色々なことで苦しめられたんですけれども、
一番苦しめられたのは言葉の問題で、
私は
ビアフラ戦争だとか、
ベトナム戦争だとか、
中近東の戦争だとか、
アイヒマン裁判だとか、
そういうどぎついえげつない場所に出没することが多かったので、
ルポルタージュというものを書くときも、
ルポルタージュにも色々なものがありまして、
究極的には言葉で組み立てていく仕事なんですから、
これは厳密な意味でいけば
ノンフィクションといってもフィクションの一種なんである、
というふうに小説家としては考えておかなければならない所なんですが、
人の生死に関わるような問題をルポするときには、
ルポはノンフィクションがフィクションを含んでよい場合もあるけれども、
そういう場合のノンフィクションは
絶対小説的フィクションの要素を排除しなければならない、
という気持ちで書いてきた訳です。
それでフィクションはフィクション、
ノンフィクションはノンフィクションと区別してやってたつもりなんですけれども、
いつの間にか入り交じってしまうんですね。
それでいざ今度フィクションに戻ろうとすると、
フィクションにはやっぱりフィクションの文脈と言いますか、
何かそういう体臭のようなものがあって、
ノンフィクション書くのに慣れた意識で書こうとすると非常に苦しい思いをさせられる。
で随分苦しんで最近やっと一つ書くことができたわけです。
0 件のコメント:
コメントを投稿