『経験・言葉・虚構』(30)

だからいささか突飛な皮肉な表現をしますと、
数千年かかって、
二千年か三千年か正確にわかりませんけれども、
ものすごい言葉をつくり、
ものすごい知識を生み出して、
エンサイクロペディア、
ブリタニカこんだけありますけども、
ちゃちなアパートなら床が抜けてしまうぐらいなんで、
それだけのものを全然自由自在にこなすことが出来ないで
苦しんでるわけですけれども。

だからある意味ではですね、
突飛な言い方ですけども、
世界を征服するのは、
原子爆弾を持っている最も言葉数の少ない国民、
これが世界を征服できるんじゃないかと思うんです。
ただこれには矛盾がある。
原子爆弾、
それは最終武器という意味ですけど、
最終武器は破裂させる、
つかうことが出来ないんですから、
言葉数を少なくすることは政治でいくらでも出来ますけれども、
一国内にそれがとどまって、
世界を征服する国民は今後出てこないんじゃないか、
とゆうふうに私は考えるんですけども。
だから今矛盾したことを言ったわけです。
絶望の文学という言葉が矛盾だと言いましたけれども、
それと同じくらいに矛盾した言葉を今言ったわけです。

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