『地球を歩く』(1)

最初にお断りしておきますけれども、
私はあんまり話が上手じゃないと自分で思い込んでるんで、
まぁ我々の間には色んな…
業界用語と言うと怒られそうですけども、
小説家同士にしか通じないような通り言葉がいくつかあるんですけれども、
例えば、
「食べ物と女が書けたら一人前だ」とかね、
それから、
「主人公が一人歩きするようになったらその作品は成功だ」とかあるんですが、
そのうちの一つに、
「話が上手になったら小説が下手になるから、講演はほどほどにしとけ」と
テレビなんか出たらあかんとは誰も言いませんけれども、
そうゆうことになってるんで、
そのため、
文学のためにもですね、
本日は私はわざと下手な講演をしなければならない、
という宿命を負わされていることを光栄に思うんでありますが。
退屈してきたらどうぞご自由に立っていって下さい。

0 件のコメント: