『地球を歩く』(21)

私は文明をふりはらったつもりで、
「サテナ」に乗らないで「ヴェナド」に乗って、
どうにかこうにかたどり着いて、
吠猿が叫んでいるだけの、
マラリアの蚊がウンウンいる、
またそうゆう所に限ってやっぱり魚や獣はいいのがいますね。
もしくは言い方をかえると、
そうゆう所でないと魚らしい魚、
蝶々らしい蝶々が見られなくなってきてるということも言えるんです。
それで文明をふりはらったつもりで行ったんですけども、
現実はそうゆうわけでコカインラッシュであり、
闇のラッシュであり、
現代文明の爛熟の最先端であったということを発見するわけです。

そうゆうことが度重なるもんですから、
結局文明から逃げるとか、
ゆう考え方そのものがもうとっくの昔に時代遅れになってると、
むしろ認識不足と言いたい。
自分に対して。
傲慢であると。
いくら文明に毒されてそこから逃げ出したいからといって、
文明から逃げ出せるなどと考えること自体が間違ってる、
と自分に言い聞かせざるをえないんです。
だから妙な感じでね、
エラい思いをして、
それからマラリアの蚊に刺されながら、
いくら防いだって蚊には刺されるんです。
マラリアの蚊には刺されるけれども、
すぐ刺されたからといってマラリアになるとは限らないんで、
体が健康で白血球がどんどん活躍してくれてる時なら、
マラリアの蚊が毒を注入しても白血球がそれと戦って抑えてくれる。
体が弱ってる時とか、
どっかにケガがある、
病気がある時にあれを刺されると、
イチコロでいかれる。
しかしいずれにしてもそんな思いをして、
ボコタへ帰って来て、
シャワーを浴びながら、
やれやれエラい所まで行ってきて、
エラい思いをして帰って来て、
結局の所コカインの生産地というのを見ただけじゃないかと、
文明からどんだけ遠ざかったんだろうか、
とまだ文明にこだわってそんなことを考えてるんですけども。
こうゆうことがよく起るんで、
大変に難しい。
南方でこうなんですけれども。

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