt;世界を征服するのは、&lt;br /&gt;原子爆弾を持っている最も言葉数の少ない国民、&lt;br /&gt;これが世界を征服できるんじゃないかと思うんです。&lt;br /&gt;ただこれには矛盾がある。&lt;br /&gt;原子爆弾、&lt;br /&gt;それは最終武器という意味ですけど、&lt;br /&gt;最終武器は破裂させる、&lt;br /&gt;つかうことが出来ないんですから、&lt;br /&gt;言葉数を少なくすることは政治でいくらでも出来ますけれども、&lt;br /&gt;一国内にそれがとどまって、&lt;br /&gt;世界を征服する国民は今後出てこないんじゃないか、&lt;br /&gt;とゆうふうに私は考えるんですけども。&lt;br /&gt;だから今矛盾したことを言ったわけです。&lt;br /&gt;絶望の文学という言葉が矛盾だと言いましたけれども、&lt;br /&gt;それと同じくらいに矛盾した言葉を今言ったわけです。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-7563101285875149746?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/7563101285875149746/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=7563101285875149746' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7563101285875149746'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7563101285875149746'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/30.html' title='『経験・言葉・虚構』（30）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-7455113364929433030</id><published>2007-07-14T08:36:00.001+09:00</published><updated>2007-07-27T10:06:26.814+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（29）</title><content type='html'>それから徹底的に絵描きはルネッサンス以来人間を裸にして、&lt;br /&gt;女、または女性、または女の人を裸にして描いてきたけれども、&lt;br /&gt;一カ所描いてないところがある。&lt;br /&gt;「日々素晴しく深い恩恵にあずかっていながら、&lt;br /&gt;　女体の一カ所を絶対絵にして描いたことのない部分がある」と私が言うと、&lt;br /&gt;その絵描きは、&lt;br /&gt;「あれだ」と言ってすぐに一言で言い当てましたけれども、&lt;br /&gt;「あれは絵にならんのだ」とこう言うんですね。&lt;br /&gt;皆さんが想像してらっしゃる部分じゃないですよ。&lt;br /&gt;その背景にある部分ですけども。&lt;br /&gt;それを絵にした人はいないんです。&lt;br /&gt;ハンス・ベルメールってゆうのが一人いたということを最近になって発見して、&lt;br /&gt;もうちょっと勉強しなきゃいけないと思わせられましたけども、&lt;br /&gt;これは芸術になってましたね。&lt;br /&gt;長い間あれは見捨てられたままになってたんです。&lt;br /&gt;今後出てくるんじゃないかと私は思うんですけどね。&lt;br /&gt;あれを美しく表現することは出来るはずなんです。&lt;br /&gt;そうゆう話をしてる方がいいんで、&lt;br /&gt;絶対とゆうふうなことを言い出すともうダメなんで、&lt;br /&gt;あるいはダメになってるからそうゆうことを言い出すんだとゆうことになるんで、&lt;br /&gt;これは避けた方がいいわけですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうゆうわけで、&lt;br /&gt;音楽の世界、絵の世界は私の専門外とゆうことにしておいて、&lt;br /&gt;まだ絶対音、絶対色の境地というものはあり得るんじゃないか&lt;br /&gt;という夢想の段階にとどめておきますけれども、&lt;br /&gt;小説、こと小説の世界に関する限り、&lt;br /&gt;絶望の文学というものはあり得ない。&lt;br /&gt;前向きになってるか、&lt;br /&gt;後ろ向きになってるかだけの話で、&lt;br /&gt;人間にくっつこうとしている。&lt;br /&gt;人間から離れたいということばっかり書いている小説がありますけれども、&lt;br /&gt;離れたいという衝動で人間にくっついている。&lt;br /&gt;だから彼は人間主義者なんで悪魔になりえない。&lt;br /&gt;全ての作家はものを書いている限り悪魔じゃないんですね。&lt;br /&gt;なれない。&lt;br /&gt;沈黙し始めたら考えなきゃいけませんけれども。&lt;br /&gt;その沈黙が意識して、&lt;br /&gt;徹底的に俺はもう人間を見捨てるんだ、&lt;br /&gt;と意識してやってる沈黙か、&lt;br /&gt;ただ書けなくなって才能が枯渇しての沈黙なのか、&lt;br /&gt;にわかに判断しにくいところですけれども、&lt;br /&gt;沈黙以上の悪はないんです。&lt;br /&gt;無関心以上の悪はない。&lt;br /&gt;とゆうふうに私は思うんです。&lt;br /&gt;だけど社会生活の面からみていくと、&lt;br /&gt;無関心と沈黙の領域というものは、&lt;br /&gt;二十世紀になってどんどん広がる一方なんですね。&lt;br /&gt;これをどうしていいのか、&lt;br /&gt;言葉が増えるのをどうしておさえていいのか、&lt;br /&gt;と同じくらいに大問題。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-7455113364929433030?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/7455113364929433030/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=7455113364929433030' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7455113364929433030'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7455113364929433030'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/29.html' title='『経験・言葉・虚構』（29）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-8879450090852057448</id><published>2007-07-13T09:16:00.001+09:00</published><updated>2007-07-29T07:38:40.270+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（28）</title><content type='html'>昔子供の時に私は、&lt;br /&gt;自分が言葉であまり苦しめられて振り回されるもんですから、&lt;br /&gt;文字とか言葉とかこうゆうカゲロウのようなものではなくって、&lt;br /&gt;音とか色とかゆう風なものには、&lt;br /&gt;絶対音、絶対色とゆう風なものがあるのではなかろうか、&lt;br /&gt;とゆう風な気がしたことがあったんですね。&lt;br /&gt;で極時たまで、&lt;br /&gt;なかなか説明しにくいし捉えにくいんで、&lt;br /&gt;具体例を挙げることが今出来ないんですけれども、&lt;br /&gt;音楽を聴いていると時々ひどい悪魔を感じる時がある。&lt;br /&gt;チラッと悪魔の顔が見えるんですね。&lt;br /&gt;なにか絶対音と言ってもいいようなもの、&lt;br /&gt;音をつくり出してる場合があるような気がする。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;音とか色とかいう風なものにはひょっとしたら、&lt;br /&gt;意味のグニャグニャした、&lt;br /&gt;どのようにでもかわりうる意味の世界を拒否したところにある純潔な不毛の、&lt;br /&gt;徹底的に絶対的な境地をつくり出すことが出来るんじゃないか、&lt;br /&gt;ということを子供の時に考えたことがあるんですが、&lt;br /&gt;それで絵描きになりたい、&lt;br /&gt;とか音楽家になりたいという風に思ったんですけれども、&lt;br /&gt;その後小説家になってから&lt;br /&gt;色々な音楽家だとか、&lt;br /&gt;色々な画家と接触して色々話をしてみるとですね、&lt;br /&gt;どうも彼らもやっぱり同じようなことを考えているらしくて、&lt;br /&gt;その絶対音、絶対色という風なものはありえない。&lt;br /&gt;あらせようと思って必死になってやるんだけれども、&lt;br /&gt;そうゆうものは生まれえないんじゃないかと、&lt;br /&gt;そうゆうものを求めようとして別種のものをつくり出す、&lt;br /&gt;それが素晴しいものになるということがあるんだけれども、&lt;br /&gt;絶対音、絶対色というものはあり得ない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;やっぱり人間の世界に、&lt;br /&gt;愛してるか絶望しているかは別として、&lt;br /&gt;憎むか愛するかは別として、&lt;br /&gt;人間の世界に戻って行くより他ない活動なんじゃないか、&lt;br /&gt;という意見を述べる人が多いんですね。&lt;br /&gt;名前を挙げませんけども、&lt;br /&gt;かなり有名な大家、&lt;br /&gt;あるいは大家になるべく予想されるような中堅、&lt;br /&gt;そういった人たちがそうゆうことを言うんですね。&lt;br /&gt;それから同じようなことを言う。&lt;br /&gt;「そうゆうことをしゃべり出したり考え出したりするようになると絵が描けなくなる」&lt;br /&gt;と言うんですね。&lt;br /&gt;「絵が今描けないからあなたそうゆうこと私と話してるんじゃないんですか」と言うと、&lt;br /&gt;「その通りだ」と言うんです。&lt;br /&gt;「それじゃあ小説家と同じだ」と言って、&lt;br /&gt;「じゃあもうこんな話はやめよう、女の目の話をしよう」&lt;br /&gt;今言ったのは嘘で、&lt;br /&gt;「女の話をしよう」と言ったんですけども、&lt;br /&gt;酒飲んで女の話をする。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-8879450090852057448?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/8879450090852057448/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=8879450090852057448' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8879450090852057448'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8879450090852057448'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/28.html' title='『経験・言葉・虚構』（28）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-2725787890531158430</id><published>2007-07-12T01:00:00.001+09:00</published><updated>2007-07-27T10:06:45.776+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（27）</title><content type='html'>だからよく「絶望の暗黒文学」とゆう風な広告文句が出ますけれども、&lt;br /&gt;文学には絶望ということはありえない。&lt;br /&gt;ドストエフスキーがどんなに人間の暗黒面を描き出して絶望を書いていても、&lt;br /&gt;セリーヌがどんなにものすごい絶望を書いても、&lt;br /&gt;あるいは三島由紀夫が徹底的に不毛な世界を書いていても、&lt;br /&gt;字でものを書いている限り、&lt;br /&gt;彼はヒューマニストなんですね。&lt;br /&gt;ここでゆうヒューマニストというのは人間主義者という意味で、&lt;br /&gt;人間を愛してるという意味ではないんです。&lt;br /&gt;人間を憎んだって構わない。&lt;br /&gt;憎むということも愛の一種の変形だ&lt;br /&gt;と学校の先生か牧師さんならすぐ言いくるめてしまいますけれども、&lt;br /&gt;そこまで私は図太くないんで、&lt;br /&gt;そうゆうこと出来ませんけれども、&lt;br /&gt;愛そうが、&lt;br /&gt;憎もうが、&lt;br /&gt;絶望しようが、&lt;br /&gt;何しようが、&lt;br /&gt;字を書いている限り、&lt;br /&gt;あるいは字を書こう、&lt;br /&gt;何かを書こうとする衝動がある限り、&lt;br /&gt;彼は人間主義者なんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;日本語のヒューマニストという言葉は誤ってつかわれすぎてるんで、&lt;br /&gt;ヒューマニストというとすぐに、&lt;br /&gt;心の温かい人かということになりますけれども、&lt;br /&gt;これは間違ってる。&lt;br /&gt;心の冷たい人もヒューマニストになりうるわけです。&lt;br /&gt;ヒューマニストという定義によればね。&lt;br /&gt;人間に関心を持っている人、&lt;br /&gt;持たざるをえない人、&lt;br /&gt;これがヒューマニストなんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;この人は不毛の純潔にあこがれることが出来ない。&lt;br /&gt;あこがれてもそれはその人のセンチメンタリズムか夢にすぎない。&lt;br /&gt;ということを悟るべきなんですけども。&lt;br /&gt;とはいっても時々そうゆう流氷のような、&lt;br /&gt;徹底的に素晴しいものを見ると、&lt;br /&gt;体が割かれるような気がするんですけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;ですからいかに絶望が語られていても、&lt;br /&gt;それは字で、&lt;br /&gt;文字で綴られている限り、&lt;br /&gt;意味の世界と人間の世界に住んでいるんであって、&lt;br /&gt;絶望という背を裏返して人間にくっつこうとしている。&lt;br /&gt;そうゆう態度なのであって、&lt;br /&gt;悪魔にはなりえない。&lt;br /&gt;全ての作家は悪魔になれない。&lt;br /&gt;悪魔というのは流氷みたいなのをつくり出す奴のことを悪魔というんですね。&lt;br /&gt;私の定義に従えば。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-2725787890531158430?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/2725787890531158430/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=2725787890531158430' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/2725787890531158430'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/2725787890531158430'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/27.html' title='『経験・言葉・虚構』（27）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-8997339243943101073</id><published>2007-07-11T00:35:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T10:07:01.266+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（26）</title><content type='html'>明くる日になると、&lt;br /&gt;嵐の明くる日なもんですから、&lt;br /&gt;すばらしい透明な朝がやってきまして、&lt;br /&gt;それで海全体が、&lt;br /&gt;メキシコ産のオパールで「白」「青」「金」の輝いているオパールがある。&lt;br /&gt;「赤」「金」の輝いているオパールと、&lt;br /&gt;二種類オパールがありますけれども、&lt;br /&gt;「白」「青」「金」の輝くオパールみたいに、&lt;br /&gt;海面全体がそのオパールのような輝きになってしまうんですね。&lt;br /&gt;なぜそんなになるかといいますと、&lt;br /&gt;流氷原と言うのはでこぼこなんですね。&lt;br /&gt;厚いところもあれば薄いところもある。&lt;br /&gt;で喧嘩した後ですから海は、&lt;br /&gt;流氷はもうギザギザになっている。&lt;br /&gt;それに日光が当たって乱反射してくるもんですから、&lt;br /&gt;すばらしく美しい。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;徹底的に不毛で、&lt;br /&gt;徹底的に純粋なんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それを見ているうちに、&lt;br /&gt;昔自分が求めていたのはこうゆう風なことなんではないかしら&lt;br /&gt;とゆうふうなことを思い出したりして、&lt;br /&gt;危険を覚える。&lt;br /&gt;吸い込まれるような感じになってきて、&lt;br /&gt;こうゆうものをながく見続けていると、&lt;br /&gt;また人間の世界に戻るのにえらい苦しまなきゃいけない。&lt;br /&gt;俺は自殺することが出来ないんだということを子供の頃に悟ったはずだから、&lt;br /&gt;こうゆうものをあんまり見ちゃいけないんだと。&lt;br /&gt;それで汚濁にまみれ苦い恋ばっかりしていてもしょうがない、&lt;br /&gt;人間の世界に戻るより他ないんだと思って戻ってきたんですけれども、&lt;br /&gt;にもかかわらず、&lt;br /&gt;私は人間嫌いの衝動が濃厚にあるんですが、&lt;br /&gt;小説を書いている。&lt;br /&gt;字を書いている。&lt;br /&gt;小説であろうが、&lt;br /&gt;エッセイであろうが、&lt;br /&gt;論文であろうが、&lt;br /&gt;ノンフィクションであろうが、&lt;br /&gt;ルポ、&lt;br /&gt;何でもかまいませんが、&lt;br /&gt;文字を書いているということは、&lt;br /&gt;これは人間の世界に住んでいるということで、&lt;br /&gt;人間に関心があるということなんですね。&lt;br /&gt;関心がなければ、&lt;br /&gt;本当の絶望者というのは何も書かないはずなんです。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-8997339243943101073?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/8997339243943101073/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=8997339243943101073' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8997339243943101073'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8997339243943101073'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/26.html' title='『経験・言葉・虚構』（26）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-2031587883051726993</id><published>2007-07-10T23:59:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T10:07:15.431+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（25）</title><content type='html'>こないだ北海道へ行きまして、&lt;br /&gt;２月の末ですけども、&lt;br /&gt;知床半島へ行って羅臼という町がありますけれども、&lt;br /&gt;流氷を見たくていったんですけども、&lt;br /&gt;北海道は何遍となく行ってるんですが、&lt;br /&gt;流氷を見るのは私初めてなんですが、&lt;br /&gt;これがこの海を埋めてるんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それであそこの流氷は氷原になって、&lt;br /&gt;氷の原になって、&lt;br /&gt;沖の彼方まで広がっていて、&lt;br /&gt;国後島まで歩いて行けるんじゃないかという感じがする。&lt;br /&gt;だけども四畳半一つぐらいの部屋、&lt;br /&gt;あるいはちょっとした掘建て小屋くらいもある大きなのがですね、&lt;br /&gt;一個づつバラバラなんですってねあれは。&lt;br /&gt;それで塊と塊の間に海の水が入ってるんで、&lt;br /&gt;それが潤滑油の役をするんで、&lt;br /&gt;その海水が凍らない限り、&lt;br /&gt;氷の塊はひっつくことがないというんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そのうちに猛吹雪になってきまして、&lt;br /&gt;二日か三日ほどその羅臼の町に閉じ込められて動けなくなったんですが、&lt;br /&gt;海が流氷をのせたままうねるんですね。&lt;br /&gt;そうすると突堤よりも海面が高くなって、&lt;br /&gt;今にもこっちにおしかけてくる。&lt;br /&gt;流氷と流氷が喧嘩を始める。&lt;br /&gt;そうすると下からこう迫り上げられてきてはみ出した流氷はどうなるかというと、&lt;br /&gt;突堤の上へ這い上がってくるんですね。&lt;br /&gt;這い上がってきてそこへドタッと挫折して、&lt;br /&gt;「孤独だ」と叫んで居座ってしまうのもいるし、&lt;br /&gt;「なにを！」といってこっち港へドドドーンっとなだれ込んでくるのもいる。&lt;br /&gt;その流氷の戦争を見ている。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-2031587883051726993?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/2031587883051726993/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=2031587883051726993' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/2031587883051726993'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/2031587883051726993'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/25.html' title='『経験・言葉・虚構』（25）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-7782101633512933082</id><published>2007-07-09T07:27:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T10:07:32.858+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（24）</title><content type='html'>そうゆうわけで、&lt;br /&gt;これは原始人がですねライオンの身振りをして踊りをする、&lt;br /&gt;その時彼は自分に、&lt;br /&gt;ライオンの鋭い牙、逞しい腕、速い脚、強力なジャンプ力、&lt;br /&gt;といったものが身に付いたかのように感じて踊るわけですね。&lt;br /&gt;あれは何のために踊るかとゆう説、&lt;br /&gt;これまた無数にある、&lt;br /&gt;解釈があるんですけど、&lt;br /&gt;そんな踊りをしたところで自分がライオンになったのではない&lt;br /&gt;ということはライオンと毎日暮らしている我らの先祖は&lt;br /&gt;ことごとく知っていたわけです。&lt;br /&gt;知った上であの嘘の踊りをやっているわけです。&lt;br /&gt;そしてそのことに高揚していたわけですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それで今の小説家は嘘がつけなくなっていると言う衰弱した状態に落ち込んで、&lt;br /&gt;これが大変困ったことなんですけれども、&lt;br /&gt;文字を書こうという努力、&lt;br /&gt;あるいは言葉を発明しようとする努力で小説を書いていく、&lt;br /&gt;そして自分の中にある何事かを克服する衝動から書き出す。&lt;br /&gt;小説家だけでなしに&lt;br /&gt;人間がみんな自発的に字を書くとき、&lt;br /&gt;つまり帳簿をつけてるんではなくて、&lt;br /&gt;一人になったときに日記をつけるなり、&lt;br /&gt;あるいは恋文‥恋文は古いなぁ、&lt;br /&gt;ラブレターは品が悪いし、&lt;br /&gt;そうゆう恋の手紙を書くときでも、&lt;br /&gt;あるいはお別れの手紙を書くときでも何でもいいですが、&lt;br /&gt;自発的に何か文章を書いているとき、&lt;br /&gt;そのうしろにあるものは、&lt;br /&gt;今私が説明したようなことではないかしらと思うんです。&lt;br /&gt;つまり文学の始まりなんですね。&lt;br /&gt;それが文学になるかならないかという分かれ道はまた無数にありますけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうゆうわけですから、&lt;br /&gt;言葉というものは人間につながるものなんですね。&lt;br /&gt;文字というものも人間につながるもので、&lt;br /&gt;人間から離れることが出来ない。&lt;br /&gt;私が少年時代に憧れたような純粋さというものは、&lt;br /&gt;人間の世界にはあり得ない純粋さなんで、&lt;br /&gt;これは不毛の純粋さなんですが、&lt;br /&gt;これが不毛だということに気がついたのはずっと後になってからの話で、&lt;br /&gt;近頃でもまだ時々&lt;br /&gt;その不毛の純粋を求める衝動に襲われることがあるんですけれども。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-7782101633512933082?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/7782101633512933082/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=7782101633512933082' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7782101633512933082'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7782101633512933082'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/24.html' title='『経験・言葉・虚構』（24）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-8035327804337561410</id><published>2007-07-08T00:06:00.000+09:00</published><updated>2007-07-29T07:39:03.715+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（23）</title><content type='html'>手垢にまみれた言葉という表現がよくありますけれども、&lt;br /&gt;手垢にまみれた言葉でつかってはいけないんで、&lt;br /&gt;ページを開いたときに、&lt;br /&gt;活字の字母を新しい鋳造機で、&lt;br /&gt;つくったばっかりの活字で組んで、&lt;br /&gt;ページをつくったという感じのするような、&lt;br /&gt;そうゆう明晰な、&lt;br /&gt;澄明な感覚が私は好きなんですけれども、&lt;br /&gt;それには手垢にまみれた言葉というものをつかってはいけない。&lt;br /&gt;それから使い古された言葉もつかってはいけない。&lt;br /&gt;といってしかし、&lt;br /&gt;普遍性のある言葉も選び出さなければならない。&lt;br /&gt;色々苦しんで、&lt;br /&gt;お酒を少し、&lt;br /&gt;水を少し、&lt;br /&gt;お酒を少し、&lt;br /&gt;水を少し、&lt;br /&gt;と毎晩考えるわけですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;お酒を飲み過ぎるといい言葉はどんどんどんどん出てくるけれど、&lt;br /&gt;自分は天才じゃないかと&lt;br /&gt;いまだにこの歳になってもうぬぼれたくなる一瞬があるんですが、&lt;br /&gt;明くる日になって読み返してみると、&lt;br /&gt;バカバカしくなって紙くずかごへ捨ててしまう。&lt;br /&gt;といって真剣の素面でやっていると、&lt;br /&gt;つらいばかりで、&lt;br /&gt;彼女の目だけが漂って私を苦しめるんで、&lt;br /&gt;ものが書けない。&lt;br /&gt;書けなければ書けないでいいんですが、&lt;br /&gt;書きたい衝動があるときに書けないというのはつらい。&lt;br /&gt;それで酒に力をかりる。&lt;br /&gt;かりすぎてはいけない。&lt;br /&gt;それで水を差すわけですね。&lt;br /&gt;生湿りのマッチみたいな状態で小説を書いていくんですけれども、&lt;br /&gt;これは難しいんですよ、&lt;br /&gt;これを持続させなければならないんですが、&lt;br /&gt;なかなかこうゆう幸福な時間は続かないんです。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-8035327804337561410?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/8035327804337561410/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=8035327804337561410' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8035327804337561410'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8035327804337561410'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/23.html' title='『経験・言葉・虚構』（23）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-4252783595413086796</id><published>2007-07-07T03:02:00.000+09:00</published><updated>2007-07-29T07:40:14.221+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（22）</title><content type='html'>そこでまたもう一度私が錯覚、&lt;br /&gt;誤解した優しい女の目に戻りますけれども、&lt;br /&gt;で今ライオンはいないので、&lt;br /&gt;私の身のまわりに女の目だけが漂っている、&lt;br /&gt;それでこの目の呪縛から逃げたい、&lt;br /&gt;夜の湖のようなといいましたけれども、&lt;br /&gt;私がその彼女の目、&lt;br /&gt;暗がりで輝いていた目を、&lt;br /&gt;夜の湖のようなという言葉に置き換えることで満足が出来たならば、&lt;br /&gt;もうそれでいいんですけれども、&lt;br /&gt;いや夜の湖のようだというよりはむしろ、&lt;br /&gt;木陰でうずくまっている猫の眼のようだった、&lt;br /&gt;どうもこれでもないらしい。&lt;br /&gt;というので色々考えていくわけですね。&lt;br /&gt;ここから小説の第一歩が始まる、&lt;br /&gt;というか文章の第一歩がここから始まってくる。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;稗田阿礼っていうのはそうゆう細かいところを考えなくて、&lt;br /&gt;もっとおおらかな時代に生きてましたから、&lt;br /&gt;ぼきぼきと&lt;br /&gt;あっちでこうゆうことがあった、&lt;br /&gt;こっちでこうゆうことがあったとゆうようなことばっかりを&lt;br /&gt;綴っていったんですけれど、&lt;br /&gt;根本的な衝動ではかわってないだろうと思うんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでその女友達の暗がりで輝いていた目を克服するために、&lt;br /&gt;無数の言葉を使うんですが、&lt;br /&gt;このときにおこることは今度は何かというとですね、&lt;br /&gt;逆の現象が起こってくるんですね。&lt;br /&gt;特に現代では。&lt;br /&gt;逆の現象が起こらなければならないんです。&lt;br /&gt;つまり無数の言葉があるのに、&lt;br /&gt;現実がその言葉から全然感じられない時代にきていると、&lt;br /&gt;それで女友達の目を見てすぐに夜の湖、&lt;br /&gt;あるいは木陰の猫の眼、&lt;br /&gt;という言葉を考えだしたけれども、&lt;br /&gt;それでも彼女の目がつきまとってきて離れない。&lt;br /&gt;その混沌に対して秩序を与えなければならない。&lt;br /&gt;というので私は言葉をつくっていくんですが、&lt;br /&gt;そのときは私がつくったのではない、&lt;br /&gt;人類が数千年かかってつくってきた言葉の中から&lt;br /&gt;いくつかを選び出してきて、&lt;br /&gt;自分なりに配置してつくり出すわけですが、&lt;br /&gt;これは今度はどうゆうことかといいますと、&lt;br /&gt;ライオンという言葉を拒んで、&lt;br /&gt;ライオンというものを直視しようとする態度ではないかと、&lt;br /&gt;ライオンやら女やら何やら&lt;br /&gt;だんだんややこしくなってきましたけれども、&lt;br /&gt;聡明な皆さんはすでに本質を掴んでいらっしゃると思うんですけれども。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-4252783595413086796?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/4252783595413086796/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=4252783595413086796' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4252783595413086796'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4252783595413086796'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/22.html' title='『経験・言葉・虚構』（22）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-8945180129883635292</id><published>2007-07-06T22:15:00.001+09:00</published><updated>2007-07-06T22:15:40.570+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（21）</title><content type='html'>それでそれほど苦しんで現実に対応したんですが、&lt;br /&gt;今はそんなに現実に苦しまなくて&lt;br /&gt;次から次へと無数の言葉をつくってきて、&lt;br /&gt;次から次へと発生していく、&lt;br /&gt;あるいは自分が生み出していく現象及び現実に対して&lt;br /&gt;言葉をあてはめていくわけです。&lt;br /&gt;それで今度はどうゆうことになるかというと、&lt;br /&gt;言葉自体が自己展開、&lt;br /&gt;自己増殖を始めて、&lt;br /&gt;現実がないのに、&lt;br /&gt;言葉そのものが現実になってしまうような世界がきてる。&lt;br /&gt;それすらも過飽和になってしまって、&lt;br /&gt;今どうしていいのかわからないという状態があると思うんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでしかし依然としてやっぱり&lt;br /&gt;石器時代に我々を襲った恐怖というか混沌とゆうものは&lt;br /&gt;我々の内部に依然として潜んでいて、&lt;br /&gt;これが人間の影の部分として我々の言動を支配しているんじゃないか&lt;br /&gt;と思われることがしばしばあるわけです。&lt;br /&gt;それが証拠に、&lt;br /&gt;名状に苦しむという言葉がいっぱいありますからね。&lt;br /&gt;名状に苦しむことはいっぱいあるわけです。&lt;br /&gt;それは依然として続いているわけです。&lt;br /&gt;人間の本質はあまりかわっていない。&lt;br /&gt;ただ無数の言葉が出来ちゃって、&lt;br /&gt;その遺産のために背骨が今折れそうになっているというのが&lt;br /&gt;我々の偽らざる所ではないかと、&lt;br /&gt;特に都会ではそうじゃないかという気がするんです。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-8945180129883635292?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/8945180129883635292/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=8945180129883635292' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8945180129883635292'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8945180129883635292'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/21.html' title='『経験・言葉・虚構』（21）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-7686719005967230086</id><published>2007-07-05T21:23:00.001+09:00</published><updated>2007-07-27T09:57:31.953+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（20）</title><content type='html'>それで人類は意識の内と外にある&lt;br /&gt;自分の心と体の内と外にある世界を克服すると称して、&lt;br /&gt;そうしなければ生きてこれなかったから、&lt;br /&gt;それで無数の言葉を編み出してきたわけですね。&lt;br /&gt;それで現実を覆ってきたわけです。&lt;br /&gt;それで克服し、&lt;br /&gt;今度は克服しすぎて、&lt;br /&gt;現代にいたっては言葉の数が多くなりすぎて、&lt;br /&gt;その数の大きさ、広さ、重さ、複雑さのために、&lt;br /&gt;人類はかえってよろめいてですね、&lt;br /&gt;本体を掴むことが今出来なくなってきている。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;つまり石器時代にはライオンという言葉がなくて、&lt;br /&gt;我々の髭もじゃの先祖が苦しみ抜いたんですけれども、&lt;br /&gt;そして最初に誰がこのライオンという言葉を発明したのかわかりませんが、&lt;br /&gt;ものすごい男だったと思うんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それからライオンは一例のすぎませんけれども、&lt;br /&gt;もっと恐ろしいこと、&lt;br /&gt;強大な、強烈なことを発明した男は、&lt;br /&gt;「夜」という言葉と、&lt;br /&gt;「ひ」？という言葉を発明した男ね、&lt;br /&gt;これが人類の最大の脅威だったと思うんですけど、&lt;br /&gt;少なくとも夜の一部分、&lt;br /&gt;あるいは夜の本質の一部分を、&lt;br /&gt;夜という言葉をつくることで我々の中へ獲得してしまった。&lt;br /&gt;それで夜に立ち向かう力を与えてくれた。&lt;br /&gt;その力が幻覚であったか、&lt;br /&gt;リアリズムであったかということは、&lt;br /&gt;今はもう議論できない。&lt;br /&gt;いずれにしてもそうゆうことをした。&lt;br /&gt;だから「夜」という言葉と「ひ」？という言葉を発明した男は、&lt;br /&gt;たいへんな男だったと思うんです。&lt;br /&gt;おそらく一人ではなくて、&lt;br /&gt;何千年とかかって苦しみ抜いてつくったんだろうと思うんです。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-7686719005967230086?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/7686719005967230086/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=7686719005967230086' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7686719005967230086'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7686719005967230086'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/20.html' title='『経験・言葉・虚構』（20）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-2401539277743717643</id><published>2007-07-04T00:27:00.000+09:00</published><updated>2007-10-08T02:02:53.738+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（19）</title><content type='html'>そうするとこれを克服するために何故文字を選ぶか、&lt;br /&gt;ということが問題になってくる。&lt;br /&gt;今までのが例え話で、&lt;br /&gt;これからが現理論になるわけですけども、&lt;br /&gt;色んな解釈のしかたがあるんですけれども、&lt;br /&gt;そしてどの解釈も先に申し上げたように&lt;br /&gt;少しづつ真実であるが、&lt;br /&gt;その全部を合わせても、&lt;br /&gt;言語とゆうものの衝動を解説することはできないんですが、&lt;br /&gt;私がよく考えるのは、&lt;br /&gt;好きな考え方というのは、&lt;br /&gt;こうゆう考え方なんで‥&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;例えば言語とか文字とかゆうものが出来なかった、&lt;br /&gt;出来ていなかった昔、時代があって、&lt;br /&gt;その時ライオンという文字は出来ていなかったし、&lt;br /&gt;ライオンという言葉も出来ていなかったわけですね。&lt;br /&gt;するとライオンとは何かといいますと、&lt;br /&gt;強いて解説すると、&lt;br /&gt;強力な脚をもち、&lt;br /&gt;鋭い爪をもち、&lt;br /&gt;ものすごい牙をもっている、&lt;br /&gt;混沌とした恐怖のかたまり。&lt;br /&gt;速くて、痛くて、鋭い、恐ろしい混沌のかたまりなんですね。&lt;br /&gt;ライオンじゃなかったわけです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;ところが一度これにライオンという言葉をつくって&lt;br /&gt;あてはめてしまいますと、&lt;br /&gt;ライオンはどうなるかというと、&lt;br /&gt;人間の意識の中でかわってしまう。&lt;br /&gt;やっぱり依然として、&lt;br /&gt;鋭くて、速くて、恐ろしい牙をもっているけれども、&lt;br /&gt;ただの四つ足の獣にかわってしまうわけですね。&lt;br /&gt;ここで克服できたわけです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;これが文学の始まりなんです。&lt;br /&gt;と私は考えるんですけども、&lt;br /&gt;そうゆう考え方の方が私は好きなんですね。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-2401539277743717643?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/2401539277743717643/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=2401539277743717643' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/2401539277743717643'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/2401539277743717643'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/19.html' title='『経験・言葉・虚構』（19）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-7108861206472765803</id><published>2007-07-03T03:00:00.000+09:00</published><updated>2007-07-29T07:43:14.984+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（18）</title><content type='html'>それで日が過ぎていくんですけれども、&lt;br /&gt;そうするとその時‥&lt;br /&gt;これ全部例えの話ですよ、&lt;br /&gt;色んなコンペンセイションというか、&lt;br /&gt;補償作用をやって弁解したり、&lt;br /&gt;恭順したり、&lt;br /&gt;「なんだあんなつまらない女」と時にはいってみたり、&lt;br /&gt;「いやそうでもない」と思い返してみたり、&lt;br /&gt;とゆうふうなことをやりますけれども、&lt;br /&gt;これは後から出てくるもので、&lt;br /&gt;最初につきまとって離れない、&lt;br /&gt;それから私の薄暗い意識の中で&lt;br /&gt;浮き沈み、&lt;br /&gt;明滅するのは、&lt;br /&gt;ロウソクの光の中で夜の湖のように輝いていた、&lt;br /&gt;その女友達の目であると。&lt;br /&gt;その目がつきまとって離れない。&lt;br /&gt;つきまとって離れないものは私にはいっぱいありますけれども、&lt;br /&gt;例えばそうゆう目がある。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうするとこの目をなんとかして克服しなければいけない&lt;br /&gt;ということになってきて、&lt;br /&gt;もちろん色々今さっきいたような&lt;br /&gt;弁解、強弁、&lt;br /&gt;あるいは次の戦術戦略、&lt;br /&gt;色んなことを考えますけれども、&lt;br /&gt;あるいは心理分析ということも考えるんですけども。&lt;br /&gt;最初にくるのはイメージなんですね。&lt;br /&gt;このイメージが意味するものは言葉にかえられない、&lt;br /&gt;それを必死になって言葉にかえようとする。&lt;br /&gt;言葉または文字にかえようとする。&lt;br /&gt;なぜか？&lt;br /&gt;その呪縛から、&lt;br /&gt;束縛から逃げたいからなんで、&lt;br /&gt;それはたとえば彼女が私を見ていたとしても、&lt;br /&gt;もしその目が夜の湖のように輝いていて、&lt;br /&gt;私につきまとって離れていなかったらですね、&lt;br /&gt;私は恋を得たうえに、&lt;br /&gt;またその宝石のような目まで得たんですから、&lt;br /&gt;果報者とゆうことになるんですけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そのときでもやっぱりその目は&lt;br /&gt;私につきまとって離れないんじゃないかと思うんですけどね。&lt;br /&gt;いずれにしても私は敏感なんですから。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-7108861206472765803?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/7108861206472765803/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=7108861206472765803' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7108861206472765803'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7108861206472765803'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/18.html' title='『経験・言葉・虚構』（18）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-9160122231699922832</id><published>2007-07-02T11:21:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T09:56:42.074+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（17）</title><content type='html'>それで私は非常に苦いキズをうける、&lt;br /&gt;キズをうけると人間はそれを克服しなければならないんで、&lt;br /&gt;勝手な理屈を色々考えだすんです。&lt;br /&gt;しかしどおしても私の勘に過ちはないと私は思う、&lt;br /&gt;ここが出発点で、&lt;br /&gt;彼女は私を見ていなかった、&lt;br /&gt;関心が私になかった。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;恋というものは最初の一瞥で&lt;br /&gt;大体のところの本質は決まるような気がするんで、&lt;br /&gt;何度もそれ以前に食事をしていて&lt;br /&gt;わかっていなければいけないのに、&lt;br /&gt;未練があって、&lt;br /&gt;あるいはこちらに過剰なものがあったために、&lt;br /&gt;最初の知性的な認識を踏み外してしまって、&lt;br /&gt;どうも私のうぬぼれか間違っていたと。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それから彼女は私を見ていなかったけれど、&lt;br /&gt;そうするとあれはいったい何を見ていたんだろうとか、&lt;br /&gt;しかし恋は押しの一手ということあるから、&lt;br /&gt;知らぬふりしてもう一度再三攻撃やるか、&lt;br /&gt;203高地という例もある、&lt;br /&gt;などと考えたりもするし、&lt;br /&gt;いや年甲斐もないとささやく声にも耳を傾けたり、&lt;br /&gt;とつおいつ迷う。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-9160122231699922832?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/9160122231699922832/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=9160122231699922832' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/9160122231699922832'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/9160122231699922832'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/17.html' title='『経験・言葉・虚構』（17）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-7182252451867685296</id><published>2007-07-01T18:10:00.000+09:00</published><updated>2007-07-29T07:41:57.413+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（16）</title><content type='html'>例えば、&lt;br /&gt;という話をすると、&lt;br /&gt;去年までは私はすぐに、&lt;br /&gt;インドシナの田んぼで倒れている&lt;br /&gt;殺された農民の目の上にハエが這っていまして‥&lt;br /&gt;という話をすぐ引っ張ってきていたんですけども、&lt;br /&gt;もう戦争の話はつくづく嫌になったので、&lt;br /&gt;今日はそうゆう例えをもってこないで、&lt;br /&gt;もっとやさしいとこから引用したいと思うんですけど。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;経験というのにも色々ありますけれども、&lt;br /&gt;例えば私がある女友達と、&lt;br /&gt;例えばの話ですよ、&lt;br /&gt;レストランへ行ったとします。&lt;br /&gt;それでロウソクの、&lt;br /&gt;キャンドルライトで食事をしたとしますね。&lt;br /&gt;キャンドルライトでなくても、&lt;br /&gt;キャンドルライトに等しいような薄暗い中で食事をしたとする。&lt;br /&gt;薄暗い中で光っている、&lt;br /&gt;こちらが大いに関心を寄せている女性の目というのは、&lt;br /&gt;これ以上の宝石はないと私は思っているんですけども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでその目ばっかり見つめて&lt;br /&gt;私は食事をし、&lt;br /&gt;お酒を飲み、&lt;br /&gt;楽しんで、&lt;br /&gt;いい気持ちになって、&lt;br /&gt;外へ出て別れる。&lt;br /&gt;別れてから一町ほど行ってから、&lt;br /&gt;愕然とあることに気がつく。&lt;br /&gt;つまり私はその女性の、&lt;br /&gt;女友達の目ばっかり見てたんでけれども、&lt;br /&gt;よくよく考えてみると、&lt;br /&gt;その女友達の目は、&lt;br /&gt;私と女友達の間にある中間のどこか一点か、&lt;br /&gt;もしくは私の後ろ辺りを見ていたんであって、&lt;br /&gt;私を見ていたんではなかった。&lt;br /&gt;ということに気がつく。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;例えば、ですよ。&lt;br /&gt;こうゆうのをフランス語で、&lt;br /&gt;アムール アメール（Amour Amer）苦い恋というんですけど。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-7182252451867685296?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/7182252451867685296/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=7182252451867685296' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7182252451867685296'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7182252451867685296'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/07/16.html' title='『経験・言葉・虚構』（16）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-4197792044075985970</id><published>2007-06-30T15:25:00.000+09:00</published><updated>2007-07-29T07:43:39.415+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（15）</title><content type='html'>ヨーロッパでブルトンなんかがシュールレアリスム運動をやったときに、&lt;br /&gt;色んな突飛なアイディアを結びつけて、&lt;br /&gt;閃光と言うか、&lt;br /&gt;花火と言うか、&lt;br /&gt;そのようなイメージがひらく、&lt;br /&gt;そうゆう詩の運動を始めたことがありましたけど、&lt;br /&gt;どんなシュールレアリスムの詩を持ってきても、&lt;br /&gt;これを凌ぐことはできないんじゃないか&lt;br /&gt;とゆうふうな気がするんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;こうゆうものをつくり出したものは&lt;br /&gt;どうゆうことなんだろうかと思って、&lt;br /&gt;未だに考えてるんですけども、&lt;br /&gt;謎のまま漂っていてわからない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;そうゆうこともあるんだということだけ申し上げておいて‥&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;普通小説を書きにかかるときによくいわれるのは&lt;br /&gt;視覚型か、&lt;br /&gt;聴覚型か、&lt;br /&gt;つまり目で見るタイプの小説家か、&lt;br /&gt;音で聴くタイプの小説家か、&lt;br /&gt;そうゆう分け方、&lt;br /&gt;分類法があるんですけど、&lt;br /&gt;それに匂い、&lt;br /&gt;香りということも大事だろうと思うんですが、&lt;br /&gt;プルーストのような小説家は香りが非常に重要な役を果たしていますけれども。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-4197792044075985970?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/4197792044075985970/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=4197792044075985970' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4197792044075985970'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4197792044075985970'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/06/15.html' title='『経験・言葉・虚構』（15）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-320938149214262463</id><published>2007-06-30T00:01:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T09:55:45.374+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（14）</title><content type='html'>文学が理想とするところは色々あって、&lt;br /&gt;単純さを理想とする、&lt;br /&gt;複雑さを理想とする、&lt;br /&gt;繊細さを理想とする、&lt;br /&gt;剛健さを理想とする、&lt;br /&gt;色々ありますけれども、&lt;br /&gt;おそらく百人の作家がいれば&lt;br /&gt;百の理想があるんだろうと思いますけれども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;もしこの民話をその島の子供が、&lt;br /&gt;子供の時から聞かされて育って、&lt;br /&gt;そうゆう物の考え方、&lt;br /&gt;感じ方というのが、&lt;br /&gt;私には到底掴みようもないんですけど、&lt;br /&gt;それが身についていて、&lt;br /&gt;その民話を、&lt;br /&gt;「太郎ちゃんいい子だからお話聞かせてあげるからねんねするのよ、&lt;br /&gt;　家帰って戸を開けたらこれくらいの虫がいました」&lt;br /&gt;せいぜいついている注釈で、&lt;br /&gt;こんなんでもない、&lt;br /&gt;こんなんでもない、&lt;br /&gt;このくらいだった。&lt;br /&gt;と言ったというんですけどね、&lt;br /&gt;おじいさんが。&lt;br /&gt;これは本望に対する注くらいのところで&lt;br /&gt;あまり意味がない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それを喜び楽しみ、&lt;br /&gt;それで心が満たされるというんなら、&lt;br /&gt;それでいいんであって、&lt;br /&gt;これはおそらく文学の理想ではあるまいか、&lt;br /&gt;という風に私は考えるんです。&lt;br /&gt;到底私にはそうゆうことは考えようにも考えつきようがない。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-320938149214262463?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/320938149214262463/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=320938149214262463' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/320938149214262463'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/320938149214262463'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/06/14.html' title='『経験・言葉・虚構』（14）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-8402547693122981182</id><published>2007-06-29T00:39:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T09:55:15.000+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（13）</title><content type='html'>だけど、&lt;br /&gt;【 家帰って戸を開けたらこれくらいの虫がいました 】&lt;br /&gt;とゆうのはこれは何だ、&lt;br /&gt;と僕はいうんですけどね、&lt;br /&gt;空間衝動ではない、&lt;br /&gt;時間衝動ですらない。&lt;br /&gt;未だに僕はこれがわからないんで、&lt;br /&gt;謎のように漂っている。&lt;br /&gt;スフィンクスがその下を通る軍隊‥&lt;br /&gt;じゃない人間に謎を投げかけて困らせた、&lt;br /&gt;という話がありますけども、&lt;br /&gt;そのスフィンクスの謎の一つの&lt;br /&gt;筆頭はこれじゃないかと思いたくなるくらいなんで。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;どうすればこうゆう物の感じ方、&lt;br /&gt;考え方というものが出てくるのか、&lt;br /&gt;柳田邦男さんが生きてらっしゃったら、&lt;br /&gt;早速とんでいって尋ねたいところなんですけれども、&lt;br /&gt;それでそのプリンストン及びハーバード兼東大に、&lt;br /&gt;「これはいったいどうゆうこと？」&lt;br /&gt;と聞くんだけど、&lt;br /&gt;彼らは呆然としたまま、&lt;br /&gt;「どうゆうことかわからない、とにかくそうゆうことだ」&lt;br /&gt;と言うんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;もし世界民話コンクールというものをやったならば、&lt;br /&gt;ちょうど真ん中へんくらいまできて、&lt;br /&gt;審査員がたるんだ頃にこれをポッと出せば、&lt;br /&gt;一発で一等になれるんじゃないか&lt;br /&gt;とゆうふうに私は思うんですね。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-8402547693122981182?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/8402547693122981182/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=8402547693122981182' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8402547693122981182'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/8402547693122981182'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/06/13.html' title='『経験・言葉・虚構』（13）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-4058911340575943044</id><published>2007-06-28T00:13:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T09:54:59.692+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（12）</title><content type='html'>それでプリンストンとハーバードと東大はひっくり返ってしまってですね、&lt;br /&gt;人類数千年間の言語活動が一挙にひっくり返されたような思いになって、&lt;br /&gt;呆然として奄美大島に帰ってきて、&lt;br /&gt;そこでまたお酒飲んで呆然としている私とあって、&lt;br /&gt;それでこうゆう話を聞いて、&lt;br /&gt;僕も実は近年ああゆうショックを受けたことがないんですけども、&lt;br /&gt;ひどいショックを受けて、&lt;br /&gt;それからその話が忘れられない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;大体どの民族、&lt;br /&gt;古今東西どの民族の民話を読んでもですね、&lt;br /&gt;浦島さんにしてもカチカチ山にしても、&lt;br /&gt;あるいはジャックと豆の木にしたって、&lt;br /&gt;家庭があったり、&lt;br /&gt;少年がいたり、&lt;br /&gt;悪魔が出てきたり、&lt;br /&gt;善と悪がたたかったり、&lt;br /&gt;とかこうゆうことがあって、&lt;br /&gt;現世の現実を、&lt;br /&gt;いくらかバリエーションを、&lt;br /&gt;あるいはおおいにバリエーションをつけて、&lt;br /&gt;それを語る。&lt;br /&gt;とゆうことで意識の空間を埋めていく。&lt;br /&gt;で別の空間を創りだす。&lt;br /&gt;こうゆうのが民話の根本的な衝動だろうと思うんですけど。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-4058911340575943044?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/4058911340575943044/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=4058911340575943044' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4058911340575943044'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4058911340575943044'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/06/12.html' title='『経験・言葉・虚構』（12）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-9006570297289693620</id><published>2007-06-27T00:03:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T09:54:44.129+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（11）</title><content type='html'>私の友人は十何人か何十人か位の人口しかないその島で、&lt;br /&gt;おじいさんにその島に伝わる昔からの民話を色々聞いてたんですね。&lt;br /&gt;でテープレコーダーに録ったりなんかして、&lt;br /&gt;言語学者ですから色々別の種類の研究、分析をやってたんだと思うんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでもう最後だと思って&lt;br /&gt;今日これでお別れするというんで海岸で別れて、&lt;br /&gt;するとそのおじいさんが別れていったんですが、&lt;br /&gt;汗ダクダクになって帰ってきてですね、&lt;br /&gt;「家帰って戸を開けたらこれくらいの長い虫がいました」&lt;br /&gt;というんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;でその言語学者夫婦は、&lt;br /&gt;つまり今おじいさんが家へ帰って戸を開けたら、&lt;br /&gt;南方には木の倒れたあとヤスデという長いムカデの親玉みたいな虫がいますけども、&lt;br /&gt;それが水屋かどっかに入り込んでいたのを、&lt;br /&gt;それを知らせにきたんじゃないかと思って、&lt;br /&gt;「あ、そう」と言ったら、&lt;br /&gt;よくよく聞いてみると違うんですね。&lt;br /&gt;それが民話なんです。&lt;br /&gt;それだけきりの民話なんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;【 家帰って戸を開けたらこれくらいの虫がいました 】&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;たったそれだけきりなんです。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-9006570297289693620?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/9006570297289693620/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=9006570297289693620' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/9006570297289693620'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/9006570297289693620'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/06/11.html' title='『経験・言葉・虚構』（11）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-3066065734851173159</id><published>2007-06-26T00:29:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T09:54:27.992+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（10）</title><content type='html'>そうゆう島は珊瑚礁で白くて、&lt;br /&gt;ガジュマルの木が生えていて、&lt;br /&gt;数千年前と同じ波の音、&lt;br /&gt;同じ色で、&lt;br /&gt;スモッグもなければ、&lt;br /&gt;煙突もなければ、&lt;br /&gt;人家もない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;ところがそうゆう珊瑚礁にたった一軒、&lt;br /&gt;ブリキで小屋が建ってるんですね、&lt;br /&gt;そして「サロンパリ」などとかいてある。&lt;br /&gt;まぁここが我が国の我が国たる所以なんですけども。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;この南海の「サロンパリ」へ入っていくと&lt;br /&gt;どうゆうことになるかというと、&lt;br /&gt;シャコ貝というシェルの石油のマークになっている貝がありますけれども、&lt;br /&gt;ああゆう貝を肉をとった後、&lt;br /&gt;洗って、&lt;br /&gt;さらして、&lt;br /&gt;これを杯のかわりにする。&lt;br /&gt;黒砂糖からとった焼酎をダブダブダブダブダブ‥と注ぐんですね。&lt;br /&gt;これは底がついてないから、&lt;br /&gt;グゥ〜と安宅の関の弁慶みたいに&lt;br /&gt;全部飲み干してしまわないことには置くことができない。&lt;br /&gt;置くとコロンと転がってしまう。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでそうゆう焼酎をそのまま出されるまま飲んで、&lt;br /&gt;ばたんきゅうといって客が倒れると、&lt;br /&gt;「これはいい客だ」&lt;br /&gt;といってほめてもらえる。&lt;br /&gt;大体奄美大島でそうゆう習慣ですけども、&lt;br /&gt;そうゆう島になると特にそれが濃厚激烈なんです。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-3066065734851173159?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/3066065734851173159/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=3066065734851173159' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/3066065734851173159'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/3066065734851173159'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/06/10.html' title='『経験・言葉・虚構』（10）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-7098143895790526122</id><published>2007-06-26T00:04:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T09:54:10.930+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（9）</title><content type='html'>そうゆう島はどうなってるかといいますと、&lt;br /&gt;行ったことがおありになる方はご存知でしょうけども、&lt;br /&gt;珊瑚礁でできていて、&lt;br /&gt;沖の遠くまで珊瑚がはっているから港が造れないんで、&lt;br /&gt;奄美大島なんかから船が来ると、&lt;br /&gt;カヌーみたいなのを漕ぎ出してきて、&lt;br /&gt;沖で客が大きな船から小さな船へ移る、&lt;br /&gt;そのときに波がこう揺れるんで、&lt;br /&gt;大きな船と小さな船が同じ水準になったときに、&lt;br /&gt;ピョイと飛び移る。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;あそこらへんは歓迎の言葉でもなんでも&lt;br /&gt;「ヤイ」というんですけども、&lt;br /&gt;「ヤイヤイヤイヤイ」と夜中闇の中で声が掛かるんで、&lt;br /&gt;どやされたのかと思うんですがこれは歓迎の言葉であって、&lt;br /&gt;歓迎の言葉は島が一つ違うと、&lt;br /&gt;あのへんでは全部違うんです。&lt;br /&gt;喜界島とか永良部島では「ヤイ」かもしれないけども、&lt;br /&gt;奄美大島では「アゲー」というんですね。&lt;br /&gt;皇太子が来ると、&lt;br /&gt;ここに新聞がありますが、&lt;br /&gt;「全島こぞってアゲーの声上がる」&lt;br /&gt;と書いてあるんですけれどもね。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-7098143895790526122?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/7098143895790526122/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=7098143895790526122' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7098143895790526122'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/7098143895790526122'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/06/9.html' title='『経験・言葉・虚構』（9）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-4935879181153886908</id><published>2007-06-25T06:18:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T09:53:54.671+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（8）</title><content type='html'>今日話することも、&lt;br /&gt;今私は小説が終わった後で、&lt;br /&gt;次の小説にかかる前でブランクの段階にあるわけで、&lt;br /&gt;こうゆうことをしゃべるのかもしれないですけれども、&lt;br /&gt;言葉とか虚構とかいうことを考える度に一つのことを思い出すんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;どうゆうことかといいますとね、&lt;br /&gt;私は奄美大島へ行ったことがあるんです、&lt;br /&gt;何度も行ってるんですけども、&lt;br /&gt;あの近くには島がいくつもある、&lt;br /&gt;徳之島とか永良部島とかいくつもあるんですけども、&lt;br /&gt;その喜界島だったか沖永良部島だったか、&lt;br /&gt;そこへ私の友達の言語学者が住み着きまして、&lt;br /&gt;テープレコーダーを持って民話を採集にいったんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;その奥さんというのがアメリカ人で、&lt;br /&gt;プリンストン大学を出てて、&lt;br /&gt;背は低いけれども、&lt;br /&gt;日本語は私より達者なんですが、&lt;br /&gt;この二人組がその島に乗り込んだわけですね。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-4935879181153886908?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/4935879181153886908/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=4935879181153886908' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4935879181153886908'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4935879181153886908'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/06/blog-post_25.html' title='『経験・言葉・虚構』（8）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-1872478321515453495</id><published>2007-06-24T09:02:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T09:53:33.515+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（7）</title><content type='html'>普通恋をしているときには恋愛とは何ぞや&lt;br /&gt;と考える人はいないでしょうけれども、&lt;br /&gt;小説家も小説を書いてる最中とか、&lt;br /&gt;書きたいという欲求がおこってきたときには、&lt;br /&gt;文学とは何ぞやということは考えないんで、&lt;br /&gt;小説家の書く文学論というのは、&lt;br /&gt;政党の公約みたいなところがあり、&lt;br /&gt;どうゆうものか約束したことと必ず反対のことをやっちまうとか。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;例えば、&lt;br /&gt;サルトルに文学とは何ぞやと文学論がありますけれども、&lt;br /&gt;これを彼の「自由への道」という小説と比べてみると、&lt;br /&gt;全然チグハグになっている。&lt;br /&gt;矛盾している。&lt;br /&gt;そうゆう箇所がいっぱいある。&lt;br /&gt;それを咎めてもいけないような気がするんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それで自分の中でモチーフが動いていない、&lt;br /&gt;小説を書いていない、&lt;br /&gt;あるいは書けない、&lt;br /&gt;自分が生きた心地がしていないときに、&lt;br /&gt;やっぱり文学とは何ぞやというふうな疑いに取り憑かれて、&lt;br /&gt;書いているのかもしれないんです。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-1872478321515453495?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/1872478321515453495/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=1872478321515453495' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/1872478321515453495'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/1872478321515453495'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/06/7.html' title='『経験・言葉・虚構』（7）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-3066697333695715225</id><published>2007-06-23T17:36:00.000+09:00</published><updated>2007-06-25T10:01:14.813+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（6）</title><content type='html'>それから文字というものを夜更けになってじっと眺めていますと、&lt;br /&gt;一切合切が解体していってしまって、&lt;br /&gt;「木」というものを表現するのになぜこの字をつかわなければならないのか、&lt;br /&gt;それがわからなくなってくるんですね。&lt;br /&gt;バラバラになってしまう。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;おそらくこの中にもそうゆう経験をしてらっしゃる方が多いんじゃないか&lt;br /&gt;と思うんですけれども、&lt;br /&gt;そのために世の中の一番究極的な約束事を疑ってかかるわけですから、&lt;br /&gt;それから先へは一歩も進めなくなってしまう。&lt;br /&gt;そうゆうことに苦しめられたことがあります。&lt;br /&gt;かなり長い間苦しめられたんです。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-3066697333695715225?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/3066697333695715225/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=3066697333695715225' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/3066697333695715225'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/3066697333695715225'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/06/blog-post_2514.html' title='『経験・言葉・虚構』（6）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-3350075665741850695</id><published>2007-06-22T22:09:00.000+09:00</published><updated>2007-06-25T10:01:32.220+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（5）</title><content type='html'>自分が音楽家の才能もないし、&lt;br /&gt;画家になる才能もないということだけぐらいはわかってたんですけれども、&lt;br /&gt;言葉の中にそうゆうものを求めようとして&lt;br /&gt;非常に苦しんだ記憶がある。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;「人間一日に一度は自殺を考えないやつは馬鹿である」&lt;br /&gt;というイギリス人の諺があるんですけれども、&lt;br /&gt;馬鹿には違いないけど、&lt;br /&gt;毎日自殺ばかり考えてたんですが、&lt;br /&gt;自殺を考えた動機には様々な動機があるんですけれども、&lt;br /&gt;どうしても言葉というものがつかまえられないし、&lt;br /&gt;純粋というものも手に入らない。&lt;br /&gt;それで七転八倒したことがある。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-3350075665741850695?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/3350075665741850695/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=3350075665741850695' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/3350075665741850695'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/3350075665741850695'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/06/blog-post_9867.html' title='『経験・言葉・虚構』（5）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-6552246722055337839</id><published>2007-06-21T10:29:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T09:53:13.200+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（4）</title><content type='html'>私は子供のときに、&lt;br /&gt;１４、５歳の頃ですけれども、&lt;br /&gt;戦争が終わって、&lt;br /&gt;野坂昭如が焼け跡、闇市と叫びまくっているあの時代のことなんですが、&lt;br /&gt;食うに困って色んなことをして暮らしてたんですけれども、&lt;br /&gt;めったやたらに本ばっかり読んでいたんです。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;パンを焼きながら本を読んで、&lt;br /&gt;リンカーンのまねごとのような生活をしたんですけれども、&lt;br /&gt;リンカーンほど意志が強くなかったから、&lt;br /&gt;パン食ってオーブンにあたるとあたたかくなって、&lt;br /&gt;寝てばっかりだったんですけれども、&lt;br /&gt;そのときも&lt;br /&gt;自分が神経がそよいで、&lt;br /&gt;朝白と考えたことを一時間後には黒と考えてるし、&lt;br /&gt;それからやたらに本を読むんですが、&lt;br /&gt;どれもこれもみんな名作傑作で、&lt;br /&gt;打撃を受けるばかりでどうしようもない。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それから自分がかわりやすくて捉えることができないんですが、&lt;br /&gt;カゲロウみたいなものなんですけれども、&lt;br /&gt;同時に一切の事物がカゲロウみたいに感じられてきて、&lt;br /&gt;絶対にさびない、&lt;br /&gt;指紋がつかない、&lt;br /&gt;純粋で輝いている、&lt;br /&gt;そして動かない、&lt;br /&gt;そうゆう絶対というふうなものはないんだろうか、&lt;br /&gt;という欲求に取り憑かれたことがあるんですね。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-6552246722055337839?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/6552246722055337839/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=6552246722055337839' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/6552246722055337839'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/6552246722055337839'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/06/blog-post_5526.html' title='『経験・言葉・虚構』（4）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-4284285956914326347</id><published>2007-06-20T16:15:00.000+09:00</published><updated>2007-06-25T10:02:09.267+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（3）</title><content type='html'>最近おそらく平和が続いているせいではないかと思うことにしているんですけれども、&lt;br /&gt;言語論というのが旺盛活発に、&lt;br /&gt;特にヨーロッパとアメリカで行われていて、&lt;br /&gt;言語とな何ぞや、&lt;br /&gt;ということが研究がされているんですけども、&lt;br /&gt;これが実によくわからないんですね。&lt;br /&gt;色んな説があって、&lt;br /&gt;どれもみなひとつづつ、&lt;br /&gt;少しづつはあたっている。&lt;br /&gt;しかし完璧と思えるものがない。&lt;br /&gt;おそらく今後何十年かかっても完璧というふうなものは&lt;br /&gt;出てこれないんじゃないかと思うんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それはなぜかといいますと、&lt;br /&gt;言語という活動が、&lt;br /&gt;つまり人間の一番根源的な&lt;br /&gt;暗い部分から、&lt;br /&gt;陰の部分から出てくる衝動で、&lt;br /&gt;容易なことでは光を当てることができない&lt;br /&gt;からじゃないかと思うんです。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-4284285956914326347?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/4284285956914326347/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=4284285956914326347' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4284285956914326347'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4284285956914326347'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/06/blog-post_8312.html' title='『経験・言葉・虚構』（3）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-9038924749273697317</id><published>2007-06-19T11:31:00.000+09:00</published><updated>2007-06-25T10:02:28.553+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（2）</title><content type='html'>色々なことで苦しめられたんですけれども、&lt;br /&gt;一番苦しめられたのは言葉の問題で、&lt;br /&gt;私は&lt;br /&gt;ビアフラ戦争だとか、&lt;br /&gt;ベトナム戦争だとか、&lt;br /&gt;中近東の戦争だとか、&lt;br /&gt;アイヒマン裁判だとか、&lt;br /&gt;そういうどぎついえげつない場所に出没することが多かったので、&lt;br /&gt;ルポルタージュというものを書くときも、&lt;br /&gt;ルポルタージュにも色々なものがありまして、&lt;br /&gt;究極的には言葉で組み立てていく仕事なんですから、&lt;br /&gt;これは厳密な意味でいけば&lt;br /&gt;ノンフィクションといってもフィクションの一種なんである、&lt;br /&gt;というふうに小説家としては考えておかなければならない所なんですが、&lt;br /&gt;人の生死に関わるような問題をルポするときには、&lt;br /&gt;ルポはノンフィクションがフィクションを含んでよい場合もあるけれども、&lt;br /&gt;そういう場合のノンフィクションは&lt;br /&gt;絶対小説的フィクションの要素を排除しなければならない、&lt;br /&gt;という気持ちで書いてきた訳です。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでフィクションはフィクション、&lt;br /&gt;ノンフィクションはノンフィクションと区別してやってたつもりなんですけれども、&lt;br /&gt;いつの間にか入り交じってしまうんですね。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;それでいざ今度フィクションに戻ろうとすると、&lt;br /&gt;フィクションにはやっぱりフィクションの文脈と言いますか、&lt;br /&gt;何かそういう体臭のようなものがあって、&lt;br /&gt;ノンフィクション書くのに慣れた意識で書こうとすると非常に苦しい思いをさせられる。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;で随分苦しんで最近やっと一つ書くことができたわけです。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-9038924749273697317?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/9038924749273697317/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=9038924749273697317' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/9038924749273697317'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/9038924749273697317'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/06/blog-post_8570.html' title='『経験・言葉・虚構』（2）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-4704083477649646928</id><published>2007-06-18T13:09:00.000+09:00</published><updated>2007-06-29T11:46:07.126+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『経験・言葉・虚構』'/><title type='text'>『経験・言葉・虚構』（1）</title><content type='html'>私が開高です。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;この会場で話をするのは四年ぶりになりますか、&lt;br /&gt;「輝ける闇」という小説を書いたときにも出てきたんですが、&lt;br /&gt;それからあっちゃこっちゃまた外国をほっつき歩いて、&lt;br /&gt;やっぱり戦争が多かったんですけれども、&lt;br /&gt;それから書斎に戻って一切合切もう放浪はやめた、&lt;br /&gt;というので小説を書きにかかって、&lt;br /&gt;随分手前味噌になっちゃうんですけれども苦しい思いをさせられたんですが、&lt;br /&gt;歳をとるにしたがって小説は難しくなっていくような気がします。&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-4704083477649646928?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/4704083477649646928/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=4704083477649646928' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4704083477649646928'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/4704083477649646928'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://kaikoooo.blogspot.com/2007/06/blog-post_23.html' title='『経験・言葉・虚構』（1）'/><author><name>kaiko</name><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-3438366498517140053.post-334670530744205674</id><published>2007-06-01T13:33:00.000+09:00</published><updated>2007-07-27T09:52:51.672+09:00</updated><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='開高健'/><category scheme='http://www.blogger.com/atom/ns#' term='『河は眠らない』'/><title type='text'>開高健『河は眠らない』DVD</title><content type='html'>&lt;a onblur="try {parent.deselectBloggerImageGracefully();} catch(e) {}" href="http://astore.amazon.co.jp/kaiko03-22/detail/B000M32X1Y"&gt;&lt;img style="margin: 0pt 10px 10px 0pt; float: left; cursor: pointer;" src="http://bp2.blogger.com/_0d1Ui5lQKP4/RouvCjsH1-I/AAAAAAAAACM/V8iTzDRyK7M/s400/nemu.jpg" alt="" id="BLOGGER_PHOTO_ID_5083349062892640226" border="0" /&gt;&lt;/a&gt;&lt;br /&gt;&lt;a onblur="try {parent.deselectBloggerImageGracefully();} catch(e) {}" href="http://www.amazon.co.jp/dp/B000M32X1Y?tag=kaiko03-22&amp;camp=243&amp;amp;creative=1615&amp;linkCode=as1&amp;amp;creativeASIN=B000M32X1Y&amp;adid=0Z08ZH8TVGEW9V4ZCWZ4&amp;amp;amp;amp;amp;amp;amp;amp;amp;amp;amp;amp;amp;amp;amp;amp;amp;amp;amp;"&gt;&lt;br /&gt;&lt;/a&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;森を歩いているとよくわかるんですけれども、&lt;br /&gt;斧が入ったことがない、&lt;br /&gt;人が入ったことがない森、&lt;br /&gt;というのがそこらじゅうにいっぱいある。        &lt;p&gt;それで土が露出していないで、&lt;br /&gt;シダやらなんかに覆われていますが、&lt;br /&gt;草とも苔ともつかないもので森の床全部が覆われている。&lt;br /&gt;それから風倒木が倒れてたおれっぱなしになっている、&lt;br /&gt;これが実は無駄なように見えて実に貴重な資源なのであって、&lt;br /&gt;風倒木がたおれっぱなしになっていると、&lt;br /&gt;そこに苔が生える、&lt;br /&gt;微生物が繁殖する、&lt;br /&gt;バクテリアが繁殖する、&lt;br /&gt;土を豊かにする、&lt;br /&gt;小虫がやってくる。&lt;br /&gt;その小虫を捕まえるためにネズミやなんかがやってくる、&lt;br /&gt;そのネズミを食べるためにまたワシやなんかの鳥もやってくる、&lt;br /&gt;森にお湿りを与える、&lt;br /&gt;乾かない。&lt;br /&gt;そのことが河を豊かにする。&lt;br /&gt;ともう全てがつながりあっている。&lt;/p&gt;  &lt;p&gt;だからあの風倒木のことを、&lt;br /&gt;森を看護しているんだ、&lt;br /&gt;看護婦の役割をしているんだ、&lt;br /&gt;というのでナースログ（nurse-log）というんですけれども、&lt;br /&gt;自然に無駄なものは何もない、&lt;br /&gt;というひとつの例なんです。&lt;/p&gt;      &lt;p&gt;そうすると人間にとってナースログとは何でしょうか？&lt;br /&gt;無駄なように見えるけれども実は大変に貴重なもの、&lt;br /&gt;というものも人間にはたくさんあるんじゃないか？&lt;br /&gt;それぞれの人にとってのナースログとは何か？&lt;/p&gt;  &lt;p&gt;無駄をおそれてはいけないし、&lt;br /&gt;無駄を軽蔑してはいけない。&lt;br /&gt;何が無駄で何が無駄でないかはわからないんだ。&lt;/p&gt;  &lt;p&gt;ここがひとつの目の付け所ですね、これは大事なことですよ。&lt;br /&gt;無駄なことしてると思うことはないんであって、&lt;br /&gt;いつかどこかでまた別のかたちで甦っているのかもしれないんだ。&lt;/p&gt;&lt;a style="color: rgb(51, 102, 255);" href="http://astore.amazon.co.jp/kaiko03-22/detail/B000M32X1Y"&gt;&lt;span&gt;開高健『河は眠らない』DVD&lt;/span&gt;&lt;/a&gt; より&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/3438366498517140053-334670530744205674?l=kaikoooo.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://kaikoooo.blogspot.com/feeds/334670530744205674/comments/default' title='コメントの投稿'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=3438366498517140053&amp;postID=334670530744205674' title='0 件のコメント'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/334670530744205674'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/3438366498517140053/posts/default/334670530744205674'/><link 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