『経験・言葉・虚構』(9)

そうゆう島はどうなってるかといいますと、
行ったことがおありになる方はご存知でしょうけども、
珊瑚礁でできていて、
沖の遠くまで珊瑚がはっているから港が造れないんで、
奄美大島なんかから船が来ると、
カヌーみたいなのを漕ぎ出してきて、
沖で客が大きな船から小さな船へ移る、
そのときに波がこう揺れるんで、
大きな船と小さな船が同じ水準になったときに、
ピョイと飛び移る。

あそこらへんは歓迎の言葉でもなんでも
「ヤイ」というんですけども、
「ヤイヤイヤイヤイ」と夜中闇の中で声が掛かるんで、
どやされたのかと思うんですがこれは歓迎の言葉であって、
歓迎の言葉は島が一つ違うと、
あのへんでは全部違うんです。
喜界島とか永良部島では「ヤイ」かもしれないけども、
奄美大島では「アゲー」というんですね。
皇太子が来ると、
ここに新聞がありますが、
「全島こぞってアゲーの声上がる」
と書いてあるんですけれどもね。

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