『地球を歩く』(15)

バウペス川の辺りは、
真性?アノフェレスというマラリアの猛烈なやつがいますが。
この蚊は妙なエチケットがある。
猛毒の持ち主なのに大変遠慮深く慎ましやかである。
夕方6時から7時までの1時間だけかっきり出演する。
人間の忘年会みたいにだらだらだらだらと止めどなく、
皿小鉢投げ合いするとゆうようなことはしないんです。
そのかわり日が落ちるのが6時、
蚊が出るのが6時、
火がついたらうゎーんと出てきて目も口も開けてられない。
こっちはサトウキビ焼酎を飲みにかかるんですが、
これがまた蚊の大好物ときてるんで、
小さな蚊帳を木の間に張って、
その間にうずくまって酒を飲まないことには、
もう目も口もあったもんじゃない蚊が飛び込んでくるんです。
これが全部マラリアかと思うとぞっとするんですけど。
で体内時計という言葉がありまして、
生物には体の中にですね時間を測定して、
何時に目を覚まして、
何時に飯食ってということを指示する機能がある、
懐中時計が入ってるわけじゃないですよ。
クロノメーターが入ってるわけでもないんですけれども、
そうゆう機能がある。
これを体内時計と呼んでるんですが、
あのちんちくりんの蚊の中の体内時計が実にしっかりしててですね、
うゎーんときたので時計見ると6時なんです。
うゎんうゎんうゎんうゎんもう目も口も開けてられない、
どこからこんなに出てきたんだろう、
今まで一匹もいなかったのに。
それでぱたっと止むんですね。
で時計見たら7時なんです。
これがアマゾンの蚊なんです。

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