『地球を歩く』(31)

それでまたアフリカの飢餓が伝えられたかとゆう度に、
私は誰かがそのうちに、
コンデンスミルク持っていったらアカンで、
コンデンスミルク持っていったら、
受胎能力を回復してまたエラいことになると、
ゆうことを言うやつが私の側近に現れるかと思って見てるけども、
「エラいこってすなぁ」と言うだけで、
「で今月の原稿締め切り」とこうゆうことを言う。
いつまでたってもこれですね。

あのベトナム戦争はですね、
ベトナム人同士の殺し合いに、
アメリカとソビエトと色んなものが重なり合った戦争でしたけれども、
サイゴンで見てると、
墓場がどんどんどんどん毎日毎日どぉーっと広がっていくわけですね。
政府軍側の方ですけれども。
ベトコンさんの方はジャングルを埋めてるんですけれども、
これでは種族民族絶滅闘争になる、
と私は思い詰めていたんです。
ある時、
1968年ですがたまたまやっぱり最前線でしたけれども、
魚釣りに行ったの。
戦争しているところへ。
それで皆さんお笑いになる。
私も自分でサイゴン出る時笑ったんで、
人が生きるの死ぬの殺し合いしている最中に魚釣りとは何事か、
といってほっぺた張りとばされたら、
素直に黙って右のほっぺた差し出して、
もう一つ張っておくんなはれ、
と言おうと思って行ったんですが、
現場へ行くとまったく逆で大歓迎。
それで水を持ってきて飲めと言ったり、
村長が出てきてバナナくれたりね。
そっちの所じゃダメだからこっち行って釣れとかね。
エラい優しいんです。
一宿一飯の仁義を尽くしてくれるんです。

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