『経験・言葉・虚構』(18)

それで日が過ぎていくんですけれども、
そうするとその時‥
これ全部例えの話ですよ、
色んなコンペンセイションというか、
補償作用をやって弁解したり、
恭順したり、
「なんだあんなつまらない女」と時にはいってみたり、
「いやそうでもない」と思い返してみたり、
とゆうふうなことをやりますけれども、
これは後から出てくるもので、
最初につきまとって離れない、
それから私の薄暗い意識の中で
浮き沈み、
明滅するのは、
ロウソクの光の中で夜の湖のように輝いていた、
その女友達の目であると。
その目がつきまとって離れない。
つきまとって離れないものは私にはいっぱいありますけれども、
例えばそうゆう目がある。

そうするとこの目をなんとかして克服しなければいけない
ということになってきて、
もちろん色々今さっきいたような
弁解、強弁、
あるいは次の戦術戦略、
色んなことを考えますけれども、
あるいは心理分析ということも考えるんですけども。
最初にくるのはイメージなんですね。
このイメージが意味するものは言葉にかえられない、
それを必死になって言葉にかえようとする。
言葉または文字にかえようとする。
なぜか?
その呪縛から、
束縛から逃げたいからなんで、
それはたとえば彼女が私を見ていたとしても、
もしその目が夜の湖のように輝いていて、
私につきまとって離れていなかったらですね、
私は恋を得たうえに、
またその宝石のような目まで得たんですから、
果報者とゆうことになるんですけれども。

そのときでもやっぱりその目は
私につきまとって離れないんじゃないかと思うんですけどね。
いずれにしても私は敏感なんですから。

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