『地球を歩く』(11)

だからお月様へ行くロケットの中にですね、
何でもいい好きなものを一つだけ選んで持ち込むことを許すといえば、
アメリカ人ならコカコーラとハンバーグを持ってくるでしょうし、
日本人なら近頃大分危ないですが、
みそ汁の魔法瓶につめたやつを持って入ってくるかもしれませんね。
ベトナム人ならニョクマムを持ってくるでしょうし、
アラブ人ならクスクスという団子を持って入ってくるかもしれない。
そうゆう風な本来固有なるものというのは、
なかなかに覆ることがないし、
むしろ蔓延る気配の方が大きい。
フランス人ならウンチを持ってくるでしょうし、
特にセーヌのポンヌフの橋の下の特製のやつを選んで持ってくるかもしれません。

こうゆうことを考えていくと、
地球が狭くなったと思っている分だけ、
フランス人はフランス人、
アメリカ人はアメリカ人とゆう、
頑固で容易にかえられないものがあるんだから、
地球が小さくなったとこちらが実感する分だけ、
地球は大きくなってるという、
反語ですけれども、
そうゆう言い方をしたくなる。
だから迂闊に世界は狭くなったと言っていいもんかどうか、
については問題があるように思うんです。

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