『地球を歩く』(7)

ウンチからおしっこから垂れ流しで、
それからこれ大事なことなんです、
誰も研究しようとしない、
家の戸口ばっかり研究してて裏口を研究しないから
こうゆう片手落ちになるんですが、
女官ね「Je t'aime」という女官、
これが香水の匂いを漂わせながらやってらっしゃるのは、
立ったままでのおしっこなんであって、
上体をややかがめる程度、
とゆうのではニュージーランド原始人とあまりかわらない。
でもう中庭がそれらのもういっぱい、
で大革命も終わってベルサイユが廃墟と化して、
それで当時ベルサイユの宮殿で女官生活を送っていた、
もうおばあさんになったのが、
たまたまベルサイユへとことこやってきて、
その匂いを嗅ぐやいなや、
昔は美しかったであろう瞳を潤ませて、
「あぁこれがあの時代の匂いだわ」と言ったという。
あの時代の匂いというのがその匂いなんです。
そうゆうことを何とも思わないで、
それをまたぎまたぎやっておったんであるわけでして、
その気風がいまだに伝わっているから、
セーヌの橋の下はうずまきパンだらけということになるんです。
これホントです。

でこのようなものを文化と、
で文化と文明はどう違うかというと、
色んな理解のしかたがあるんですけれども、
私なりに解釈すれば、
文明というのは電話とかテレビとか原爆とか水道というふうに、
よその文化圏へ容易に伝えることが出来るもの、
これが文明である。
それから文化というのは、
よその文化圏に伝えることが出来ないか、
はなはだ伝えることが難しいいもの、
これが文化。
で垂れ流しと、
要するにキジうちですね釣り師のいう。
自然なるものを愛する、
とだんだん言葉がかわっていきますけれど、
こうゆう習慣は、
ロンドンにもあんまりないし、
ベルリンにはまさにない、
ミュンヘンにもない、
マドリッドの裏町にちょっとありますけれども、
そしてそれをみんなが許し合っている。
酒に対してもフランスははなはだ寛容で、
酔っぱらって自動車を運転しててもお咎めにはならない。
あんまりひどい時にはエラいことになりますけど、
大変寛容なんです。
垂れ流しやら酒に寛容という点では日本とちょっと似たところがある。
こうゆうものはですね、
これからどうゆう時代が来るかは私はわかりませんけれども、
今後もなかなか変わることはあるまいと思うんです。

0 件のコメント: